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『強みを活かして生きるということ』ほしのゆかりさんーほしのオフィス代表【イベントレポート】

自分を最大限に活用しながら働くために

今回は、12月19日に開催した、「長野県女性SDGs情報交換グループ」の交流会とコラボ企画イベント「強みを活かして生きるということ」の対談レポートをお届けします。ゲストは、人の強みを活かすプロコーチ、ほしのゆかりさんです。クリフトン・ストレングス®(ストレングス・ファインダー®)をはじめ、個人の強みを活かすコーチング技術を駆使し、「強みを活かして生きる・暮らす・働く」ためのコーチングをしています。

(笑顔でお話をしてくださったほしのさん) 

京都の大学を卒業後、関西にあるお寺で働き始めたほしのさん。
ワークライフバランスの“仕事”は充実しているけど、プライベートが充実できていないと気づき、これからの人生を考えた結果、長野に戻る決意をしたそう。
しかし、いざ戻ってみると自分に合う仕事が見つからず……。紆余曲折を経て、現在の働き方にたどり着きました。
 
人生を豊かで幸せに生きていくためには、自分自身を知り、自分の持つ強みを活かすことが大切です。ほしのさんご自身の歩みに沿って、その背景をお話いただきました。    

暮らすroom's 北村きよみ(以下・北村):女性が生きがい・働きがいをもって働くには、自分の強みを活かすことがとても大事ですよね。ほしのさんのご経験をお聞きしたいです。 

ほしのゆかりさん(以下・ほしのさん):私の場合、長野に戻りハローワークで相談したときに、思うような仕事を見つけることができませんでした。窓口で「あなたみたいなタイプは起業した方がいいんじゃないの?」と言われたときはちょっとショックでした。仕事が見つからないかもしれない不安と、今後、結婚し出産となっても働き続けたい気持ちの間で揺れていました。
 
この体験が、今後どう自分らしくキャリアを築いていけばいいんだろう?と考えるきっかけになったと思います。その後、いくつか転職を重ね、結婚とほぼ同時期に「コーチング」に出会い学びはじめました。
 
結婚・出産・育児などのライフイベントを乗り越えながら、しなやかに自分らしく働ける方法を常に考え、アンテナを張ってきたと思っています。 


自分の強みを自覚しよう

(ほしのさんの話にうなずく北村さん)

新卒時、関西の寺院で働くことを決めたことも、振り返ってみるとご自分の強みに深く関係していると思ったそうです。友人や家族との死別を乗り越え、さまざまなハプニングはあれど自分らしく前向きに働くことができたのは、今の自分にとても大きな影響を残したと語ってくださいました。
 
北村:ほしのさんがこれまで働いてきた中で困ったことや、ご自身の強みを活かして解決したと思うことはありますか?
 
ほしのさん: 今振り返ると、人生の節目に自分の強みが深く関係した経験をしていたと思います。
 
クリフトン・ストレングス®は人が無意識に行う思考・行動・感情のパターンを34の資質に分類し、その人の強みを明らかにするツールです。私の場合、4番目に「運命思考」という強みを持っています。この資質は一期一会のご縁を大事にし、起きたことに意味づけをする資質です。
 
資質には強みとして使いこなせるときもあれば、弱みとして行動に出てしまうこともあります。運命思考であれば、弱みとして“お願いごとを断れない”というように出ることもありますし、強みならば、目の前の出来事が困難なことであっても、ご縁や運命と紐づけて受け止め行動できます。
 
他にも「ポジティブ」という資質があります。目の前の出来事や事柄を前向きに捉えられる側面を持つ資質です。
 
先にお伝えした最初の就職が決まったときのエピソードで言えば、入社まで就業後に関する連絡がなかったんですね。普通なら不安になるところかもしれませんが、私は「お寺のお仕事ってなんだか面白そう!」と信じてそのまま入寺しました(ポジティブ×着想)。私自身がもつ資質の強みを活かせたからこそ、決断して飛び込めたのかなと思います。
 
北村:そこで決断し、働いたことに後悔はありませんでしたか?
 
ほしのさん:後悔していません。「お寺で働く」なんて、なかなかできない体験で「着想」が喜びましたし、毎日本堂で手を合わせながら、このご縁に嬉しく思う面もありました(これは「運命思考」が喜んでいたと思います)。そして、新卒でありながら年齢の離れた嘱託職員の方々をまとめるプロジェクトリーダーのような立場に立たせていただいたことで、人生の先輩に教わりながらプロジェクトを進める貴重な経験ができました。これは、その後の私のキャリアにとても良い影響をもたらしたと思っています。この時決断して、本当に良かったです。
 
北村:それはよかったですね!就職活動は、まず勤務形態やお給料だとか、そういう視点で探しがちです。しかし、就職後もうまくいく要因は「あーここ面白そう!」「ここで働いてみたい」という感覚の方が大事。そういう感覚に素直になって仕事を見つけにいくことは、やはり人生の中でうまくいく1つなのかもしれませんね。


コーチングを学び、自分らしいかたちを見つけることができた 

長野に戻り就職後、転職、結婚などのライフイベントを経て、コーチングに出会い学び始めました。その後、2014年にクリフトン・ストレングス®(ストレングスファインダー®︎)を知ったことをきっかけに、コーチとして独立することを決意。資格取得の勉強と不妊治療とが重なった苦しい期間も乗り越え、自分らしい働き方、活かし方をより深めていきました。
 
北村:企業へお勤めのとき、「この時間からこの時間まで休憩」とルールが決められていることに馴染めなかったそうですね。それも辞める決断をした要因の一つだそうですが、世の中の多くの人は、そこを我慢しながら生きていますね。私はそれって非効率的だと思います。なんか気分が乗らないで仕事しているみたいな。
 
ほしのさん:私も正直、自分を活かして仕事できている感じがしませんでした。業務のなかで気づいた改善の余地をなんとかしたい。もっと効率的にしたいのに、決められたことだけしていればいいという仕事は、私には合わなくて……。
 
北村:働き方改革の一貫で「残業はするな」とよくいわれますが、どう思います?
 
ほしのさん:人によって持っている資質が違うように、時間や仕事の範囲が決まっている方が力を発揮できる人もいれば、時間制限がないほうが力を発揮する人もいるんですよね。働き方改革によって全員に一辺倒な対応をしてしまうと、そこに合わない人がやめてしまうケースはあると思います。
 
北村:全員に同じ条件を当てはめるのではなく、きちんとその人の強みとか、生き方とか、きちんと理解したうえで働き方を考えていくのが重要になると、ほしのさんのお話を聞きながら思いました。
 
ほしのさん:私は個人でコーチ業をしているので、仕事の時間も流動的です。夜、コーチングセッションを終えてから事務仕事やブログを書くこともあります。ブログを書いている時、私は1人時間にウキウキしながら書いているんですけど、夫からすると「大丈夫かな?」と心配に思うこともあるみたいです。夜中まで働いていてつらくないかとか。そこは誤解のないように、私はこの仕事にやりがいを持って取り組んでいて、疲れよりも楽しさのほうが勝っていることを伝えるようにしています。
 
北村:人それぞれの強みを活かすことへの理解が深まると、世の中は働きやすくなるのかなと思うんですけどね。
 
ほしのさん:ほかにも、私は学ぶことへの欲求が高い「学習欲」という資質を上位に持っています。好奇心が旺盛で、興味のある分野を体験しながら学んでいくことが好きです。職場で仕事のやりがいが見つけられない・好奇心が満たされない時には、積極的に社外へ学びに出るのもこの強みのお陰で、コーチングとの出会いをつくってくれたともいえます。
 
新しいことに取り組むのが好き。学ぶのが好き。何かを成し遂げるのが好き。クリフトン・ストレングス®を通じて、そんなふうに自分の好きな事・強みに気づきました。その好き、得意を活かす場面がないと、人は強みを発揮できずしぼんでしまうのだと思います。
 

強みを理解し、「問い」を自分で問えると人生が歩みやすくなる

 一般論の枠組みに自分を当てはめて考えてしまい、苦しむ人がいます。そういった苦しみを感じている人や道がみえず迷う人は多いもの。疲れてしまったときは、どうして疲れているのか、何があると自分は満たされるのか、問いかけることが大切なのだそうです。
 
北村:人間関係に優しい方は、人の気持ちに寄り添いすぎて自分のことを後回しにしてしまい、余計に苦しんでしまうところもあるかも。本当にそれはやりたいことなのか聞いてくれる人がいたら、もう少しは世の中が変わるのかな?
 
ほしのさん:”誰かのため”を思うのが生きがいの方は、誰かの気持ちに応えることに喜びを感じていて、それもナチュラルだと思います。それで心が満たされていれば、そのままでいいと思いますよ。でもやりすぎて疲れてしまうこともありますよね。そんな時には、ちょっと自分を満たす行動にも目を向けてみるとか、どうしてその行動・考えを選ぶのか見直してみるチャンスかもしれませんよね。例えば「ありがとう」の言葉が嬉しいのはわかっているけれど、誰から言われると一番嬉しいんだろう?とか、どんなシーンが一番満たされるんだろう、とか。もしかしたら今自覚している他にも選択肢があるかもしれないんですよね。
 
北村:そういうときに頼れるコミュニティーがあると、その時々の問いにヒントをもらえて助かる人も増えるのかな?
 
ほしのさん:そう思います。
 
強みを活かして生きるということはセルフィッシュと同意義です。セルフィッシュは、直訳すると「自分勝手」と誤解されてしまうのですが、コーチングでは「自分らしくあること」と捉えます。一見、わがままと映るかもしませんが、「自分らしくあること」こそが、巡り巡って自分も周囲もハッピーにします。セルフィッシュになるとは、ウエルビーイングとも同意義なんじゃないかなと。
 
北村:長野県の女性に限らず、男性も、そして、日本中がそういうふうに「自分らしく」生きられたら、すごい幸福度もあがりますよね。
 
ほしのさん:そう思います。決してみんなが私のような生き方をしたほうがいいと思っているわけではありません。自分の強みを自分で理解しているか、活かせる場所がわかっているかどうかで再現性が変わり、幸福度は変わると思います。私の場合、自分の人生をつくっているという感覚になれたのは、コーチングやクリフトンストレングス®︎との出会いを通じて、自分の強みを知っているお陰だなと思います。

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