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人間がつくったもの

私はダムが好きです。
もし体力十分でバイクの運転が上手な独身ならダムめぐりをしたいなと時々妄想をめぐらせます。
実際は車の運転すら危ういので、理解ある夫が運転してくれる時限定でダムを見学しに行っています。

私は自然を大切にしたいと思っています。自然に癒しを貰うと同時に畏怖を感じており、守りたいと思うからです。
なのになぜ自然をたくさん破壊してしまうダムに惹かれるのか。
それは、先人達の努力には自然への思いと通じるものがあるからです。

テレビで黒部ダムの特集があると必ず見ます。
そこで語られるのは決して少なくない人数の方が犠牲になった事。
そして隣接する人造湖をつくるために沈んだ村も存在する場所がある。
自然だけでなく人間の犠牲を多く払った上でダムは出来ています。

そこまでしてダムを作った意味、国や行政ののっぴきならない事情もあったと思います。
でも先人達の努力があったからこそ今私達は水害に怯えず日常を送り、安心して水を飲み、衛生を保たれている事は事実です。
人間の進化と自然環境の関係を考えると悩みますが、そうやって死力をつくしてくれた人がいた事に私は素直に感謝をしたいです。

道路めぐりも好きです。
ヨッキれんさんという全国の廃道、酷道、険道、隧道等を探索してまとめているブロガーさんが好きで、新婚の頃近場のそれっぽい場所によく夫と出かけました。夫は運転が好きでわりと上手なので今思えばよく落ちなかったなという崖っぷちな道路にも連れて行ってくれました。
この道を切り開いた人は本当にすごい、という道にたくさん出会いました。

そして隧道、いわゆるトンネルですが、たまによくこんな場所を掘ろうと思ったなと感じる場所があります。しかし歴史を紐解くと、そこは昔冬季には雪で陸の孤島となってしまう場所だった等住人達の当時の切羽詰まった事情を知ることができます。
生きるために掘られた隧道、作られた道がたくさんあります。そして当時の道の中には役目を終えひっそり自然に還ろうとしている箇所もあります。

人間のむやみやたらな環境破壊は決して賛成出来ませんが、人間が生きるために犠牲があっても立ち向かった道路や構造物を憎む事は私には出来ません。
地域のため、次代の人間のため懸命に尽力してくださった方々に感謝しながらその恩恵をありがたく使わせていただきたいです。

そういう方々にも、私は自然と同じように畏怖の念を抱かずにはいられません。

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