週末の夜、倉敷美観地区のギャラリー&カフェ青い鳥で、AKIKO&フェリーペ中村によるボサノバデュエット「ブラジリアン・ナイト」を聴く
11月19日の夜、倉敷美観地区のギャラリー&カフェ青い鳥で、AKIKO&フェリーペ中村によるボサノバデュエット「ブラジリアン・ナイト」が開催されました。
ブラジルの音楽において、明るくはつらつとした曲は、曲の印象とは違って、実は、悲しみを歌っているのだそうです。ブラジル人は、悲しみの中に明るさがあると考えるからだとか。あの明るく躍動するサンバは、実は、悲しみを歌ったもので、生活の苦しさから、こころを開放する音楽なのだとか。
対照的に、ボサノバの多くは、静でゆったりとしていますが、明るい愛の歌だそうです。しんみりとした曲で、明るさを表現するのがブラジル人なのです。
それは、ブラジルの風土が影響しているかもしれません。ブラジルは雨を歌った歌が多い。そして、うつろう恋と、雨とは、つきものです。日本では演歌以外で雨を歌った曲はまれです。日本には梅雨があり、雨も長く降りますが、ブラジルでは、梅雨がないし、雨は、よく降るけれども、すぐにあがるのだそうです。ブラジルの雨のように、ブラジル人は、悲しみから立ち上がるのが速いに違いありません。
山の斜面で貧しい人達が生活しているファベーラと言われる地域は、最低限の生活物資や社会インフラが不足し、子供への教育が充分に行き届かない絶対貧困の場所です。しかし、そこに行ってみると人々の愛にあふれた場所であったとのことです。
ボサノバの根底には、ヨーロッパのクラシックをベースにして、サンバと、ファベーラの人達の唄とが融合していて、せつせつと愛を語り、悲しみと喜びの両方を歌い上げます。
ブラジル人のメンタリティは、とても豊潤で複雑なようです。
ライブの演奏曲はあらかじめ決まっていないそうで、フルート奏者のAKIKOさんが主導して、一曲一曲その都度、選曲しながらライブは進みます。
AKIKOさんのフルートの音は清水のように混じり気がなく、揺れることなく、伸びやかにたなびく音の表現が見事です。
小さな会場なので、演奏者の身体が間近に感じられる空間でした。声帯から口腔・咽頭のかけての筋が細かくリズミックに制御され、フルートと奏者が一体となって、音の共鳴空間を完璧にコントロールされているのが五感で認識できます。
ギターのフェリーペ中村さんは、曲調に合わせて伴奏を自由自在に変化させます。二人の演奏者が一体となった世界が、受精卵から生命が発生する時のように自己生成されて行きます。
演奏の自由度が大きいお二人は、会場からのリクエストにも応える形で、会場とも一体となってライブは進みます。ライブ空間は、ジャズや映画音楽やポップスの世界まで拡がります。台本がなくアドリブなのに、ブレることなく、デスティネーションに到着します。お二人のエンターテナーとしての「職人技」が隠し味になっていたショータイムでした。
最後は全員で記念撮影です。
ここで心を解放されて、1年のフィナーレとなる師走へ向かって、再び集中して行けそうです。
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*使用した画像は、青い鳥・マスター、田口哲男さんより提供していただきました。
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