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小説 オーズ Parallel Ankh FINAL

復活のコアメダルの続きを(勝手に)描いた2次創作です。あくまで続編であることをご理解下さい

最初から読みたい方はこちら

前回のお話はこちら

飛行中に結ばれた手の中へと、2つの何かが入って行くのをみた。一瞬しか見えなかったが、色的に映司ではなさそうだった

視線を頭上から正面に戻すと、みるみる機械兵が投下され、こちらに向かってくる様子が見えた

この数を倒すには映司にガタキリバになって貰う以外方法は無さそうだ。一刻も早く映司と合流したい所だったが、機械兵が俺に飛び掛かってきた

「ちっ、邪魔なんだよ!」

俺が火炎弾で攻撃を続けていると、正面から声が聞こえた。映司の声だった

「アンク!遅れて悪い!大丈夫か?」
「俺を見くびんな!こんな奴、大した事ない!」

映司に向かって叫んだ後、飛行して背後に下がり擬態を解く。俺はさっき手に入れたクワガタ・カマキリのコアメダルを映司に投げた

「映司!」

コアメダルを受け取ると映司はそのままガタキリバコンボに変身し、50体に増殖した。それぞれが複数体の機械兵をどんどんと倒していく

これなら後は任せても大丈夫そうか。複製品ではあるが最後だから仕方ねぇ、俺のコアを使わせてやる

「映司…これを使え!」

俺は自分の体内から複製された全てのコアメダルを取り出し、映司に向かって投げ渡した

「っ、アンク…」

次第に五感だけでなく俺の身体も消えていく。消えゆく意識の中で俺は映司の微かな声を聞いた

「それが、お前のやりたい事なら!」


ここは、どこだ?俺は…死んだのか?いや、無くなった、のか…気が付くと俺は真っ暗な空間の中に居た

どのくらいの時間だっただろう。しばらくの間そこから出られなかった。しかし俺が目を覚ました時、俺はまた映司の前に立っていた

「アーンク。はい、約束…」

映司の手にはアイスが握られている。そう言えば、ちゃんと今日の分のアイスくれるって、言ってたか…

俺はこの姿を保つので精一杯だが、有り難く貰っといてやるか…微かに感じたアイスの味を噛み締め、俺は再び意識を失った

「アンク…また会おう。お前と俺が居る、あ…」


「───ンク!アンク!ねぇ、しっかりしてよ!」
「映司!!」

俺が思い切り飛び上がり頭を上げると、俺は目の前にいた人間と額同士をぶつけた

「いってて…アンク、大丈夫だった?悪夢見てたかの様に凄く魘されてたけど…」

俺が目の前の人間に焦点を当てると、そこに居たのは映司ではなく、湊だった。そうか、俺は奴の家に着いてすぐ…という事は今のは、夢?

「映司ってもしや、夢の中でオーズに会ったの?」

夢にしては何もかもがリアルだった。最初に感じた痛み、空を飛ぶ感覚、アイスの冷たさ、美味さ。あれはきっと、夢なんかじゃない

「さぁな…そんな事はどうだっていい。今何時だ」

「まだ深夜3時だよ…アンクの叫び声が聞こえたから何事かと思ってこっちは飛び起きたってのにさ…出発は朝だろ?もう少しゆっくり休んだら?おやすみ」

湊はそう言って布団へと戻って行った

「あれが夢なはずない…絶対現実…あるいは、俺の知らない記憶。まぁとりあえず…もう少しだけ寝るか」

俺は再びソファに寝転がり、いつの間にか瞼を閉じて意識を手放していた


翌朝、朝の8時、俺は目を覚ました。毎日信吾を起こしていた関係で俺も早起きになっちまった。だが湊は既に起きていた

「おはよう、アンク。あれからはぐっすり眠れた?」
「っは、誰かさんのお陰でな」

湊がダイニングテーブルに朝食を並べている。そこにはちゃんと、俺の分もあった。比奈の奴は一緒に住むようになってから毎日、俺に飯を作ってくれたな…

「さ、出発前に腹ごしらえ。一杯食べて!」

朝から良くこれだけの物を用意できるな…そして何故か朝食に似合わないおでん付き。お前は伊達かよ

まぁいい、用意してくれるだけありがてぇ。こうやって感謝を少しでも感じる様になったのも、今思えば知世子の奴がきっかけだったな

俺は勢い良く皿に盛られた朝食を食べ続けた

「俺は多分2021年に行ったら戻ってこない。後藤から貰ったこのコアメダルも、お前の時間移動で多少はエネルギーを消費してるはずだしな」

「じゃあアンクはオーズを助けに2021年に行って、もうこの世界のその時間で暮らすってこと?」

湊は出汁の染み込んだ大根を頬張りながら俺に尋ねた

「あぁ、だから鴻上の監視もお前に任せる。だが決して気を緩めるなよ、鴻上は自分の欲望のためなら手段を選ばない危険な奴だ」

「うん、分かった…ご馳走様でした!」

湊が食器を流しに運んでいる中、俺も時間移動の準備を始めた。比奈の奴から貰った服を身につけ、改めて手持ちのコアメダルを確認する

俺の意思が詰まったコアが1枚、元エタニティメダルが3枚、エネルギーを失った俺のコア5枚に、後藤から貰った人造コア3枚、か…

2021年で映司と会えたとしても、映司を変身させるのは無理そうか…そういえば…

『アンク、俺今、鴻上さんに手持ちのコアメダル全部預けてるんだよね…少し前に貸し作っちゃってさ』

あれがどの世界での出来事かは知らんが、仮にこの世界の出来事だとすれば、映司の運命が変わっていない以上、2021年以前である事は確定だ

つまり移動後最初に会うべきは、またも鴻上。そして探すべきは白衣の男、そして青い龍の仮面ライダー。こいつらだけが映司に辿り着く手掛かりだ

「アンク、準備できた?」

洗い物を済ませた湊が俺に尋ねる。俺は頷くと湊と共に家を後にし、人目のつかない場所へと移動した

「少しの間だが、世話になったな。映司にコアを届けてくれた事、感謝してやる」

「オーズのこと、頼んだよ。でもアンク、君も無茶しちゃ駄目だからね?」

映司の運命は変わっていない。だからこそ、多少の無茶は絶対に必要になる。すまんが湊、お前とその約束は出来ん

「じゃあ、元気でね、アンク」

湊の言葉に続き、俺は自分の腰にバースドライバーXを巻き付ける。そしてXユニットにサソリ・カニ・エビのコアメダルを装填した

「行ってくる」

俺は一言呟き、ダイヤルを回した。鴻上の予想通り、湊が時間移動した時同様に目の前に虚無が出現した。俺はゆっくりとその中へと足を進めた

背後で湊が何か叫んでいる気がしたが、あまりよく聞こえなかった

虚無の中で時間を遡ってどのくらい経っただろう。目の前に光が見えた。この先が2021年である可能性は低いが、こうなった以上行くしかない

俺が光に向かって手を伸ばすと、俺はいつも通り空中に投げ出されていた。虚無から出る直前、汽笛の様な音が聞こえたが、多分気のせいだろう

「ってぇ…」

街の様子は歴史を変えた後の2051年と何も変わらない。相変わらず元気な人間で溢れかえっている。俺は初めて世界移動した日のように公園を探した

街を歩いて公園のベンチに腰掛ける。通りかかった男が屑籠の中に捨てた新聞の日付は…2021年7月31日。奇跡的に俺は一発で2021年に降り立ったのだ

「じゃあ早速、映司へ辿り着くためにまずは鴻上か…ったく、奴とは何回顔合わせなきゃいかねぇんだ」

待ってろ、映司。俺はお前の運命を変えてやる。俺は心の中でそう唱え、鴻上ファウンデーションに向かって歩き始めたのだった



『おいおい、本当に良かったのかぁ?アイツをこの時間に呼び寄せてよぉ。奴が前に何やらかしたか、忘れたわけじゃねぇよなぁ?』

『大丈夫さ、俺たちの時間がまた繋がった。それだけの事だ。それに、彼には少し聞きたいことがある』

『あぁ、グリードの1人であるアンクくんがいつどうやって時間を超える力を手に入れたか、彼が最初の時間移動をした時から私も気になっていた所だ』

『ったく、しょうがねぇ野郎だぜ。んじゃトサカを追うぞ。───天丼、幸太郎』

小説 オーズ Parallel Ankh 完
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to be continued

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