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「エモの糸」

最近、最近、地獄の血の池地獄で溺れかけている青年がいました。
青年は線路に入って電車を撮影したり、飲食店の備え付けの調味料に直で口をつけた動画を上げたり、生前多くの罪を重ねていました。

お釈迦様は、そりゃ地獄に行って当然だろと思っていましたが、青年の生前のログを辿ったところ、何ともエモい写真を沢山撮っていることが分かりました。

田舎の無人駅、夕日に照らされる浜辺、様々なライトが灯る夜の街。
エモい写真に心を撃ち抜かれたお釈迦様は青年を助けることにし、
カメラのフィルムを血の池地獄に向かって垂らしました。

青年はフィルムを伝って上に登っていきます。
しかし、下からは青年以外の罪人も沢山登ってきました。

「こらこら、このフィルムは俺がお釈迦様にドハマりして垂らしてくれたんだぞ!ハマって無い奴は登ってくるなよ!」

お釈迦様はついでに何人か一緒に救ってもまあ別にいいか、と思っていましたが、青年は心が狭く他の罪人に強く当たり散らかしていました。

あんまり暴れ、喚くのでフィルムは切れてしまい、皆地獄に再び落ちてしまいました。

「この人間達の儚さもまた…エモい。」

予定とは違いましたが、お釈迦様は満足して去っていきました。

END

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