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倉庫管理システムを安全にリプレースした話

こんにちは、エンジニアの木村です。

早いものでクラシコム歴2年目に突入いたしました。入社当時1歳だった息子もいまや3歳で、最近はパウパトロールに夢中です。

今回は、前回の記事で軽く触れました、倉庫の入出庫業務改善プロジェクトの倉庫管理システムリプレースについてお話します。

倉庫管理システムリプレースプロジェクトの概要

クラシコムの事業成長にともない、入出庫能力のさらなる向上をはかる必要性が出てきました。そこでひとつの改善策として、倉庫にシャッターアソートシステム(SAS)を導入することになりました。

SASとは、ピッキング作業を効率化するための機器とその制御システムです。同じ商品や同じ組み合わせの商品を一度にまとめてピッキングし、出荷先ごとの箱に仕分けることができます。このSASの導入を実現するため、従来の倉庫管理システムからSASと連携可能な倉庫管理システムにリプレースすることとなりました。

ここで言う倉庫管理システム(Warehouse Management System、以降WMS)とは、倉庫業務をサポートするシステムです。具体的には商品の入出庫管理や出荷準備、棚卸しなど倉庫業務にまつわる様々な機能を備えています。なお、クラシコムはECサイトや基幹システムは自社で開発・運用していますが、WMSは他社製品を導入しています。

WMSのリプレースは発注・入荷・出荷など在庫の動きに関わる業務すべてに影響します。そのため1年がかりで社内のあらゆる関係部署と調整しながら、下記プロセスに沿って進めていきました。

  1. リプレース後を見越した業務変更の実施

  2. WMSリプレース実施

1つ目の「リプレース後を見越した業務変更の実施」が今回のプロジェクトの肝となりましたので、次の章で詳しくご説明します。

リプレース後を見越した業務変更の実施

今回のプロジェクトでは安全にWMSをリプレースすることを目標に掲げました。ここで言う「安全」とは、リプレース後に混乱をきたすことなく正常に関連業務を遂行できることを指します。

安全なリプレース実現のため、下記の観点でリプレースを実施する前に倉庫と社内の業務変更を実施しました。

  1. 在庫の数量・金額の動きを整理する

  2. WMSリプレース後の業務に近付ける

在庫の数量・金額の動きを整理する

プロジェクト開始当初の在庫関連業務は、複数部署が関わるために煩雑な状況にありました。そうした状況でリプレース後に在庫の数量や金額に想定外の数値が現れた場合、原因究明が困難になることが予想されました。

そのため、まずは現状の業務フローを関係部署にヒアリングして把握した上で、在庫の数量・金額の動きをより正確に捕捉できるように部署横断で業務フローを整理しました。

プロジェクト開始当初に在庫関連業務フローをまとめた図
在庫関連業務フローを整理した後の図

業務フローを整理したことで関係部署の業務が減る場面もありましたが、在庫の数量・金額を記録するための新たな業務が発生したり、使用しているツールを変更したり、もともと別の部署が担当していた業務を引き受けなければならなくなったりする場面も少なからずありました。

一般的にこの手の調整は難航しがちですが、関係部署のメンバーがプロジェクトの背景・目的を理解してくれ、前向きにディスカッションをしながら業務変更を進められたことが大変ありがたかったです。変化をしなやかに受け入れて成長してきたクラシコムらしさが、こうした場面にも現れるのだと強く印象に残りました。

WMSリプレース後の業務に近付ける

WMSのリプレースは倉庫・社内ともに業務への影響範囲が広いため、リプレースと同時に業務変更を実施するとリプレース前後で業務のギャップが大きくなることが想定されました。

ギャップが大きければ大きいほど、万が一リプレース後にトラブルが発生した際の調査・対応が困難になります。そのため、できる限り現行業務をWMSリプレース後の業務に近づけ、リプレースした後の変更範囲を最小限にするよう努めました。

また、それら業務変更は段階的に実施していきました。そうすることで切り戻し可能な範囲に留めつつ、ひとつひとつの業務変更を実施・検証・修正することができました。

まとめ

今回、WMSをリプレースしたことでSASの導入が実現できました。そして、リプレース前に業務変更を実施したことで、想定通りリプレース後に混乱なく業務を継続できたことは大きな収穫でした。

そうしたアプローチが実現できた大きな要因は、倉庫および関係部署の多大なご協力によるものでした。この手のプロジェクトにありがちな調整のストレスが皆無という、恵まれた環境でプロジェクトを遂行することができました。

クラシコムの事業成長を支えるための業務改善はまだ道半ばです。たとえば会計業務の効率化など、解決すべき課題は大小さまざま存在しています。

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