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小説 オーズ Parallel Ankh 6

復活のコアメダルの続きを(勝手に)描いた2次創作です。あくまで続編であることをご理解下さい

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「…というわけで成功したよ、火野くん!」

「流石ですね!鴻上さんの役に立てて良かったです」

「それとアンクくんのことだが、やはりコアメダルの精製にしろ復元にしろ、君自身の巨大な欲望が必要なのは間違いないよ」

「なるほど…取り敢えず、また何か分かったら教えて下さい」

そう言って火野くんは電話を切った。これでアンクくんの復活にも近付くだろう

コアメダルを金庫へと保管した私は真木姉弟の墓へと出向いた

シャチパンダヤミーの一件もあり、その墓は最後の戦いの後、我々財団が同じ場所に作り直した

「Dr.真木。私は自分の欲望のままに行動し、そして10年かけてようやく達成したよ。これで世界を再生してみせるさ」

かつて私はDr.真木にこう言った

『欲望のメダルは世界の再生のためにある。この飽和して伸び悩む世界も欲望で一変する。欲望が新たな文化、未知なる世界、更なる高みへと導く。進化するのだ』

この言葉の通り、私はこの世界を一変させてみせる。そう心の中で呟いた


そして私はその足で、彼が住んでいた屋敷へと向かった。到着すると、誰かに背後から話しかけられた

「あの〜、すいません…この家に住んでる方でしょうか?」

振り向くとそこに居たのはただの作業員だった

「いや、私はただここに住んでいた古き友を思い出しに来ただけだよ。10年前に亡くなったがね」

「つまりここには誰も住んでいらっしゃらないんですかね?実はですね、この辺の森林を開拓して新たなテーマパークを増設することになりまして…」

作業員は申し訳なさそうにそう告げた

「なるほど、取り壊したいということかね?」

「簡潔に言えばそうなります…」

「今や10年も使っていない家だ。確かにこれ以上あっても仕方ない。いいだろう!」

作業員の顔が少し晴れた

「ありがとうございます!それではですね…」

「ただし!友との別れだ。取り壊しをする前に、私に一度この家に入らせて頂きたい」

作業員は私の声に驚きながらも無言で頷く

「人と人との出会いは、何かが誕生する前触れでもある。私と君が出会ったのも、何か意味があるはずだ」

「は、はぁ…取り壊しは1週間後を予定していますので、その前日にでも立ち合えたらと思います。その際に屋敷の中に入っていただけるかと」

「素晴らしい!それでは1週間後に会おう!!」

私はそう告げ、立ち尽くす作業員を背中に財団へと戻った


1週間後、私は再びDr.真木の屋敷へと向かった。そこにはあの作業員の姿があった

「さて、屋敷の中に入らせていただこう」

作業員は扉の方へと私を案内した。が、元々鍵が閉まっていたらしく、既に扉は破壊されていた

「君はここで待機していたまえ」

そう作業員に告げると私は一人で屋敷の中に入った。中は予想通り埃塗れだった

中にはDr.真木とお姉さんとの写真や、チェスをしていた形跡、サッカーボールに腐ったお菓子、玉が歪なけん玉など、様々なものが散らばっている

2階に上がると所々窓が割れている。さらに奥へ進むと非常に興味深い部屋があったが、私は入らなかった

きっとあの部屋はDr.真木にとっても特別な部屋だろうと、肌感覚で察知したからだ

一通り屋敷の中を周り、入って来た方へと足を進めた刹那、聞き覚えのある高音が微かに聞こえた

「この音は…カンドロイド…?」

音がした方へ向かうと棚の中にプテラカンドロイドが入っていた。どうやら超音波を発して私に居場所を伝えたのだろう

興味深いことにその棚に入っていたのはカンドロイドだけではなかった。何でもカンドロイドの横にある箱には【重要】と文字が綴られていたのだ

「重要…?」

先程とは違い、この箱の中身を知りたいという私の欲望がどんどん溢れてくる。私は恐る恐る箱を開けた


あの日、私は火野くんに特別なコアメダルを渡した。それはかつて私のご先祖様が初めての変身に使用した10枚目のコアメダル

戦いの最中、そのメダルは割れてしまった。今の今までその存在は失われているものと当たり前のように思っていた

「Dr.真木…まさか回収していたとはね…やはり君はお姉さんが見出した通り、紛れも無い天才だよ」

私が開けた箱の中には6枚のコアメダルの破片と3枚の黒いコアメダルが入っていた

破片のうち3枚は恐らくグリードの意識が入っていたコアメダルだろう。ライオン・サイ・シャチの3枚の破片だ

そして残りのもう3枚こそ、火野くんにあの日渡した10枚目のコアメダルの破片だった

さらに驚いたのは見たこともない黒いコアメダルだ。前面にはサソリ・カニ・エビが描かれている

私が初めてグリードを生まないコアメダルを作ったと思っていたが、Dr.真木は既に10年前、その実験に成功していたのだ

「Dr.真木…やはり私は惜しい人を亡くしたよ…君の作ったコアメダル、私が必ず有効活用してみせよう」

この時、私はとある1つの可能性を見出した

このメダルの破片があれば、ご先祖様を復活させることができるかもしれない、と

私が何故こう考えたか。答えは簡単だ。私にはまだ以前ヨーロッパ旅行で持ち帰った、始まりの3枚と同じ力を持つメダルが2枚あるからだ

この2枚もかつて私のご先祖様が取り除いた10枚目。とんでもない力が眠っているのは間違いない

そんな事を思いながら私は箱を持ち、屋敷を出た

「待たせたね。十分楽しませて貰ったよ。君との出会いに感謝するよ!後は好きにしたまえ」

そう作業員に告げ、私は財団へと戻った。今すぐにでもこのメダルの破片を使って研究をしたい。その欲望が抑えられなかった


その足で王の部屋へ向かい、10枚目のコアメダルを保管している棚をあける

いつか研究の役に立たせるために残しておいて正解だったよ。火野くんが生み出したセルメダルは人造コアメダルを作るのに使い果たしてしまったからね

ガメルくんの10枚目はゴリラ。まさに力の象徴として、ご先祖様にもぴったりだろう。このエネルギーを始まりの3枚に送り込めればきっと上手く行くはずだ

棚からゴリラコアを、箱から始まりの3枚の破片を取り出し、それぞれエネルギー転移装置にセットする

「蘇りたまえ!古代オーズ!!!」

装置の電源を入れるとすぐにゴリラコアが振動を始める。そのエネルギーは始まりの3枚へと流れ込み、みるみるうちに欠けていた部分が復元され始めた

「素晴らしい!素晴らしい!!」

ゴリラコアにヒビが入ったところで始まりの3枚は完全に復元された。恐らくゴリラコアのエネルギーの約半分を使ったと思われる

しばらく何も起こらなかった。しかしその時は突然訪れる

刹那、装置の前に巨大なブラックホールが出現したのだ。これは紛れもなく、Dr.真木が吸い込まれた虚無の穴そのものだ

更にそこから腕が見えた。Dr.真木ではなさそうだ。なぜならそれは人間の腕ではなく、セルメダルで形成されていたからだ

「これは…成功だ!王よ!!自らの欲望のままにコアメダルを掴みたまえ!!!」

私の言葉と共にその手は始まりの3枚を握り、虚無へと引き込む。直後聞き馴染みのある歌が響き渡る

『タカ!トラ!バッタ!
      タ・ト・バ!タトバ!タトバ!』

それは金色のマントを羽織る古代の王が復活した瞬間だった

「私の子孫か…感謝するぞ…800年前は失敗に終わったが、今度こそこの世界を、我が物としてやろう」


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