【短編小説】地蔵の気持ち
この道に座して何年になるか。今の私にはもう分からなくなってしまった。しかし親切な人のお陰で、木の小屋を建ててくれたり、お供物をしてくれたりと、私の前で立ち止まる人は意外と絶えない。
私を道端で見つけた人々は、私に小さな願いを投げかけたりする。悪いことが起こらない様にだとか、子供が無事に過ごせる様にだとか、様々な願いをしていく。石塊から切り出されただけの私に何が出来る訳でもないが、せめてその願いを受け止めることくらいは出来る。受け止め、共に願えば、どんな小さな願いでも叶うか