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やりたいことに対して全力で挑戦してきた人生~谷口諒さんの人生の選択~

「なんて素敵な人生を歩まれてきたのだろう。私もこんな風になりたい。」
小千谷に行き、インタビューをして一番に感じたことだ。この日を境に、私がずっと悩んでいた進路に関してのもやもやはどこかに飛んで行ってしまった。そのくらい、この1時間半は私にとって大きな影響をもたらしてくれた。
 
 今回訪れたのは小千谷市にある『テレワークステーションおぢや』。とてもスタイリッシュでわくわくするような空間が特徴のコワーキングスペースだ。このスペースでコミュニティマネージャーとして働いている谷口諒さんに話を伺った。将来私たち大学生がどのようにキャリア・ライフプランを選択していくか考えるため、谷口さんがどのようなキャリアやライフプランを選択してきたのか、人生観や今までのご経験等など伺った部分をまとめながらこの記事で深掘りしようと思う。

谷口 諒(たにぐち りょう)さん
1992年新潟県小千谷市出身。法政大学文学部英文学科卒。 
広告やWEB・アプリ製作のディレクターを経て、2022年8月から新潟県小千谷市にUターンし株式会社あわえに入社。現在「テレワークステーションおぢや」のコミュニティマネージャーとして勤務。

地元小千谷での仕事

 谷口さんが働く『テレワークステーションおぢや』は、コワーキングスペースのほかに会議室を備えた施設。会議、勉強、読書…など、様々な目的を持つ人が集まる拠点として、目的に応じた使い方ができるスペースである。様々なイベントも実施しており、プログラミングや動画の企画・撮影・編集、3Dプリンターの利用イベント等実に多くの使い方ができる施設だ。
 
 谷口さんはこの『テレワークステーションおぢや』の運営をしつつ、小千谷市内で様々なイベントを企画している。例えば小千谷市内の商店街に人の流れが生まれるように、空き店舗等を用いたマルシェを企画、実施。その他にも、小千谷市内でのIT人材が少なく、DX化が遅れている現状から、ITの知見を持った学生が企業に入りIT化を促進できるように、ITに関する人材育成に関するイベントも行っている。人材育成に関しては、学生主体で色々動いてもらえるような仕掛け作りも行っているそうだ。
 ここに述べたイベント以外にも非常に多くのイベントを企画、運営しており、多岐にわたるお仕事を谷口さんは1人で回している。筆者は話を聞きながら1人で回していることに衝撃を受けた。そんな谷口さんの生い立ちに迫る。

学生時代のこと 

 そのときやりたいこと、やれることに全力で挑戦する。そんな学生時代を送っていたという谷口さん。中学時代は部活に勉強、生徒会。高校はテニスの強豪校に進学。大学では学業だけでなく、『my Japan Award』という日本の魅力を世界に発信する映像作品のコンテストへ友人と参加、そして運営など学外の活動にも力を入れていた。興味があることに対しては何にでも挑戦する性格から、周りからは行動力があると言われていた。
 
―新しい環境に飛び込んだり、新しいことに挑戦するのは怖くないんですか。
 
「怖いと考えたら怖いんですけど、やっちゃえと思ったらわりとやっちゃう方で。」
 
 浪人していた自分とストレートに進学し、インターン等様々な活動をしていた高校の同級生と比較したときに、悠長に大学生活を過ごしていてはいけない、と谷口さんは考えたという。

地域に興味を持ったきっかけ 

 地域に関して考えるようになったきっかけは、大学時代に海外旅行でインドネシアに行った時のこと。日本語を学んでいる女の子に出会い、日本語で話しかけてくれた瞬間があったそうだ。
 
「自分は日本のことで伝えられることが全然ない。もっといろいろな地域、場所を観たい。」
 
また上記のコンテストを通して地方に足を運び、そこで様々な人と出会ったという。例えば、自分で事業を起こす人や、新しいことをどんどんやってきたいと活動する自治体の職員の方。様々な出会いを通して、地域や場に関わる仕事にしたい、地元の小千谷に還元したいという想いに繋がっていった。

何度も転職をくりかえしてきたワケ

 就職の際、地域やそのコミュニティに関わる仕事がしたいと様々な活動から考えていた谷口さん。しかし町や地域に関わる仕事がなかなかなかったり、地元の小千谷で仕事をするイメージがあまりわかなかったそうだ。そこでまずは興味がある仕事をやってみようと、新卒では広告の仕事を選んだ。
その後、谷口さんは5度も転職を繰り返すことになる。自分がどうありたいかを常にイメージしていく中で、そのゆく先を考えた結果環境を変えて挑戦し続けたのだ。自分がやりたいことに対して徐々にステップアップしていったという感覚だった。
 
「転職に関してもいろいろなところへ行くっていうことに対しては本当に抵抗がなく、やりたいことがあれば飛びついて、いろいろやって…みたいな感じですね。あんまり会社を変えることにハードルはないというか。抵抗なくやれる時代なのかなと思ってて。」
 
 筆者もそうだが、転職したことない人にとって、会社を変えるのはハードルを感じてしまうことも多い。しかし意外と転職も様々な学びが得られると谷口さんは言う。「やりたい」を尊重してどんどん挑戦してきた。その結果が転職であっただけ。そんな風にお話を聞いて感じた。

新潟に戻る選択~二地域夫婦生活のこと~

 やりたいことを突き詰めてきた谷口さん。コロナ禍に突入し、東京に息苦しさを覚え、環境の変化を求めていた2022年春頃、地元の友人から「テレワークステーションおぢや」の立ち上げスタッフの求人情報を共有してもらった。地元で自分がこれまでやってきたことを活かせる仕事が巡ってくることもないだろうと企業連携型地域おこし協力隊として「株式会社あわえ」に入社し、現在小千谷にUターンして働いている。前職に転職する前から地域や場に関わる仕事がしたいと考えていたこともあり、谷口さんにはぴったりの職場だったと言えるだろう。しかし、奥さんは東京に暮らしており、二地域生活を送っているのだという。
 
―奥さんは小千谷に戻ると決められた選択に対してどのように思われていましたか。
 
「割とお付き合いしている段階から小千谷に遊びに来たこともあって、地域のことも知っていたし、僕が今までやってた仕事の話とかいろいろ知っているので、Uターンに挑戦することに対してどちらかというというと応援してくれていました。妻も、色々自由にやりたいことが多い、アクティブな人なので、背中を押してくれたところもあります。彼女もまだ東京で色々仕事したいと思っているところもあったりする人なので。」
 
お互いのやりたいことを尊重できる、ベストな形がこの二地域生活であった。実は、以前は奥さんが京都と東京の二地域生活をされていたそうで、乗り越えてきた過去があったのも二地域生活に踏み切った理由だったという。
 今後のライフプランに関しても奥さんと話しているそうで、いつか地方に住むという考えは一致しているそう。アクティブに何でも挑戦することが出来るのは、奥さんの存在も大きいのかもしれない。

東京で働くこと、新潟で働くこと

 実際に東京に暮らし働いた経験と、新潟に暮らし働いた経験の両方をもつ貴重な方だ。東京に比べ新潟の何を魅力に感じているのだろうか。
 
―新潟で働く良さとか、住む、暮らすことに関して何かいいなと思ったことはありますか。
 
「社会人になって戻ってきたことでわかったことが多くて。今まで知らなかったものや気づいていなかったことに気づけたり、それを見つけたりするのがすごく面白いなって。」
 
学生時代には行くことがなかった地域やお店や、そこの良さ。今まで当たり前だと思っていた田んぼや畑の風景の裏にある作業に気づいて感化された。大変な農作業をする人がいなかったらこの風景はなくなってしまう、と農業の跡継ぎ問題まで考えが及んでしまう。そして地方のそのような問題が目の前に差し迫っていることまで、身をもって気づくきっかけになる。
またこんなことも谷口さんは仰っていた。
 
 「東京ってすごい人口が多いから、自分の仕事が、誰に対して具体的に効果が出たか、世の中に貢献できたか肌感が全然ないんですよね、僕の中では。小千谷では、この商店街に対してこういうことができたっていう具体的な実感が得られるっていうのは、こういう地域ならでは。東京の仕事をやってるときには得られないものだったなあと思います。」
 
 東京にいるときは規模が大きい仕事ができるかもしれないが、それにやりがいを感じるかどうかはひとそれぞれ。目の前にいる人を笑顔にしたい。そういう人には地域に対して影響を及ぼす仕事の方がモチベーションに繋がるという。東京と新潟で働いた谷口さんだからこそ気づけたことだ。

筆者が思ったこと

 筆者は新潟が大好きだ。新潟に住み続けたいと思うこともたくさんある。ただ、この先自分が人材としてもっともっと成長したいし、学び続けたい、刺激のある環境に身を置きたいという気持ちもある。そんな中今回お話を伺って、このような選択があったか!と人生の選択が広がった。インタビューをする前は、女性としてキャリアプランやライフプランを考えると将来に不安は大きく、自分が思い描いているすべては実現できないだろうというというマイナスな気持ちが少なからずあった。しかし、自分の本心に忠実に、自分の道を自分の手で切り開き、生き生きと働く方が目の前にいる。新潟に戻り、奥さんと離れて新潟に住むことを決めたキラキラと光る方が。
そのときそのときにやりたいことを全力で、思ったことを行動に移してきたからこそ開けた道。そんな風に生きる谷口さんがとてもまぶしかった。その生きざまを知り、私のもやもやした気持ちはどこかに吹き飛んでしまった。
また、「大きな仕事」よりも「目の前にいる人に対して何かをしたい」という想いは、私も通ずるものがある。私が将来やりたいことはまさしくそうだ。どこで働くか、どのような規模でどんなことをするのかなど、現在就活を目の前にして考えを巡らせている。
自分の”want”の気持ちは全て叶えることは難しい。しかし道に迷っても、自分の”今の”気持ちに正直になって、一番の”want”の気持ちを信じ、その道を正しいと思えるように全力で生きる。自分の気持ちが変化したのならばその気持ちに正直になってどんどん挑戦して環境を変えていく。私も谷口さんのような生き方をしていきたい。
 
新潟で働くこと、暮らすこと。新潟だからできることもたくさんあるし、新潟ならではの魅力もたくさんある。そこに気づいてその選択をしてきた社会人に対して何を思うのか?記事を読んでいる皆さんはどうだろうか?
どうかこの記事を読んで一人でも多くの人が谷口さんの生き方を魅力的に感じ、自分の将来の働く、暮らす場を新潟にしてみようかなと考えてくれると嬉しい。
 

取材先 テレワークステーションおぢや
テレワークステーションおぢや | コワーキングスペース | 小千谷市 (teleworkstation-ojiya.jp)
 

書いた人
東京都出身。大学進学を機に縁もゆかりもない新潟へ。現在新潟大学4年生。東京都に所在する大学院への進学が決まっている。
新潟が大好きになり、卒業までの残り少ない時間で新潟を堪能しつくそうと日々模索中。

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