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『民藝と暮らす』を終えて。〜その2〜

2016.06.10.    

先週、阪急うめだ本店9階祝祭広場で開催していた『民藝と暮らす』を
振り返ってます。

今回の催事は、イベントも盛りだくさんでした!
まず、初日6月1日にはスリップウェアの書籍の出版記念ということで
ライターの澁川祐子さん、スリップウェアの作り手から前野直史さんと齊藤十郎さんのお三方によるスリップウェアのトークショー。
古いものの流れから、今作られているスリップウェアのこと、それぞれの好みなども交えたお話でした。

1日の夕方と2日の朝には、長野県松本市で木のヘラを中心とした木工に取り組む若手 大久保ハウス木工舎の削りの実演がありました。
あまりしゃべることが上手でない大久保さんも、いろいろと話を振られるとひとつひとつ丁寧に答えてくださっていました。
木の塊が、鉋などの刃物で徐々に形になっていく様を実際にご覧いただけてよかったと思います。

2日の午後からと3日の朝には、宮崎県の高千穂で藁細工を生業としている
藁細工たくぼの甲斐さんにワークショップと実演をしていただきました。
藁を綯うという作業の難しさと楽しさを体験していただき、実演では
酉(トリ)飾りを作っていただきました。手足を使い器用に縄を綯い
形にしてく様子は沢山のお客様が興味深くご覧になってくださいました。

2日の夕方には丹波布(たんばぬの)技術協会の方が糸紡ぎの実演と
丹波布を使ったくるみボタンを作るワークショップをしてくださいました。
丹波布の歴史から、今に繋げるための活動のことなどをお話してくださいました。
くるみボタンをバッチやヘアゴムにすることで、丹波布を身近に感じていただきたいという思いが伝わりました。
格子柄が今もモダンで可愛らしく思える丹波布、コースターやセンターなどの敷物もありますので、いろいろとくらしの中で役立ちそうです。

3日の午後からは、松本民芸家具の池田素民さんによる『民藝家具の話』でした。
松本民芸家具が生まれるまでの経緯や、柳宗悦やバーナード・リーチ、浜田庄司など先達の大家たちとの関わり、そこから生まれてきた家具の話をみなさん興味深く聞き入っておられました。
『ものづくりを生業とするものは謙虚であるべきである。』
創始者 池田三四郎氏の教えは受け継がれ、職人の技も師から弟子へと繋がっています。
ぶっつけ本番だよ〜とおっしゃる素民さんのお話っぷりには脱帽です。

3日の夕方と4日の朝は、須浪亨商店5代目 須浪隆貴さんのいかご製作実演。
3日は瓶カゴ、4日はいかご(手提げ)の組み立てを見せてくださいました。
もともとはい草の栽培からを生業としてきた須浪さんのお家。
いろいろな時代背景とともに生業の形も変わり、今はいかごの製作のみを
生業とされています。
花筵などを作るのには短いい草を縄にして作り始められたいかご。
瓶かごは一升瓶を入れて醤油を買いに行くために、いかごは闇市に買い物に
行くために使われていたそうです。
最近、ブームのようになりつつあるいかご。
一時のブームだけではなく、ずっと使い続けていただきたいと思います。

4日の午後は、瀬戸本業窯の水野雄介さんと小鹿田焼坂本工窯の坂本創さんに世襲制の窯場の話をしてもらいました。聞き手は工藝風向の高木さん。
それぞれの産地の様子や特性などの説明をしながら、作り手としての色々な
思いなど、普段はなかなか伺えない話を聞けたと思います。
『ノイズのある仕事』
お二人のこれからの仕事が、ますます楽しみですね!

4日の夕方は福山で作陶に励む掛谷康樹さんに練り上げのうつわの製作実演をしていただきました。
違う色の粘土を組み合わせてつくる「練り上げのうつわ」。
いったいどのようにしてあの模様が作られるのか。
みなさん、興味深々でご覧になってくださいました。
実演後も質問攻めでしたが、ひとつひとつ丁寧に答えてくださっていました。

5日、千秋楽のイベントは工藝風向の店主 高木崇雄さんのセミナー。
『民藝って、何?』でした。
日曜日ということもありましたが、本当にたくさんのお客様が彼の話に
耳を傾けてくださいました。
民藝という言葉が出来た経緯、美術や工芸との違いなど、僕自身もゆっくりと話を聞きたいぐらいの内容でした。
そして、『民藝とは、友情である』。
この会を締めくくるにふさわしい言葉だったと思います。


初日朝一でお越しくださったお客様。
会期中に二度、三度とお越しいただいたお客様。
県外からわざわざお越しいただいたお客様。
沢山の、本当に沢山のお客さまにご来場いただきました。
ありがとうございました。

「楽しかった!」
「毎日来ても、飽きない!」
「欲しいものだらけで困っちゃう」
「来年も開催してくださいね」
嬉しいお言葉も沢山頂きました。ありがとうございました。

手弁当で集まってくださった、各店舗のみなさん。
お世話になりました。ありがとうございました。

素晴らしい会場を作ってくださった阪急百貨店関係者のみなさん。
お世話になりました。ありがとうございました。

沢山の品物を準備していただいて、設営や撤収のお手伝いににも
来ていただいた作り手のみなさん。
お世話になりました。ありがとうございました。

本当に疲れましたが、本当に楽しかったです。
またみんなで続けていければと思います。

銀座たくみ     野崎潤
          松井さん
べにや民藝店
仙台光原社     及川陽一郎
SML         宇野昇平
                    市川友希江
工藝風向      高木崇雄
plug        吉成佳泰
objects       佐々木創
くらしのギャラリー 赤木恵
          山本尚意
          高戸亜子
          仁科聡

松本民芸家具    池田素民
          中山義崇
出西窯       多々納真
瀬戸本業窯     水野雄介
藁細工たくぼ    甲斐陽一郎
須浪亨商店     須浪隆貴
大久保ハウス木工舎 大久保公太郎・修子
ライター      澁川祐子
生畑皿山窯     前野直史
juropottery     齊藤十郎
丹波布技術協会
惣堂窯       掛谷康樹
小鹿田焼坂本工窯  坂本創

つくも窯      十場天伸
紀窯        中川紀夫
やまぽた      山口和声
てつ工房      小島鉄平
小山田窯      山田洋次
袖師窯       尾野友彦
吹きガラス     安土草多
石川硝子工藝舎   石川昌浩
松本家具研究所   松本行史
目と手の工房    松崎修

※順不同 作り手に関しては準備、撤収などでアテンドしてくださった方のお名前です。
出品にご協力いただいたすべての作り手の皆さまに感謝いたします。