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小説 オーズ Parallel Ankh 19

復活のコアメダルの続きを(勝手に)描いた2次創作です。あくまで続編であることをご理解下さい

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何メートルの高さの建物から落下しているのだろう…重力に従い、俺の落下速度はぐんぐん上がっていく

先程までの鈍い痛みは今は感じない。その代わり落下して風を切る音、そして冷たさを少しばかり感じるようになった

目の前の風景もモノクロだった世界が少し淡くなっている気がする…ん?俺の上から、何かが降ってきている…人間、なのか?

っ、お前が…本物のアンクじゃなくても…

落下中の人間から懐かしい声が聞こえた気がした。人間は俺の手を掴もうと、手を伸ばしている。少し、また少しとその距離が縮まり、一瞬指先が触れ合った

この手で掴める命があるなら、俺は迷わず掴む…!うあぁぁぁ!!

人間が諦めずに手を伸ばし続け俺の手を掴んだ瞬間、全てを理解した。そこに居るのは映司、お前なんだな?…ったく、また馬鹿な事しやがって…

刹那、映司の持っていた俺のコアメダルの破片が俺の中へと入ってきた。その瞬間、俺は再びこの世界を味わうために必要な五感を取り戻したのだった

着地寸前に信吾の姿になり、羽を広げて映司をゆっくりと地面に降ろす

「っは、映司。相変わらずボロボロだな?」

俺がこの姿になれる保証はなかったはずだ。もしそうなってなかったら、映司はそのまま落下死だった。やっぱり映司は自分の命を…

「お前のせいだろ…」
「知るか…」

映司は嬉し泣きのような表情で言葉を続ける

「今日この日だったんだな!お前がいる明日って」
「あ?何言ってんだ…」

明日?映司が何の事を言ってるのか俺には分からなかったが、俺の問い掛けに映司は首を振る。そして真剣な表情で俺に告げた

「詳しく話してる時間はないんだ…あの塔の頂上で、今頃グリード達が暴れてる。止めに行かないと」

「仕方ねぇ、上まで連れてってやる。背中に掴まれ」

俺は再びグリード態となった。そういえば俺のコアメダルのエネルギーは失われていたはず…何故俺は完全体の姿になれるんだ?

映司が背中に捕まると、そんな疑問も吹き飛ぶくらいのスピードで俺は空を登った。塔の頂上を目指す中で映司が呟く

「アンク、俺今、鴻上さんに手持ちのコアメダル全部預けてるんだよね…少し前に貸し作っちゃってさ。だから上に着いたら…」

「グリードからメダル奪えってか、ったく…変身出来ねぇ癖に無茶な事しやがって。まぁいい、手伝ってやる代わりに…」

俺が次の言葉を言いかけると同時に、俺達は塔の頂上に着いた。白衣の男と、青い龍の仮面ライダーがグリードに圧倒されている

その奥には白い帽子の男が胡座をかいて座っている。恐らく奴がグリード達を復活させたのだろう

「お前らじゃグリードには敵わない」

グリード達が2人に向かって歩き始める。その隙を狙って俺はウヴァから1枚コアメダルを抜き取った

気付いたカザリが俺に攻撃を仕掛けたが、するりと躱してカザリからも1枚コアメダルを抜き取る

「言っただろ、お前の計画は止めるって!」
「ちゃんと今日の分のアイス寄越せ」
「んあ、分かってるってぇ…」

分かってるならそれでいい。俺と映司はウヴァとカザリの攻撃を避けた。映司が白衣の男と青い龍のライダーに向かって言葉を掛ける

「グリードの相手は俺達に任せて!」

映司はオーズドライバーを取り出し、嬉しそうに笑いながら俺に向かって叫んだ

「行くよ…アンク!」

俺も自分のコアメダルを1枚取り出す。よく見ると普通のコアメダルと縁の色が違っているが、またお前にこうやってコアメダルを渡せるなら、何だっていい!

「映司…!」

俺が投げたコアメダルを映司は慣れた手つきで受け取り、オーズドライバーに装填した後、炎の音のみが響く静寂の中で、ゆっくりとコアメダルをスキャンした

「変身っ…!」

『タカ!トラ!バッタ!
      タ・ト・バ!タトバ!タトバ!』

タトバコンボに変身した映司は塔の外へと飛び出し、4体のグリード相手に戦いを挑み始めた


映司にコアメダルを渡して分かった事が2つある。1つはこのコアメダルは複製品に過ぎないという事、もう1つはそれが3枚揃うだけで完全体の力を引き出す事

敵の人数が人数だ、1対4では分が悪過ぎる。一気に相手をするよりも、まずは確実に1体倒し切った方が後々楽になるだろう

そんな中、急に地面が大きく揺れ始めた。頭上を見ると、有り得ない光景が目に飛び込む。そこには間違いなく、もう1つの『世界』があった

急に街が騒がしくなり始める。焦った様子で頭上を見上げる映司の隙を狙い、カザリが突っ込み攻撃を仕掛けた。映司はぎりぎりの所で攻撃を躱した

「映司、ぼーっとすんな!まずカザリを片付けろ!」
「分かった…!」

今のカザリはトラのコアを抜かれている。実質コア6枚の状態と同じだ。それはウヴァにも言えることだ

映司がメダジャリバーにセルメダルを3枚装填する

『トリプル!スキャニングチャージ!』

映司の攻撃はカザリを切り裂き、そのままカザリを爆散させた。舞い落ちる2枚のコアメダルをキャッチした俺は映司に向かって叫んだ

「次はコンボだ!メズールかガメルのどっちかを片付けろ!」

俺が映司にライオン・チーターのコアメダルを投げ渡すと、映司はそのままラトラーターコンボに変身した

ライオンヘッドの高熱放射を受け、メズールとガメルが怯む。その隙に映司はコアメダルを再スキャンした

『スキャニングチャージ!』

映司は高速でメズールに近付き、鋭い爪でその体を引き裂いた。メズールの爆散に怒りを剥き出しにしたガメルを前に、映司はシャウタコンボに変身した

ウナギムチでガメルの動きを封じ、電撃を流し込む最中、映司は再びコアメダルを再スキャンした

『スキャニングチャージ!』

映司はウナギムチを使ってガメルを高くへ飛ばすと、空中で再びキャッチし、タコレッグでの攻撃でガメルの体内を貫いた

残るウヴァを目の前に映司はサゴーゾコンボに変身した。大方の予想通り、ウヴァは跳んで逃走を図った。複製品の癖に、性格はオリジナルと全く同じだな

『スキャニングチャージ!』

映司がゾウレッグで地面を揺らすと、重力が変化しウヴァが落下する。そのまま映司の元へと引き込まれたウヴァはサイヘッドとゴリラアームの攻撃で爆散した

全てのグリードを撃破した映司は再びタトバコンボに変身し、頭上を見上げながら俺に向かって言葉を放った

「アンク、俺…皆の元へ行かなきゃ…後で戻って来るから、その時はまた一緒に戦ってくれるか?」

「いいだろう、その代わり…絶対死ぬなよ」

俺の言葉に頷いた映司はライドベンダーに乗ってその場を離れて行った。爆散したウヴァのコアメダルを拾い上げ、頭上を見上げる

何やら腕らしき何かが、2つの世界から伸びていた。それらは互いに手を結び、2つの世界を衝突させようとしている

「あっちの世界の映司は…どんな奴なんだろうな」

どうせ映司の事だ。仮面ライダーになってようがなかろうが、きっと多くの人を助けるために手を伸ばしているに違いない

頭上を見上げていると、結んだ手から無数の機械兵が振ってくるのが見えた。どうみてもヤミーではない

「ちっ、面倒だな…やっぱり映司と合流するか…」

俺は再びグリード態となり、翼を拡げ映司の向かった方へと身体を進めたのだった


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