今の悩みが”ちっぽけ”にしか見えてこないものを見た。全然違う世界。
人間生きてりゃ、ツラいことや悲しいこと、ムカつくことや怒りたくなるようなことも、そりゃああるだろう。
でも、自分が生きている今のこの日本で、そうやって悩んだり、ヤキモキしたりするだけで済んでるのは、平和だからなんだなぁ… ということを、あるドキュメンタリー番組を見て改めて思った。
いつもの自分がいる世界とは、全然違う世界に触れることで、いま抱えているアレコレの見え方が少し変わったりもするもんだな、と。
宇多丸さんがキッカケで知ったドキュメンタリー
その番組を見るキッカケとなったのは、ライムスター宇多丸さんのラジオ。
宇多丸さんが、
「この前、NHKのドキュメンタリー見たんだけど、ギャングだらけのスラム街に、ある1人の牧師が通い続けて、貧困から生まれる暴力と犯罪のループを止めようとするんだけど、すごいの見たなぁ〜と思って。」
と言っていたので、番組名を調べて、NHKプラスで見た。
★突然ですが、ここでお知らせです★
「コレ知ってると、もしかすると便利かもよ情報〜』
NHKの番組の多くは、NHKプラスというサイトで1週間以内であれば見れることが多い。最初に登録が必要なのは少しめんどいけど、割といいよ。
https://plus.nhk.jp/info/about/
ちなみに1週間以上経過した番組は「NHKオンデマンド」であれば見ることができる。月額990円かかるけどね。
https://www.nhk-ondemand.jp/share/enjoy/
で、話は戻りまして、その番組というのが、
NHKスペシャル
「REGENERATION 銃弾のスラム 再生の記録」
世界でも殺人事件が多発するエリア、危険なギャングの縄張りにカメラが潜入する。南アフリカ・ケープタウン。数十ものギャングが抗争を繰り返すスラムに一人通い続ける、牧師のアンディ・スティールスミス。極度の貧困から犯罪に手を染めるギャングたちの更生を模索してきた。パンデミックを逆手に取り、ある巨大ギャングの幹部の更生に乗り出すが、抗争の激化で幹部の男の身に危険が迫っていた。知られざる人間再生の物語。
あらすじ:ざっくりとした話の流れ
舞台は、南アフリカ、ケープタウン。人種隔離政策アパルトヘイトが撤廃されてから、世界屈指の経済成長を遂げてきた南アフリカ。しかし、その成長の結果で得られた富の7割は白人層に集中。
その発展からは、多くの人が取り残され、中心都市であるケープタウンの東部にはスラム街が広がり、凶悪犯罪が集中している。
貧富の格差を示す「ジニ係数」というものがあり、0に近いほど格差が小さく、1に近づくほど格差が大きい。南アフリカのジニ係数は「0.62」となっており世界最悪。
貧富の格差、暴力の応酬、毎日起きる銃撃戦、
貧困の中にいる彼らは、その日暮らしのギャングになるしか生きる道がない。
そんな彼らに「生き延びろ」とメッセージを訴える、1人の牧師がいる。
その牧師は、アンディ・スティール・スミス(54歳)。
彼は急いで車を走らせる。
3時間に1回、殺人事件が発生する、ケープタウン。
15歳の少年は、敵対するギャンググループに後ろから刺された。
仲間を殺された側のグループの仲間が集まっている。
アンディ牧師は彼らに声をかける。
「みんな聴いてくれ。
報復はダメだ。泥沼になる。
3人、6人、12人。報復は続いていく。」
少年を殺した側のグループにも接触していく。
「よし、あの交差点で話し合うぞ
いいか戦うなよ、絶対だぞ。」
グループの間に入って、休戦を持ちかける。
暴力が支配する町には、
警察も本格的に介入できずにいる。
その街で、和解をさせていく、1人の牧師。
牧師は彼らに、こうも呼びかける。
「君たちは白人と金持ちが支配する中で生きている。
あらゆる逆境の中を生きている。
仲間同士で争うな。
このどん底から抜け出せなくなるぞ。」
アンディ牧師の呼びかけに、双方はいったん矛を収めた。
なぜ、ロンドンから危険な南アに来たのか?
アンディは6年前、まだ幼かった子どもたちを連れて、
ロンドンから移り住んだ。
あまりにも危険すぎる場所に通うなかで、奥さんに、
「緊迫している状況だ、祈っていてくれ。」と電話をかけたこともあった。
それほど危険な街に来るキッカケが、アンディにはあった。
アンディは、世界を舞台に企業買収や再建をすすめるやり手の投資家で、エネルギー産業で競合相手を出し抜き、巨万の富を得た。
「私は成功を重ね、全てを金で買えると傲慢だった。」
そんなアンディは12年前、友人の誘いで訪れたアメリカの麻薬リハビリ施設で、更生に取り組む若者に出会い、人生観が変わったという。
「彼らの人生談は悲惨だった。どん底のどん底に落ちていた。
しかし彼らは過去の悪行から足を洗い、真面目に生きなおそうと、ひとりで内なる悪魔と戦っていた。
その姿は、金に物を言わせる自分よりも、ずっとまっとうな人間に見えた。
そこで私はハッとした。
私の成功は、彼らの犠牲の上に成り立っていたのではないか。」と。
そこからは投資先を、社会貢献度の高い企業にしていくようにした。
キリスト教の学びを深め、牧師になった。
その後、社会奉仕に熱心な起業家に呼ばれてやってきたのが、
南アフリカだった。
アンディは、南アフリカに400ヘクタールの土地を買った。
ここに、ギャングが住む場所と職業訓練ができる場所をつくることを目指している。
「REGENERATION(再生)だ。
ギャングになると前科者になる。
すると、合法的な仕事には就けず、仕事を与えてもらえない。
永遠に無職のままだ。
「役立たず」「価値がない」と言われ続けると
人は、自分の価値を見失う。
絶望に落ちた人が、再び希望をつかめたら、
それこそ、希望だ。
貧困と暴力が渦巻く街で、
アンディ牧師には1つの信念があった。
ギャングに必要なのは「父親」のような存在だ。
正しい道を示して、ただ背中を推してくれる存在。
ギャングの少年の中には、父親も母親も銃撃戦で死んでしまい、天涯孤独の身となっている子も少なくない。
ギャングが、家族代わりになっている。
ギャングが、悪事であるとわかっていても、
人を殺し、盗み、苦しませる。
そういう生き方しかできずにいる。
ギャングがまさかの協力し合う関係へ
アンディ牧師は、以前、抗争を止めたことがあった。
2020年3月、コロナによるロックダウンで物流が止まり、スラム街であるマネンバーグも危機的な状況となった。
そこで抗争の一時休戦を提案し、さらにギャングのネットワークを連携させることで食料を調達し、難局を切り抜けるという動きで、世界を驚かせた。
アンディ牧師は、言う。
「逆境こそ最大のチャンスだ。
銃に頼らない生き方を。」
しかし、平和はつかの間だった。コロナが少し落ち着いた2020年7月には、再びギャンググループ同士の抗争が激化していった。
そこでもアンディ牧師は、抗争を繰り広げている双方のグループに話をしに行き、なんとか休戦にできないか、と話を進めていく。
以前、コロナ禍で協力して動くことができた姿を見ているアンディ牧師は、
「たとえギャングの幹部でも、根源的には人の役に立ちたいはずだ。」
と言い、あるグループのリーダー格の男、プレストンが献身的に動いていたのを見て、この男とならギャング抗争の休戦を進め、購入した400ヘクタールの土地で、合法的な仕事をしながら暮らすことを、実現できるかもしれないと思うようになる。
彼らは、こう言う。
「身を守るため本能的に戦ってきたけど、
そんなことは本当はしたくない。
マネンバーグでは、毎日銃撃戦があり2人〜3人が死ぬ。
もう、みんな、そんな日々に疲れ果てている。」
アンディ牧師は、答える。
「いままで過ちを犯してきた人もいるだろう。
平和が降り注ぎますように。
すべての過ちが正されますように。」
そして、アンディ牧師は、プレストンとその仲間たちを、購入した400ヘクタールの土地に連れていき、
職業訓練の一環として消防士から消防の訓練を受けさせたり、交通整理の仕事をさせるなどする。そして、プレストンたちも、牧師が持ちかけた合法的な仕事を続けていく道を探り始める。
プレストンは言う。
「マネンバーグの未来を変えるんだ。
光をつかめるかは、俺たち次第だ。」
最後に、アンディ牧師は言う。
「彼らには、
貧困と暴力以外の生き方があるはずだ。」
その後、最も激しく抗争を続けていたグループ間での休戦が決まった。
いつまで、その平和が続くかはわからない。
しかし、アンディ牧師はこれからも声をかけ、働きかけを続けていく。
と、そんなお話でした。
自分用にエピソードと共に書き残しておきたかったので、話を整理しながらまとめてみました。
いま僕は日本で、銃撃戦に怯えることもなく、静かにこうして文章を書くことができている。お風呂があり、ご飯があり、夜はゆっくり眠ることができる。
そんな当たり前の日々が、当たり前じゃない世界があることを、こういったドキュメンタリーで目の当たりにすると、今のこの生活が当たり前じゃないことにも気づかされる。
あ、そういえば「当たり前じゃない」って言うたびに、頭になかに毎回浮かんでくるイメージがあるんですよね。
めちゃイケに極楽とんぼの山さんが帰ってきて謝罪をするときに、加藤さんが言った、あのひと言、
「当たり前じゃねーからな!!」
当時の映像がないかなーと探したら、実際の映像はなかったけど、モノマネのやつがありました。懐かしいなぁ。
というわけで、
世の中には大変な状況で生きている人もいるんだなということを改めて思い返して、今の自分を見てみると、ウダウダ考えてたこともちっぽけに見えてきて、「とはいえ、割と幸せなんだな、今の状況って。」と思えた夜でした。
(『書く習慣』#1ヶ月書くチャレンジ、14記事目。なんだかんだ続いている。書き出すこと、記事にすることが、だんだん自然になってきたような感覚がある。)
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