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デュエプレ16弾環境考察(NEW)

※全文無料です。気兼ねなく。

こんばんははじめまして。海月です。

書いているのがたいてい夜なのでこんばんはとしておきます。

自己紹介はあまり意味を成さないと思うので省略します。

とりあえずデュエプレはサービス開始当初からプレイしていて、毎月マスター到達するくらいです。

以下にて16弾環境の推移と簡単な解説を記していきます。

随時追記予定です。

全体外観

16弾リリースから能力調整までの環境変遷をざっと追っていく。

この16弾の傾向としては、当初既存デッキに対する強化が色濃くでた。

具体的には『キリコ』『トリーヴァグライフ』『MRC』である。

特に『キリコ』は「N・ワールド」「エクス」による往年のNエクスギミックを搭載できる点と「永遠リュウ」の追加で注目を集めやすかった。

環境でも真っ先に対策される候補となる。

『トリーヴァグライフ』は色・展開・マナカーブのいずれも好相性な次元流サイクルの追加、緩い制約で進化可能な割に相手に大きな枷を嵌める「ガガ・アルカ」によって戦術の幅を広げ、これまでの不利対面の相性を改善させた。

打点形成力が高まった点も大きな変化のポイントである。

『MRC』は「ザビ・デモナ」「デスゲート」「炎獄スクラッパー」と多様な選択肢を得たところに、研究の中で「シューティング・ホール」や「特攻ジェニー」まで加わり、最大の強化を受ける結果となった。

新規としてはデザイナーズの『赤緑ハンター』が、『キリコ』や『トリーヴァグライフ』を容易に貫くビート力で確立する。

当初はドローとバウンスの青を入れた『シータ』や、ビートがしばしば辿るカウンターの白を加える『リース』も見られたものの、最終的には『赤緑』と『タッチ白』が多数となっていった。

守りや継戦力を落として速度に特化する『赤緑』の流行はデュエプレおよびデュエマの歴史を見ても珍しいことであるが、それほどにこのハンターという種族の出力が高いことを意味する。

この16弾環境で『速攻』が芳しい成果を挙げない理由は、汎用トリガーの「炎獄スクラッパー」の登場以上に『赤緑ハンター』の出力がほとんど『速攻』に近い域にまで達していることにもあるだろう。

大きな存在感を放つ、新時代のビートダウンだと言える。

『赤緑ハンター』の成立からほどなくして台頭したデザイナーズには『シータNエクス』もある。

開発上デザインされているという本来のデザイナーズの意味とは別の意味合いを帯びて来るが、紙で隆盛を極めた『Nエクス』はデュエプレでも強かった。

シータカラーのミッドレンジデッキが環境進出するのが大まかに見て1弾の『シータビート』以来となる点で、長くデュエプレを遊んできた人たちには衝撃が走ることであった。

このデッキのメタ対象の一つに『MRC』があったが、既存のアプローチとして「お清め」「ドラヴィタ・ホール」を採用した『ネクラ超次元』も復権の兆しを見せる。

同じ方向性として黒の代わりに赤を採用した『リース』も見られ、折衷する『青抜き4c』が次第に数を増やしていった。

ざっくりとしたメタの流れを追うと、

①『キリコ』と『トリーヴァグライフ』の増加
②速度的優位を取る『赤緑ハンター』の増加
③墓地メタがないデッキに軒並み優位を付ける『MRC』の増加
④墓地メタを搭載する『シータNエクス』『ネクラ超次元』系のデッキが増加
⑤コントロール殺し性の強い『キリコ』『ライゾウ』が増加…

というサイクルを追ってきている。

相互に作用するものなので判断に難しい部分もあるが、環境の中心にあるのは『MRC』と『赤緑ハンター』の二つ。

『MRC』は対策を欠くデッキで挑めば白星を付けるのは容易でない対面のため、現環境デッキのほとんどは

・墓地メタに寄せる柔軟性を代償に高い出力のコンセプトを持つデッキ
・コンセプトを歪めずに「お清め」か「N・ワールド」を採用できるデッキ

の二択に絞られている。

もう一つの『赤緑ハンター』は再現性の高い4,5ターンキルが可能な、この内に勝負の準備ができないデッキが太刀打ちできないビート力を持つ。

トリガー以外で受けることは難しく、必然的に盾の厚さを一定水準求める構造を作っている。

「炎獄スクラッパー」はその代表で、『ネクラ超次元』が赤を取り入れる要因にもなっていった。


ラストストームXXカップ結果

大勝を飾ったのは『MRC』。

10月の2週目に入ると目の敵にされて苦しい状況が始まったが、10月の1週目を目安として勝ち切った人と、その後もデッキの地力で結果を残す人が見られた。

次点の『キリコ』は16弾リリース当初に真っ先に『ハンター』に狩られて数を減らしたものの、メタの循環の中で『ハンター』が減り、「N・ワールド」と「永遠リュウ」が『MRC』への相性構造を覆したこともあって終盤に一気に数を増やす。

「炎獄スクラッパー」の強い環境で真っ当なビートダウンが数を減らす関係上、自身もそれを採用できる『キリコ』はほとんど無理な対面のない強デッキへと洗練された。

3番手に来る『青抜き4cコントロール』は『MRC』を最もシンプルに対処する「お清め」「ドラヴィタ・ホール」のセットを採用し、各方面への最低限のメタも張れることから10月2週目に増加する。

かつての『青抜き4cキング』のように、リソースが乏しいながらも広範囲を見るデッキ特性は重なっていた。

『ハンター』はようやくメタ対象としての警戒が緩んできていたものの、環境デッキにデフォルトで存在する「炎獄スクラッパー」と「ドラヴィタ」がきつくのしかかる。

間隙を縫っていくようなプランニングが求められるシビアな状況であったが、岩をも通すビート力は流石のものであった。

グラフ上では『リース』『赤緑』『シータ』と分けたが、それぞれ8件(内タッチ「DNA」が3件)、3件、1件の計12件で全体3位の入賞率では表彰台に滑り込む。

『シータNエクス』は母数の割に結果を出した、今回の勝ち組デッキと言える。

正確に扱えばトップメタの『MRC』『ハンター』に勝ち越すことができ、回答の一つだったと言える。

このデッキに対して『キリコ』が優位を取っていたというところもメタゲームの妙であった。

同じく注目株であったのが続く3件の『エイリアン』だ。

種族デッキでありながら非デザイナーズ感が強く、構築の確立に時間を要したが、出来上がってきたものは多くの対面に五分近くで戦いやすい完成度を持っていた。

オーソドックスなドロマーカラーのほか、青の代わりに赤を加えたデイガカラーも1件の入賞を果たしている。

『トリーヴァグライフ』は多方面に対策が可能なものの、その性質が器用貧乏に働いたか、使用率の割の成果を出すことはできなかった。

※クリックでTwitterの最終入賞者のツイートまとめに飛びます


10/27能力調整実施後

環境の核であった『MRC』のキーカード「ヴィルジニア卿」と、16弾環境結論デッキの一つとして評価されてきた『キリコ』本体の殿堂入りが発表された。

同時に能力調整された「カスケード」は16弾のND環境でさほど見られたデッキでなかったため、環境への影響は小さい。

『MRC』の理不尽性を大幅に高めていた「ヴィルジニア卿」殿堂の影響は大きく、キルターンは概ね2ターンほど遅くなると考えられる。

墓地メタの効きも今まで以上に強くなり、一発の「お清め」や「N・ワールド」によるテンポロスを補うのは容易でなくなっている。

とはいえ、1枚でも能力が変わらずに入っているということは、”墓地に「MRC」+クリーチャー3枚+有用呪文がある状況を無視できる”ということを意味するわけではない。

殿堂だからこその強さの性質も見えて来るだろう。(それでもなお引けたときの出力が高すぎる場合にはプレミアム殿堂=禁止という措置が待機しているとも言える)

墓地メタを持たないデッキに対する強さは変わらず一定水準を維持している。

『キリコ』は同じ殿堂入りという措置を受けながら、「ヴィルジニア卿」とは様相が異なる。

「ヴィルジニア卿」は本筋の「MRC」を支えるための右腕的な存在だが、こちらは本体だからだ。

「リリィ」によるサーチと踏み倒しは引き続き可能なものの、二の矢を放つには工夫が必要な上に、12.5%、単純に8試合に1回という決して低くない確率の盾落ちの恐怖もある。

「キリコ」を使えない試合では、劣化『Nエクス』のようなデッキに成り下がってしまうリスクを常に抱えることとなってしまった。

とはいえ、順調に動いて早期の着地を狙った場合の動きに大きな支障はない。

対戦数の増えるBO3の大会などでは苦境を強いられるに違いないだろうが、ランクマッチやここ一番という時に理不尽さを思い出させる役割を担うかもしれない。

環境デッキが受ける影響をざっくり見て行こう。

・ハンター
⇒不利な『MRC』が減ると予想される一方で、有利対面であった調整施行前最強デッキの筆頭だった『キリコ』が減少するためプラマイゼロ。
警戒は緩むため、環境一のビート力として引き続き環境定義するデッキの側面を維持。

・シータNエクス
⇒得意の『MRC』が減り、不利の『キリコ』も減る。
『MRC』が強い→『MRC』をカモにできる『Nエクス』が強い→『MRC』も『Nエクス』もカモれる『キリコ』が強いという流れでメタられた構造から解放されるため、素のデッキパワーが高めである点を見ると優位に立ちやすい。
殿堂になったことで却って「キリコ」を採用する道もできるか。
16弾環境無理対面のない器用デッキ①

・青抜き4cコントロール
⇒『MRC』対策の「お清め」がマストでなくなり、不利な『キリコ』が減ることで自由度の高い構築の枷が外れた。
「お清め」をパワーカードに替えることができ、そのままでも根強く残る『MRC』をより安心して迎えられる。
16弾環境無理対面のない器用デッキ②

・エイリアン
⇒白黒をベースに青を加えた『ドロマー』と赤を加えた『デイガ』の二種が存在し、主流の『ドロマー』の場合は『MRC』は不利寄りで『キリコ』は有利だった。
『MRC』は五分に近い対面となり、『キリコ』にも引き続き強い。
アベレージの高い不利対面が一つ弱体化されたことで、今後の台頭が期待される。
16弾環境無理対面のない器用デッキ③

・MRC
⇒「ヴィルジニア卿」の制限によるキルターンの低下から、これまで通りの墓地メタをされると到底戦えなくなることは自明。
とはいえ、対策されなければ十分以上のデッキパワーを持つ、環境の抑止力としての働きが期待される。
新たな踏み倒し手段としての「ヤミノディヴィジョン」の採用や、キルターンの低下を補うためにハンデスなどの妨害札を増す構築も考えられる。

・トリーヴァグレイトフルライフ
⇒『MRC』『キリコ』共に不利寄りだったため、追い風。
ビート色の薄いクリーチャーコントロールは環境唯一の特性であり、採用候補カードを多く持てているのも強みとなる。
16弾環境のメタゲーム上では比較的地味な存在であるため、環境が循環する中で一矢報いるポテンシャルを持つと考えられる。

・黒緑Bロマノフ
⇒『MRC』『キリコ』共に不利対面であったため、両者の規制は朗報。
「進化設計図」による膨大なアドバンテージからの進化連打がコントロールに強く、「デスマーチ」によるビートへの抑止力があることから対応力の高いデッキとして息が長い。
「ザビ・デモナ」は決して小さくない新規戦力であり、「お清め」だけでは致命傷となり得ないデッキとして活躍が期待できる。

・キリコ
⇒有利寄りの『MRC』は減るが一定数は残り、不毛なミラーが減って周囲のガードも下がるため、総合的にマイナスばかりでもない。
リスクは前述通りだが、とりあえず基本的な動きに支障が出ていない点は絶妙な調整だと思わされる。
BO1の大会などのゲームルール次第で本領を発揮するデッキとして、まだまだ活躍は考えられる。

・ライゾウ
⇒『MRC』は15弾まで不利対面であったが、「永遠リュウ」が若干相性を改善させており、そこに『MRC』の弱体化が来た。
『キリコ』も不利対面であったが、併せて母数を減らすと考えると『ライゾウ』には棚から牡丹餅と言える。
環境上にミッドレンジとコントロールが多いこともあって、『ハンター』以外に明確な不利を取る対面は理論上存在しない。
この16弾がND環境最後の舞台となるが、再び台風の目となることが予測される。

以下は調整実施後すぐに作成した、各デッキ間の相性表である。

※◎→7.5割以上対面 〇→6割以上対面 □→4.5~5.5割対面 △→4割以下対面 ×→2.5割以下対面  ※キリコは盾落ちしてない想定で今までとあまり相性変更なし
※MRCはヴィルジニア殿堂を考慮に入れて殿堂前から相性変更

作成に労力がかかる都合上、見直しはしておらず、一週間経過した今もあえて行わない。

一参考として、実際の結果がどうか自身の認識の確認に使ってもらいたい。


ささぼーCUP考察

環境の流れを見ていくと、殿堂施行直前の段階では『キリコ』がトップメタに位置し、それに有利を付けられて無理な対面がなく、玄人好みな性質を帯びた『エイリアン』がひっそりと数を増やしていた。

有利な『キリコ』が減っても、その性質からして引き続き使われていくと考えられた、前述通りこの16弾環境の器用デッキ③である。

これに優位を取れるのが『Nエクス』であり、こちらも環境上に無理な対面のない前述の器用デッキ①だ。

さらに『青抜き4cコントロール』もこの競争に加わり、同じく器用デッキ②として存在する。

環境が切り替わる時には、得てして無理な対面がなく無難なデッキパワーを持つデッキが増えやすい。

そうしたメタ読みをした先に、圧倒的に位置づけが良くなった『ライゾウ』が立ちはだかる。

調整2日後に開催されたささぼーCUPのデータを参考に見てみよう。

【ささぼーCUP ~ファースト・オブ・ビクトリー 激竜王の目覚め~】予選・決勝デッキ分布、全デッキ勝率より引用
※ベスト24グラフのみ筆者作成

全体使用率からして、無理対面のない3種デッキは概ね高い使用率になった。

『青抜き4cコントロール』が16.2%で突出しているのは、グッドスタッフによる構築の縛りや確定枠が緩く、各々の環境読みの札を投入しやすかったからだろうか。

『Nエクス』については最大の仮想敵であった『MRC』が減ることを予測して数を減らしたのかと見えるが、『MRC』は8.1%と思いの外に多く、ベスト24の結果を見ても勝ち組デッキだったと言える。

『ドロマーエイリアン』は6.8%と、デッキのマイナー性を鑑みれば高い使用率と言え、結果はベスト24に1名と振るわなかったものの、その6.8%には実力を見抜いての選択も多かったと考えられる。

そして『ライゾウ』である。

全体グラフで言えば明確な不利は2.8%ずつの『赤白速攻』『ハンター』、2.5%の『キリコ』のみであり、その他の31.6%と自身の7.1%を差し引いて、53.2%の対面に有利を付ける好位置であった。

ベスト24に3名、そして優勝に輝くのも納得の結果だと言える。

その他、予選を好成績で抜けた『4cロマノフサイン』や『青黒リーフ』など、この大会で注目を浴びたデッキも存在した。

能力調整の余波は大きく、16弾環境は再び1からの再編を余儀なくされていると言える。

遊び抜くにはまだまだ時間が足りないことを思い知らせる大会となった。


ガイアールオウドラゴンカップ結果

『MRC』はやはり強かった。

前述の通り、調整前環境で最強だった『MRC』に対抗する形で、「N・ワールド」を存分に使える『キリコ』と『Nエクス』が台頭してきた。

だが、『キリコ』が本体に打撃を受けて『Nエクス』がやはり構造上の弱点を突かれて後退すると、再び『MRC』が前面に出てくる結果となった。

とはいえ構築は人によって差があり、「ジェニーダーツ」を入れてハンデスを補強するものから、超次元ゾーンにも「ガイアール」を採用するかなど、個性は発揮できたと伺える。

次点の『リース超次元』は終盤にかけて一気に台頭した『MRC』に有利を取れるデッキであった。

それぞれ製作者は異なるために起源について述べるのは避けるが、16弾環境の最も肝要な点を述べると、それは4ターン目に5コストのカードをプレイすることにあった。

特にビートダウンではこれが顕著であり、3→5の流れを作れて打点になる「青銅の鎧」の評価は過去最高であったと言っても過言ではない。

『ハンター』で当初その兆しが見られていた。

種族シナジーのない『ハンター』ですら「青銅の鎧」が強かったのだから、ほかのビートデッキであっても強いことに疑いはない。

ビートvsビートが白を入れる構造が有利になることからも、かつての14弾環境の雄・『リース超次元』がシューティングガイアールと「エクス」を引っ提げて凱旋する結果となった。

最終版ではメタが回って通りを悪くしたものの、それでも16件の入賞は大健闘であったと言える。

続く『ハンター』は『MRC』『リース』に対して優位性がないことから少々意外な結果であったが、一定数いる『ライゾウ』や、環境に多様性がある中での速度が正義だった側面があると考えられる。

「チャブル」が強い環境になったことで、「炎獄スクラッパー」の価値が落ちていたことも追い風だったろう。

その仮想敵である『ライゾウ』はやはり今環境の台風の目であり続けた。

「永遠リュウ」が実質的な対面が一定数存在し、対面時のタイムリミットは確実に短くなっている。

登場以来使用率の割に入賞は0~2件程度の率の低いデッキであり続けたが、ここにきて5件の中堅位置の活躍を見せた。

次の17弾には進めないデッキだが、有終の美を飾ったと言えるだろう。

同じ件数入賞したのは『トリーヴァグライフ』だったが、これは『トリーヴァデストラーデ』と名称を改めてもよかったかもしれない。

4色以上の「デストラーデ」を加えたデッキの入賞がいくつか見られたが、それほどにこのカードの価値は高まっていた。

というのは『リース超次元』の台頭が大きく影響していたからである。

14弾の時もそうであったが、中速ビートに対して「デストラーデ」は最強の回答札と言ってもいい。

ある程度トリガーを採用したデッキで盾を複数残してこれを着地させれば、実質的に勝利が約束されるほどの強さを持つカードである。

しっかり過去の教訓を活かしたプレイヤーに注目されて躍進を見せたデッキであった。

それ以下はドングリの背比べといった感じだが、2点触れておきたい。

一つは上記ささぼーカップ考察までで書いていたように、『シータNエクス』『青抜き4c』『エイリアン』の3種の”無理対面のない器用デッキ”がいずれも芳しい結果を出さなかった点だ。

それぞれに「チャブル」がきつい、「ボルシャック・ホール」からの盤面処理がきついといった理由は無数に挙げられて納得は行くが、それにしてもという結果である。

メタゲームを負いながらこれらのデッキが既に古くなったという感覚を私はシーズン終了時に覚えたが、このゲームのメタ回転速度を改めて思い知った事実であった。

もう一つは『赤白速攻』が一定数の入賞を見られたことだ。

『ハンター』の台頭によって、従来のシナジーのない『速攻』はあえて使用する意味が薄くなっていたが、より速度があって単体SAや進化が多いことが強みとなる場面がやってきた。

『リース超次元』はトリガーも採用したデッキであるものの、本格的に強い動きができるのは5マナたまる4ターン目以降である。

3ターン目までにろくな妨害やクリーチャー展開ができないデッキは、『ラッカ超次元』のように盾がよほど厚くない限りは基本的に『速攻』に不利を取ると言っていい。

「キル・ホール」等が『MRC』の小型ブロッカーを焼けるという点や、『MRC』『リース超次元』ともに封殺手段を持たない「スパーク」を採用できた点が光っているデッキであった。

前月のラストストームXXカップと比較して、変わったのは「キリコ」と「ヴィルジニア卿」の殿堂入りと「カスケード」の弱体化だけである。

それにもかかわらず、一か月の死闘を経た結果はバタフライ効果のように大きく様変わりしたものであった。

特に3件以下の入賞デッキが数多くあり、この環境が如何に可能性を携えていたかを思わせる結果である。

その一方で、規制が必要なほどのパワーを持ったデッキがあったことや、多用途なりすぎたが故に勝ち切る難しさのある環境であった事実もまた認めるべきであろう。

これを書く時点でもう残り一週間にも満たない16弾環境であったが、まだまだ変化の余地を残したまま終わりを迎えていくこととなった。

※クリックでTwitterの最終入賞者のツイートまとめに飛びます


環境デッキリスト

主だったデッキを列挙していく。

相性には個人の主観も入っているため、参考程度に。


ハンタービート

有利→トリーヴァグレイトフルライフ、キリコ、ライゾウ
不利→青抜き4cコントロール、MRC

不利対面の改善には「イダ」「バルザーク」「ボルシャックホール」+「アンタッチャブル」など研究が進んでいる。

結果として構築とプレイである幅広い対面をカバーできる、一周回って環境上に無理対面のないデッキへの仲間入りが見えてきた。

ただし、依然として『MRC』は重めで、リペアが好調な様子を見ると環境読みは必要。

先手後手の差が非常に大きく、1ミスが敗北に繋がることもあるから見た目ほどに簡単なデッキでもない。


シータNエクス

有利→エイリアン、MRC
不利→キリコ、ライゾウ

ラストストームカップを終えたあたりから「ケロディSP」入りの最速ラストストームを組み込んだ構築が増えてきた。

従来の型とは一長一短のため、対面相性と環境の流れを読んだ使い分けが重要になる。

守りの薄いカラーリングに対して意外に速度のある対面に戦うことができ、無理対面がほとんどないところからもわかる通り、高いビートダウン力を持つ。

構築は環境の終わりが見える頃になっても確立していない。


青抜き4cコントロール

有利→ハンター、MRC
不利→キリコ、ライゾウ

不利は割かし明確だが、有利は対面の構築とプレイにも依ってくる。

以前からあるデッキタイプかつ構築の幅が広いということもあって、コントロール系のデッキでは使用率が高くなりやすい。

その分対策もされやすいと言える。

他無理対面のないデッキと比べるとメタコントロール的性質が強い。


エイリアン

有利→キリコ
不利→ライゾウ

『ドロマー』と『デイガ』があり、大まかな違いは以下。

『ドロマー』…ハンデスの増量、「コアクマン」のリソース、「デストラーデ」の展開力
『デイガ』…ビートダウン体制の向上、「ファーザー」による突破力、「ヒドラ」の粘り強さ

他環境デッキとの相性は微妙に変わってくるが、概ね似通っていてどちらも平均以上の強さを持つ。

『ドロマー』の「シンカイ・ドーベル」、『デイガ』の「DNAスパーク」など、構築の研究は日々進んでいる。

プレイスキルの出やすいデッキとして今後も一部の層に好まれていくと予想できる。


MRC

有利→ハンター
不利→「お清め」+「ドラヴィタ・ホール」、「サイバー・N・ワールド」を無理なく循環できるデッキ

「ヴィルジニア卿」殿堂施行前までは環境を規定する強さを持っていたデッキ。

とはいえ今でも無対策のデッキは蹂躙できるほどの強さはある。

構築は旧来の構築の穴を「ライクアローリングストーム」などで無難に補ったものからハンデスコントロールに寄せたもの、デザイナーズ踏み倒し手段の「ヤミノディヴィジョン」を採用したものからホール呪文を増やしてデッキパワーを補ったものまで多様に見られる。

こちらも強い型が定まるまでには時間を要しそうだ。


トリーヴァグレイトフルライフ

有利→
不利→ハンター、ライゾウ

目立って有利な対面はなく、極端に不利という対面もない。

強いて挙げれば度々上げる”16弾環境無理対面のないデッキ①~③”の『シータNエクス』『青抜き4cコントロール』『エイリアン』に対して、構築とプレイング次第で勝ち越せる点が魅力と言える。

クリーチャーコントロールだからこその差別化点が光ってきたと判断できるだろう。

『MRC』『キリコ』共に不利対面であったことから、この2つの規制はありがたい。

「ガガ・アルカディアス」「N・ワールド」など対面相性を変え得るカードが存在するため、動向は注視する必要がある。


黒緑Bロマノフ

有利→
不利→MRC、キリコ、ライゾウ

『黒緑Bロマノフ』も実は登場以来露骨な不利を付ける対面がほとんど存在しないデッキである。

有利寄りなのはコントロール系やミッドレンジだが、各々このデッキに効くカードも持っているのでプレイヤースキルが求められる。

「特攻ジェニー」や「ザビ・デモナ」など、能動的に墓地へ行くカードが採用候補にできるようになった点ではこの16弾で強化も入った。

『MRC』『キリコ』の弱体化の中、追い風は吹いていると言える。


キリコ

有利→Nエクス、青抜き4cコントロール、MRC、トリーヴァグレイトフルライフ、黒緑Bロマノフ、ライゾウ
不利→エイリアン、ハンター

※「キリコ」が盾落ちするケースを除く

考えるほどに有利対面が多く、不利とされる『エイリアン』『ハンター』にも構築とプレイでカバーできる面があったため、これまでの長い活躍や今後を鑑みても規制やむなしと言える。

前述の通り「キリコ」盾落ちがなければ従来の動きは可能なため、2回出すことは難しいにしても盾落ちがない場合の相性は大きく変化しないと考えられる。

とはいえ、長期戦で使用するには必ず付きまとうリスクと向き合う必要があるだろう。

「キリコ」が1枚になったことで空いた枠には「イカズチ」や「エクス」「永遠リュウ」などのバリューの高いカードの増量、「グレイトフルライフ」などが見られる。


ライゾウ

有利→Nエクス、青抜き4cコントロール、エイリアン、トリーヴァグレイトフルライフ、黒緑Bロマノフ
不利→ハンター

『ライゾウ』対面の相性判断の基本は安定して5ターンキルができるデッキは有利、6ターンで五分、それ以降で不利ということ。

ただし、この16弾で登場した『永遠リュウ』が蓋機能を持つため、6ターンキルのデッキの相性は若干不利に寄ったと言える。

ブーストの成功率や「ライゾウ」の捲りなど、引き以外に運の要素が絡むことから単純に相性通りの成績が出せるとは限らない。

だが、それでも過去類を見ないほどに立ち位置が良くなっている点は看過できないだろう。


他デッキ

『ドロマー白騎士ゲート』

「ヘブンズ・ゲート」が使えないためにNDでの印象は薄いが、それでも他環境デッキに劣らないほどのデッキパワーを持っている。「パーフェクト・ギャラクシー」「エルドラード」「ガード・ホール」「バルカディアス」など、いずれもかなりのパワーカード。


『ドロマー超次元』

純正コントロールとして、『青抜き』などの中途半端なコントロールには優位を付けやすい。「ガガ・アルカディアス」と『MRC』が重くのしかかるのがネック。


『ラッカ超次元』

盾の厚いビートダウンというデッキが現環境に存在しないため、アイデンティティになる。
ただし、「ガガ・アルカディアス」と「永遠リュウ」がとにかく重い。
今更になって『ガントラビート』との差が明確に出ることになった。


『赤白速攻』

環境のビートへの警戒は若干緩んでおり、「DNAスパーク」による圧があることから『ハンター』の劣化かと思いきや一定水準で戦えるようになってきた。
『赤緑速攻』もちらほらと見られる。


『ケロディストーム』

従来の『青緑』に黒を加えた『アナカラー』も見られるようになってきた。最速ラストストームを処理できないデッキは多く、速度が『ライゾウ』などへのカウントダウンデッキへの回答にもなっている。


おわりに

9/29のリリースから早いものでもう1か月以上経過してしまいました。

本当は10月末には上がる予定だったのですが、急な能力調整によって水泡に帰しています。(むしろよくこんなに早く再建できたなと自分を褒めています)

もう1週間もすれば17弾の情報が出始める頃なので、この記事の価値も少し下がってしまっているでしょう。

記録と復習のための読み物としていただけますと幸いです。

最後に投げ銭方式で、内容とは関係ない文章を残します。

無理をする必要はありませんが、この記事や過去記事も含め、見合う価値があったと思ったらご購入いただけると大変嬉しいです。

いただけなくても、少しでもこの記事があなたの日々の楽しみにつながれば幸いです。

それではまた。

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