就活ルール廃止は日本型雇用変革の象徴

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34913280T00C18A9EA1000/

就活ルール廃止に関するニュースが出ていました。

エントリー開始、説明会開始、内定式を経て一括に4月1日入社、これらの時期について経団連が自主的に設けてきたルールの変革が始まっています。

そもそも、これは法律上のルールではなく、経団連加盟企業の自主的ルールです。そのため、経団連に加盟していない日本企業やベンチャー企業、外資系企業にはそもそもこんなルールはありません。

一方で、このようなルールがあるのは、学業との両立という面が言われていますが、そもそもは日本型雇用において採用というのはほぼ新卒一括採用に偏っており、一括採用により「同期」が生まれ、終身雇用のもと、年功序列の横並びで会社生活を送っていくというまさに日本型雇用を象徴するシステムの「入り口」でした。

しかし、この記事にもあるように中国企業など外資系は、優秀な学生であれば時期を問わず、また、報酬も非常に高額な(初任給40万円など)オファーを出すことも見られます。

発言の背景にあるのが、世界的な人材獲得競争だ。特に世界的に不足しているIT(情報技術)関連の人材は中国企業などが好待遇で囲い込んでいる。三菱ケミカルは同日、中西氏の会見を受け「通年採用を早く開始すべく検討を始めている。新卒採用は学業に影響のない方法があわせて検討されるべきだ」とのコメントを発表した。

世界的にIT・技術系をはじめとして優秀な人材獲得競争が続く中で、日本の経団連加盟企業だけが足枷をはめた状態で採用活動をするというのは合理的ではありません。

また、そもそも新卒一括採用は終身雇用スキームの入り口ですから、今後の右肩上がりな成長が保証されていない時代において、年功序列・終身雇用が事実上崩壊している中で、新卒一括採用を見直すということは必然であると言えるでしょう。

そして、学業との両立と言いますが、個別採用、通年採用により早く内定を取って勉強に集中したい人、留学・旅に出て自分の好きな時期に就活したい人、その他やりたいことがある人などは時期にとらわれない就職活動のあり方を歓迎する向きもあります。実際、多様な人材獲得によるイノベーションを目指すのであればその方が合理的でしょう(ただ、一括採用に比べてコストはかかります)。

一方で、就活ルールの廃止は時代の必然とも言えますが、若い人にとっては本当はどっちがいいのか?という側面があります。

というのも、欧米では就活ルールなどはなく、ポジションごとの採用となるわけですが、そうなると学生と中途採用が同じ土俵で競うことになるため、若年失業率が上がりうるということです。新卒一括採用が若年失業率低下に寄与していることは間違いありません。

今後は、就活時期にとらわれず、また、ルールに一喜一憂するのではなく、インターンや企業訪問を通じて、自分のいきたい企業のイメージを早い段階から作ることが求められます。就職氷河期世代の筆者より。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?