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SF映画についての独白とTENET感想

※ネタバレあり※

20数年生きているけれど、私はどうやら映画を見ることがとても好きらしいと気付いたのは、去年の夏くらいのことだった。
「海獣の子供」を仕事帰りの金曜の夜、グダグダに疲れ切った状態でアルコールを流し込んで一人で見に行ったのだ。
酔っていたのもあるけど、STUDIO4℃が手掛ける夏の温度を感じる映像美に涙し、ストーリーと演出にトリップした後は放心状態だった。
その体験が自分の中で「デトックス」に感じたのがきっかけである。

その後はFuluとNetflixで主に映画を見漁る日々を未だに送っているけれども、一人で映画館で見るのが何よりも最高だと思う。
閑話休題、SF映画の話に移る。

好きだと気付いたものの、まだまだ映画ビギナーなので、SFと言えば
『アバター』『パッセンジャー』『トランスフォーマー』くらい。
学のない人間からすると小難しい話はさっぱりなので、ミステリーにしてもSFにしても、難しそうなものには手を出さないでいた。

そんな中で、『インターステラー』に出会う。
正直、最初の水の惑星のことと、相対性理論のことだけは頭に残ったけど、その他のことで感動する前にシークバーは終点にたどり着いていた。


クリストファー・ノーラン監督のこともこの時初めて知ったけれど、難解さで有名な映画監督だったらしく、なんとなく納得したし、恐らく自分とは相性が合わないだろうという結論に至った。
もしかすると、SF自体ジャンルとして好きではないかも知れないと感じ、知人に勧めてもらった『インセプション』も観るのも避けた2019年であった。

しかしながら、今年になって『インセプション』が4DXでリバイバルされるとSNSでは話題沸騰で、回転する廊下のPVがTwitterのタイムラインにひっきりなしに流れてきた。


悩んだ末、もはやイチかバチかの博打感覚で4DXをソロプレイしたところ、とても同じ監督の映画を観たとは思えないほど突き刺さった。
初見で4DXで観ることが出来たことが幸運だったとすら感じるほどに。

ジョセフ・ゴードン=レヴィットのホテルでのフォーマルな服装には思わず見惚れてしまったし、キャラクターそれぞれの個性の尖り方と、夢の中の夢のシステムの面白さ、映像にただただ圧巻された。

そのタイミングで『TENET』の公開を知り、PVから見受けられるアクションシーンから『インセプション』のノリを期待していきなり4DXで観た。

正直なところ、『インセプション』のノリとは全く異なる。
居眠りしてしまうシーンもあったし、見終えた直後は『インターステラー』を見た時と同じように、SFは向いていないのかも知れないと感じた。

いつ画面が切り替わっているのかワケが分からないし、感情移入もし辛く、いつも映画を見終えたあとにあったぼんやりした心地よさも無く、自分が物語に入り込めない、置いてけぼりで弾き出された感覚があった。
あまりにも腑に落ちない、こんな脚本があっていいものか。

そう、あれだけハマった映画を作ったのに、これが通常運転の脚本なわけはないはずなのだ。

疑問を抱きながら検索した結果、この2つの考察記事に救われた。
自分が感じた「置いてけぼり・弾き出された感じ」というのは1度目の見方として正しかったのだ。
要するに、主人公と同じ感覚で物事を見ていたに過ぎず、理解が及び辛いように初めから作り上げられていた。
ある意味ではズルいし、一度で感動を味わわせることが困難であることは邪道なのではないかと思うけれど、時間を扱う題材だからこそ許されるのではないかと思った。

考察の記事を読みながら、映像を思い出すと鳥肌が立つ場面も多々あった。
分かるまで観るのも大事だけれど、考察を見て細かい知識を得た上で2回目を観ればこそ、感動できるであろう作品だと今は感じる。
まだ分からないけれど、もしかすると2回目を観に行くかも知れない。
観に行った時には、私はきっと好きなSF映画に『TENET』を挙げるだろう。

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