【ポスターセッション内容の再掲】
本記事は、2023年2月18日に、【実践研究 福井ラウンドテーブル 2023 SPRING SESSIONS】にて、ポスター発表を行った内容の再掲です。
探究学習の効果に関する定量調査
-勝山高校の比較-
福井県立勝山高等学校 教諭 堂森 峰春
探究コーディネーター 永野 龍典
背景・目的
令和4年度から全国の高校で実施されている探究学習。これ以前からも総合の時間の中で探究的要素は含まれているが、その成果を定量的に証明するデータは存在していなかった。
本研究では、一般的な探究的アプローチの成果を定量的に測ることを目的とし、探究学習の意義を確認する。また、各校の取り組みを評価するうえで、参考値となるデータを取得する事を目的とする。
分析視点と調査結果
全国の一般アンケートモニタから、15歳~19歳の男女を対象に、学校での探究的取り組みの実施を確認。経験した取り組みが「楽しめた/積極的に取り組めた」層と、「全く楽しめなかった」層を抽出、両者を比較することで、探究学習の目標となる資質等にどのような差異が生ずるかを見る。
本調査の結果、「楽しめた/積極的に取り組めた」層は、“成長実感” “課外活動” “地域への印象” “自己スキルレベル”に対する印象が、大きくポジティブに振れている様子を見ることができ、生徒が楽しめるテーマ設定の重要さを定量的に表すことができた。
勝山高校との比較
勝山高校の回答者、ほぼ全員が「楽しめた層」に属したため、一般調査の同層との比較を行った。
「成長実感」「課外活動」「地域への印象」で勝山高校のスコアが高めに出ているが、「スキルの実感」の面で低くなっている。
当該部分の詳細を下図で確認すると、次の4点(課題発見、課題解決、遊び心、基礎学力)が特に低く、これらに対する実力と自己認識が高まる方策が、今後の探究学習の取り組みにおいて工夫が必要なポイントと考えられる。
参考までに、*1マクロミル調査における“社会人が必要と考えるスキル”と比較すると、スコアは大きく乖離があることから、たとえ高めのスコアであっても満足せず、向上させていくことが望まれる。
※社会人のスコアは“必要と考えるスキル”であり“自己評価”ではない。
勝山高校生:探究で役に立ったと思うこと
今後の課題
一般調査は110サンプルで実施のため、規模を拡大し精度を高めることが必要。また、全国での探究学習の本格実施は令和4年度ということもあり、プログラムが整理されていく過程であることから、継続した調査も必要と考える。
各校の取り組み内容と全国のスコアの比較性を高めるため、調査項目についても精査していく必要もある。
今回の調査結果を参考に、現状の探究の取り組み内容を見直す一助となることが望まれる。
調査概要
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