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微笑みは言葉よりも何倍も多くを伝えるということ

この時勢と鬱の悪化に伴って外出することがほとんどなくなっていた。

そんなわたしは、今日久しぶりに外へ出た。

大切なパートナーに会うために。

家を出る瞬間は、少し緊張した。久々の外出だ。体力は持つだろうか、うまくコミュニケーションを取れるだろうか。

遅いバレンタインのために、花束を買おうと思っていた。お気に入りの花屋へ出向いたものの、わたしの思うパートナーへ送る花は、店中見回しても見当たらない。これじゃない、これでもないを繰り返して、結局店を出てしまった。

わたしの地元まで遥々来てくれたパートナーと落ち合って、ペアタトゥーを入れるためのカウンセリングへ出向き、地元の観光地を見て回った。

なんてことはない、普通のデート。

それでも、さりげなく車からわたしを遠ざけてくれる姿、楽しそうに笑う横顔、初めて繋いだ手の感触が、わたしの心を離さない。

ああ、幸せだと月並みな言葉が胸に過る。
彼女がわたしを好いてくれていて、わたしも同じように彼女のことを好いている。
そう実感できたことが、何よりの幸福だと思う。

駅で彼女と別れ、帰路につきながら、何故だか随分と感傷的な思いに囚われた。

誰かを好きになること、失いたくないと思うこと、それは、すでにそれだけで痛々しいかなしみを伴っている。

それでも、わたしは彼女と共に居たいし、愛し続けたい。どれだけの痛みがあっても、悲しみが伴っても、彼女がとなりに居てくれれば、大丈夫、耐えることができる。

そう思えた一日。

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