2020年の日々・コロナ流行後

2月25日 

昨日は、仕込みの後、劇団ミーティングでした。今、話し合わなければいけないことが沢山あり、昨日で3分の1、残り3分の2は後日と二回に分けました。昨日話したのは新年度からの劇団体制のことです。

Ortは今年4月から社団法人となります。活動イメージとしては事業の管理・渉外部門としての社団、事業の企画・実施部門としての劇団となります。僕は劇団主宰を辞め、社団の理事になります。というか、劇団主宰制を廃止します。

劇団で行なっている様々な事業は、これまで劇団主宰制で実施してきましたが、今後はプロジェクト・リーダー制にして、事業を行なっていきます。各事業のリーダーとサブリーダーを劇団員が受け持ち、予算、人員、スケジュール、連絡報告を事業ごとに管理・進行することになります。

主宰が担っていた権限と責任を分散して、対外的な社会的責任は社団が受け持ち、事業の内部的な進行上の責任は各プロジェクトのリーダー陣が受け持ちます。芸術性については、社団と劇団が一体となって、向上を維持します。

なぜこのような組織体制の変更を行うのか、詳しくはいずれかの機会に書きますが、構成員の持続的な活動と自己実現のために、やってみることにしました。1つの実験だと思っていただけると幸いです。2020年以降を睨んで、様々に自己改革を行なっていきたいと考えています。

2月27日

本当に、腹わたが煮えくりかえっているし、頭ブチ切れてるけど、ぐーっと押し殺して現実的に対処する。でも、この怒りもまた絶対に忘れない。俺は諦め悪いし、粘り強いし、執念深いから、ずーっと、腹の底に怒りを溜めたまま、生き続けることができる。絶対に闘い抜いてやる。

2月28日

総理は総統では無いし、要請は号令では無い。地方自治体を支える皆さんは、今こそ「自治」を行なって欲しい。この国は地方分権なのだから。

2月29日

9年前、原発から上がる煙を見た時に、春休みを自主的に一週間繰り上げ、子どもたちだけ宮崎に避難させる決意をしたことを思い出した。

Facebookでメッセージを発信。

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立川市では3/2午後より末まで公立の小中学校が休業となることが決定されました。敷地内に子どもたちのための施設、たまがわみらいパークを擁する「たちかわ創造舎」は、やむを得ず臨時休館いたします。そのため、3/28に予定していた、ほうかごシアター『少年少女たんてい団vsかいじん20面相』も中止となります。初の謎とき・よみしばいへの挑戦はまた今度となりました。
加えて、明日から3月中の日曜日に実施予定だった立川シアタープロジェクト「子ども未来エンゲキ部」、3/20に実施予定だった市主催のファーレ立川ミュージアムデーでの野外劇『ファーレの国のアリス』も延期となりました。
ほうかごシアターは台本書き出す前なので、まだ良かったのですが、こんな時期だからこそ、地域の皆さんや子どもたちに喜びや楽しさを提供したかったと忸怩たる想いがあります。ですので、民間でそうした喜びや楽しみを提供しようと、万全の準備を整え、お客様に丁寧な呼びかけをしながら公演を行う方達に敬意と応援の気持ちを表します。ありがとうございます、僕らのできない分、頼みます。私たちはこの経験から何を学び、どう活かすべきなのかを、これから冷静に考えていかねばなりませんね。
さて、僕自身は4月はもともと本番を入れてなかったため、2ヶ月丸々本番が無いことになります。たぶん、じっと力をためる時期なのでしょう。正直に言えば、もろもろガタが来ています。5月からは怒涛の公演ラッシュになることは、今のところ決まっていますので、その時がきたら全身全霊で闘えるように、自分を整え備える春にしたいと思います。
何がどうやら判然としない理不尽な状況のため、どうしてもストレスやパニック、憤りに襲われてしまいがちですが、皆さまの心と体が健やかに保たれますことを願って止みません。先日の『ドン・キホーテとサンチョ・パンサのおかしな旅』の最後のセリフを記しておきます。「おしばいはいったん終わりますが、旅は終わらず、夢は終わらず、人生は続きます。また、どこかでお会いしましょう」。

3月1日

【Twitterの個人アカウントから劇団アカウントへのフォロー切り替えのお願い】
思うところありまして、Twitterの個人アカウントでの発信を今年度末で停止いたします。

以後、演劇関係のツイートや公演などの情報発信は劇団アカウントで行いますので、Theatre Ort(@Ortdd_tweet)をフォローしていただけますと幸いです。
https://mobile.twitter.com/ortdd_tweet

facebookでの個人発信は続けますので、これまで通り、よろしくお願いします。

3月16日

如月小春さんの『続・八月のこどもたち』を読んだ。途中から涙がボロボロ溢れてきた。今、自分が直面している葛藤に、もう何年も前にこのような聡明さと誠実さで立ち向かった先人がいる。僕はすでに如月さんの亡くなった歳を超えて久しい。今、お話してみたかったと叶わぬ望みを抱く。

3月18日

毎年のこの時期にありえない、のんびりとした時間が流れています。とはいえ、通奏低音のように不安や苛立ちもつきまとっています。心が弱ってる時には言葉が身体性を失ってヒステリックになりやすいので、意図的にSNSと距離を取ることで、心が弱ってる状態を自分に許しています。特にTwitterは沈黙させています。今日は、一期生以来、10年ぶりに洗足音大ミュージカルコースの卒業証書授与に立ち会えました。夜は日本橋でNTL『フリーパッグ』鑑賞。そして本日、悩んだ末にノート型でなくiMacを購入しました。ゆっくりと回復へと自分を向かわせてもいます。

3月27日

先日は、たちかわ創造舎のあちこちを撮影場所にして、「ほうかごシアター人気投票」の結果発表動画を撮影しました。もしかしたら、今後こういう撮影もしばらくはできなくなるかもしれないなと思いつつも、撮影は楽しく進みました。動画は、本来ほうかごシアター春休みスペシャルの一環として発表するはずだった3/28に公開します。ご期待ください。
それにしても、学校の校舎で撮影なんかしてると、俺たちは永遠の文化祭を生きてるのかもしれないという錯覚に陥る瞬間が確かにある。

昨日は、夜の小池都知事の記者会見で週末からロックダウンがあるかもと予測し、江戸川橋駅から神田川沿いを都電早稲田駅付近まで桜並木を見ながら、ぶらぶらと歩きました。バスに乗ろうと早大正門前まで来ると大隈講堂前にたくさんの学生。そういえば早稲田は毎年3/25が卒業式だったんでした。
28年前、自分もこういう中の一人だったが、卒業後、就職するわけでも進学するわけでもなく、ただ演劇を始めることだけを決めていた。やったこともない演劇で世界を変えてやるという根拠の無い過信と楽天さで高揚していたことを思い出した。

今日は、こちらも今のうちに観ておこうと、キノシネマ立川で『三島由紀夫VS東大全共闘』を鑑賞。1969年、僕が生まれた年に起きた事件。文字と写真でしか知らなかったこの出来事、議論されている内容も興味深かかったが、何より三島と東大生の、身体とエネルギーを感じる姿と言葉(声)に釘付けになった。確かにこれは映像でなければ伝わらない。左右両翼から現代社会を変革しようとする知と熱は、現在のネトウヨやパヨクと呼ばれる人々、クイズ番組の東大王やコメンテーター文化人とは異質なものだ。三島も、全共闘も、ある世代から上は複雑な想いを抱くだろうが、知らない世代には観ておいて欲しいなと思う。この週末は無理だとしても。

50年前の東大生、28年前の早大生、そして今の大学生、もちろん共通するところもあるんだろうが、全然違うイキモノだよなと、あらためて感じた。まあ、違って当然だ。お互い、受け入れ合うしかない。一つだけはっきりしてるのは、俺は世界を変えられなかったということだ。世界は勝手にどんどんと変わっていった。すまねえな、学生時代の俺、と思う。そういう意味では自分も敗北者で、しかもそれは現在形で続いていて、撤退戦をゲリラ戦で戦い続けている。それが永遠の文化祭なのかもしれない。

3月28日

確定申告は済ませた。コミュニケーション能力向上事業の報告書類も完成させた。これで今年度中の宿題は終わり。来年度に向けて動き出せる。疫病の流行、オリンピック延期によって大きく予定が狂ったのは自分も同じだが、もともとこうなる前から持っていた違和感、危機感の解消に向けて来年度は動く。具体的には「劇団の法人体制、契約関係の整備」「芸術文化と政治の関わりついて学びたい地域のアーティスト、政治家、産業人、市民が集まる機会の創出」「30代の演劇人の活躍の後押し」。どこまでできるか、乞うご期待とご協力。来月はじっくりと思考を巡らす時期にする。

3月30日 

たちかわ創造舎のFacebookページでディレクターメッセージを発信。

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【ディレクターの倉迫から皆様へ】

 疫病の世界的な拡大と深刻化というかつてない事態の中、2019年度が終わろうとしています。
 たちかわ創造舎は立川市と協議しまして、現在、一般の方の利用を制限する臨時休館中です。敷地内のA棟は各事業の事業者が入居しているため、時間を短縮して関係者の利用を可能にしていますが、B棟の「たまがわみらいパーク」は運営事務所のみのオープンとなっています。この対応は4月12日まで続きます。今後、延長する可能性が無いとは言えません。ご理解、ご協力をいただいている市民の皆様には、お礼とお詫びを申し上げます。

 地域住民の方の憩いの場であり、子どもたちの居場所であり、芸術やスポーツという文化創造の場である、たちかわ創造舎が、今このような時期に活用できないことに忸怩たる想いがあります。新型コロナウイルス感染を広げないという強い目的のためと頭では承知していますが、悔しく悲しく、何より申し訳ないです。このような状態になって、あらためて私たちは市民の皆様との会話や、子どもたちの笑顔、声に励まされて生きていたのだと、痛感しています。

 私たちは1月2月に、特別支援学校で「よみしばい」の上演を依頼を受けて行いました。この学校で演劇の上演を行うのは初めてとのことで、担当の先生方も私たちも笑顔の裏に一抹の不安を抱えながら、1月は中学生たちの前で、2月半ばには小学生たちの前で上演を行いました。
 上演前、特に2月は、かつてない緊張に俳優たちは包まれ、上演中は客席の子どもたちの反応を全身で受け止めながら、必死で演技を届けてくれました。その結果、舞台と客席が呼応する演劇の場が学校の体育館に確かに出現しました。「子どもたちがこんな反応をするところ、見たことが無い」と先生方にも言っていただけました。
 私は、客席から退場していく子どもたちの、はしゃいだ笑顔、照れた笑顔を見ながら、「私たちはやれる、演劇をもっと多くの人たちに届けられる」という高揚感を持ちました。

 それからわずか一ヶ月半、私は今、何もできない状態にいます。
 もちろん、そうした状況の中でも、私たちに何かやれることは無いか、届けられるものは無いかを模索し、創造舎のスタッフと相談して、動画配信を行ったりはしています。けれどやはり、市民の皆様や子どもたちに直接会って、同じ時間を共有する歓びにはかないません。
 私たちはその歓びの日々を早く取り戻せることを願いながら、来年度の事業の準備と施設維持のための管理にスタッフ一同励んでおります。「芸術文化を創造し、できるだけ多くの人に届ける」「芸術文化を通して市民の生活を応援する」という、私たちの使命は2020年度も変わりません。
 たちかわ創造舎という【場】を守り続けますので、どうか新年度も変わらぬ応援とご期待をよろしくお願いします。

たちかわ創造舎チーフ・ディレクター 倉迫康史

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