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小説 オーズ Parallel Ankh 7

復活のコアメダルの続きを(勝手に)描いた2次創作です。あくまで続編であることをご理解下さい

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「…Happy Birthday!800年前の王よ!いや、ご先祖様と言った方がいいかな。逢えて光栄だよ!」

「我が子孫よ、何故私を蘇らせた」

王は私に尋ねた

「それは勿論!私の欲望のためだよ!!貴方は恐らくDr.真木と共に消えたコアメダルを持っているはず。それを全て渡していただきたい」

「私が素直に渡すとでも思うか?お前は黙って私の条件を全て飲め」

流石はご先祖様だ。全く引く様子が感じられない

「ほう、具体的には何をしろと言うのかね。返答次第では再び封印の道を辿ることになるだろう」

「ふははは…それはどうかな…?ふんっ…!!」

途端に王の体内から緑色のコアメダルが9枚飛び出した。一際強い輝きを放つクワガタコアを中心に完全体のウヴァくんの身体が形成された

「っ、はぁ…おい、Dr!暴走するつもりはないと言ったろ、う…が……うわあぁぁ!?」

ウヴァくんが振り向き様に王を視界に入れ、腰を抜かす。当然だろう。かつて自分を封印したオーズを目の前にしているのだから

「我が僕となれ、昆虫のグリードよ」

ウヴァくんは渋々言葉を受け入れ、王の後ろへ回る

「これで2対1だ。それにお前には力がないだろう、我が子孫よ。さぁ、条件を飲め」

「全く、困ったご先祖様だよ。どうやら世界の再生とは程遠い事をしてしまったらしい…だが完全体のグリードが居ては勝てるはずもない。いいだろう」

私が頷くと王は要望を連ね始めた

「まずそこのコアメダルの破片…グリードの力を感じる…私を復活させた方法と同じ方法でグリード達を復活させろ」

「メズールとガメルは兎も角、カザリの奴は居なくても一緒だがな」

王の背後でウヴァくんがぼそぼそ呟く

「なんか言ったか?」

怖気付いたウヴァくんは首を横に振った

「仕方ない。条件を飲もう!そうすればコアメダルは私に…」

「そんな訳なかろう。もう一枚強い力を持つコアメダルがあるな…そのエネルギーで失われた全てのコアメダルを復元しろ」

王のいうメダルは恐らくメズールくんの10枚目、タココアのことであろう

ご先祖様の欲深さについては度々聞いて来たが、私の思った以上に欲望塗れだった。血の繋がりを染々と感じるよ

しかし私は王の要望を飲まざるを得なかった。私の欲望が果たされるまで、私は死ねない

私が貴方の、王のドライバーを使って、新たなオーズとなるまではね


私は王達が見守る中で、エネルギー転移装置にグリードの意志が宿っていた3枚のコアメダルの破片をセットした

「蘇りたまえ!グリードよ!!」

私が電源を入れると先程同様にゴリラコアは振動を始めた。同時に3枚のコアメダルにエネルギーが送られ次第に欠けていた部分が復元される

刹那、ゴリラコアが粉々に砕け散った。しかし同時に3枚のコアメダルは完全に復元された

「よし…貴様らにも力を与えよう。受け取れ」

王は再び自分の体内にあるコアメダルを属性ごとに復元されたコアメダルに投げ付ける。9枚揃った黄色のコアメダルの塊はカザリくんを蘇らせた

「久しぶりだね、ウヴァ…それに、王…ああ、言わなくても分かるよ。僕はアンタに付く」

そう言ってカザリくんも王の背後へ回った。続けてガメルくんとメズールくんが蘇る

「っ…メズール…?メズール!メズール!!」

「ガメル、久しぶりね。会いたかったわ」

「えへへへへ…あ、ウヴァとカザリと…んん?むかしのオーズだ」

ガメルくんが王達に気付くと、王が口を開く

「貴様らの残りのコアメダルもこのメダルを使って複製してやろう。だから私に付け」

王は通常のゴリラ・ウナギ・タコのコアメダルを1枚ずつ見せながら、メズールくん達にそう言った

「どうする?メズール」

「コアメダルのためなら、王に従うわ。行きましょう、ガメル」

こうして2対1の状況はあっという間に5対1になってしまった

「今からコアメダルの複製を行う。だがこの実験には少々時間がかかる見込みだ。何せ無いものを一から作るのだからね。時にご先祖様よ、一つ取引をしよう」

「何だ、一応聞いてやろう」

「この実験が終了するまでの間に貴方とグリード達に暴れて貰っては、私に疑いの目が集まる。早速で申し訳ないが、彼らを一時的にメダルに戻すのを条件に複製を行おう」

私とて一財団の会長だ。疑われるのは御免だからね

「いいだろう…」

グリード達が焦った様子を見せるも束の間、王が指を鳴らした途端、4体のグリードは一瞬にしてメダルに還元された

足元に散らばるメダルを見ながら、これではグリードも王には逆らえまいと確信した。王は自分の意思でグリードをメダルに還元できるのだから

「では今から実験を始める。コアメダルを」

私が王からゴリラ・ウナギ・タココアを預かろうとすると、王は更に3枚のコアメダルを取り出した

「どうせだ、こいつも増やしておけ。いつかお前も復活した時にまた僕として使ってやろう。アンク」

王は私にタカ・クジャク・コンドルコアを1枚ずつ渡した。火野くん、本当にすまない。だがアンクくんの復活には間違いなく繋がるはずだよ

再びエネルギー転移装置に10枚目のタココアと王から預かった6枚のコアメダルをセットする

「果たしてうまく行くかどうか…」

「成功するに決まっておろう…そのコアメダルは繋がりの象徴だ…」

電源を入れるとタココアが僅かに振動を始める。これが約2ヶ月に渡る長い実験の始まりだった


2ヶ月後、6枚のコアメダルが完全に複製された時には、ゴリラコア同様半分のエネルギーを使い終わったタココアにはヒビが入った

「ではコアメダルを全て寄越せ」

「ご先祖様よ、ここまでの事をしたのだ。私に報酬があってもいいだろう。流石にこのコアメダルは私が預からせて貰う」

王に負けじと声を張ったためか、王は納得し私の条件を受け入れた。王に複製した6枚を預け、私はヒビ割れたタココアを預かった

「これで貴様ら全員完全復活だ。受け取れ」

王は2ヶ月振りにメダルの塊から4体のグリードを復元した。正に4体の完全体のグリードが出揃った瞬間だった

「これで準備は整った。この世界を我が物とするため、破壊の限りを尽くせ」

王の言葉に従い、グリード達は王の部屋から飛び出し、外の世界に向かった

「お前は私の子孫だ。最後まで生かしておいてやろう。だが、私に逆らった時には容赦なく消す」

「本当に困った方だ。遅くなったがこれは私からの誕生日プレゼントだ。不本意だが、当時火野くんにも渡したものだ。受け取りたまえ」

私はこの2ヶ月の間に作った2本目のメダジャリバーを王に渡した

「流石は我が子孫…いつかまた会おう」

王は部屋を出て行った。どうやらこの2ヶ月間、王はDr.真木や私が作ったコアメダルには気付かなかったらしい

恐らくマスターガラとは異なる方法で作ったからだろう。となるとDr.真木はどんな方法であのコアメダルを作ったのか、非常に気になる

「さて、2ヶ月間黙ってはいたものの、これはまずい事になってしまったね…10年振りではあるが、彼らを集めるしか方法はないか…だが、その前に…」

私はDr.真木が残した黒いコアメダルを箱から取り出した

「王を鎮めるには、新たなコアメダルを使うしかない、か…最初に作ったあのメダルは火野くんに、そしてこのメダルは…」

そんな事を考えながらも、私は伊達くんに電話を掛けたのだった


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