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「ありがちで世に充満する盗作」

最近、最近、アリババというアーティストが楽曲を配信しました。
とてもキャッチーでノリが良く、その曲は瞬く間にヒットしました。

しかし、人気が出た一方でアリババの楽曲は盗作だと言う者が現れました。
「開け…ゴマ!」というフレーズは自分の楽曲のフレーズだという意見や、
楽譜のこの部分は自分と同じだという声、アリババと言う名前自体が自分の名前をもじっている、という者など約40人もの人々がアリババを非難しました。

この状況を憂いたマネージャーのモルジアナは、アリババを攻撃する者達の個人情報を特定し、アカウントを凍結したり、訴えて裁判を起こしたり、メディアを味方につけたり、あらゆる方法で彼らを返り討ちにしました。

世間は落ち着き、アリババもモルジアナも一安心しましたが、
今度はアリババの楽曲が盗作されたのでは無いか、という噂が立ちました。

似ていると言えば似ているが、完全なパクりとも言えない微妙なラインのその曲は、アリババの曲程ではありませんがそこそこ売れました。曲を配信した頭領と名乗る男は、二番煎じだという評価をものともせず、アリババにもコラボをしたいと話を持ち掛ける程、堂々としていました。

疑惑は拭いきれませんが、同業者で証拠も無いので、アリババもモルジアナも静観することにしました。

しかし、ある日週刊誌に決定的な証拠とタレコミがあり、頭領の盗作疑惑は決定的なものになりました。そればかりか、頭領は自身が曲を配信する前はアリババを大変非難していた40人の1人であることも分かりました。
世間から大きなバッシングを受けた頭領は引退し、表舞台から姿を消しました。

その後、世間は再び落ち着きましたが、
アリババの曲が以前のように話題になることも無くなりました。

それでもアリババはアーティストであり続け、今日も曲作りに励みます。

END

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