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ノウハウの「交換」を「共創」と捉えると

kintone界隈の学習において特徴的なのが、kintone Caféなどの学習コミュニティが活発なことです。kintoneの活用方法はもちろん、連携サービスや、業務改善・組織開発的な話しまで様々なノウハウが活発に交換されています。

今回はその学習コミュニティで起きるノウハウの「交換」を「共創」と捉えることで、学習コミュニティが活発な要因を探りたいと思います。


「テイカーにも意義がある」

先日の「日本デザイン学会」での口頭発表では「コミュニティにおけるテイカーの位置づけと意義」という題目で発表させていただきました。

一般的に、コミュニティは献身的な活動をしてくれるギバーによって成り立っており、テイカーと呼ばれる「与えるよりも多く受け取ろうとする人」は歓迎されません。

しかし、様々なインタビューから見えてきたのは「学習コミュニティに参加する人は最初はテイカーであることが多く、その人達は自分はテイカーでいたいわけではなく、できればコミュニティに貢献したいと思っている」ということでした。

つまりギバーかテイカーかは、その人自身の固定化されたパーソナリティではなく、コミュニティの参加度合いによって構造主義的に決まるものであると言えます。さらに、そのテイカーがギバーに変化するには他者の関与が必要であり、コミュニティの新陳代謝を促しコミュニティの活動を活発化させるためには新規参加者すなわちテイカーが重要である、という内容で発表させていただきました。

今回の5つの発見
モデル図

価値交換ではなく価値共創なのでは?

この口頭発表でいくつか質問をいただき、どれも貴重なフィードバックでありがたかったのですが、特に掘り下げたいと思ったのが「学習コミュニティにおける教え合いを価値交換モデルとして捉えるのではなく価値共創モデルとして捉え直せるのではないか?」というものです。

価値交換というのは、ある人からある人に「モノ」が移動しているようなイメージです。この移動する「モノ」は、物理的なモノだけではなくノウハウなども含まれます。このような捉え方を「グッズ・ドミナント・ロジック(Goods Dominant Logic)、以下GDL」と呼びます。

一方で価値共創というのは、ある人とある人がそれぞれ持っている「モノ」を差し出して新しい価値を作り出すイメージです。このような捉え方を「サービス・ドミナント・ロジック(Service Dominant Logic)、以下SDL」と呼びます。

価値交換と価値共創のイメージ

GDLとSDLは捉え方の違いなので、「これはGDL」「これはSDL」というものではありません。「あるモノのやり取りをGDLで捉えると見えなかった関係性やコンテキストが、SDLで捉えることで提供者と受益者はこんな役割を担っているのかもしれない。。。」というようにリフレームすることができます。

このSDLの捉え方で「学習コミュニティにおける教え合い」見てみると、「教え合いは、ギバーだけではなくテイカー(教えて貰う人)がいることで成立している」とも言え、これは前述の「テイカーには意義がある」という論とも繋がります。

「受け手の負担感」を捉え直せるかもしれない

テイカー(テイカーでいることに抵抗はあるけど、状況的にテイカーになる人)が、コミュニティにおけるノウハウの「共創」に一役買っているということが明らかになれば、テイカーであることの負担感・ノウハウを教えてもらう人の負担感・受けての負担感を捉え直し、軽減できるのではないかと考えています。

もちろんその時、単に「負担を感じる必要ないよー」と伝えても効果は薄いので、その負担感を意識しなくてもいいような仕組みや関係性をデザインするのが、私の研究の本丸になりそうです。

いつものもしもCARAVANに出展します

今回はそのプロトタイプの一環として、無印良品が実施している「いつものもしもCARAVAN @ イオンモール名取」に出展し、ノウハウの交換についてのリサーチをしたいと考えています。

いつものもしもCARAVANは防災イベントですので、今回は「防災ノウハウ交換ボード」というものを用意して、防災ノウハウを出し合ってもらおうと思っています。

防災ノウハウ交換ボードイメージ

今後

今後はグラミン仙台のプロジェクトに参画しつつ、そこでの学び合いを活性化し自走できるチームにするには何が必要なのかを研究していきたいと思います。


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