TSUKUBA CONNÉCT #65「聞こえから社会の価値観を変える人たち」参加レポ #相互探求の文化づくり #ホンモノのインクルーシ

最近、聴覚障害者関係のイベントによく顔を出すようになった。 今回は、つくば市で開催されたTSUKUBA CONNÉCT #65というイベントの第一部「聞こえから社会の価値観を変える人たち」に参加してきた。

TSUKUBA CONNÉCT #65 - Venture Café Tokyo

今回のイベントでは、聴覚に関連した分野で様々な経歴を持つ方々が登壇しており、主な経歴は以下のようなものだ。

明石太陽氏は、Boostという聴覚障がい者のための情報保障サービスを運営するCHANGE by One Japanの事務局を務めていて、聴覚障がい者の社会参加を促進するための情報保障やコミュニケーション支援の分野で豊富な経験を持っている。

池田優里氏は、聴覚障がい児とその家族を支援するNPO法人Bridge Heartの代表を務めていて、聴覚障がい児の教育や福祉に関する幅広い知識と経験を活かし、当事者とその家族のサポートに尽力している。

澤田真吾氏は、聴覚障がい者のためのコミュニケーション支援ツール「ONTELOPE」を開発している株式会社オンテロープの代表取締役で、聴覚障がい者のコミュニケーションにおける課題をテクノロジーで解決する革新的な取り組みを行っている。

渡辺知恵美氏は、筑波技術大学産業技術学部准教授として、聴覚に関する研究に携わり、聴覚メカニズムの解明や聴覚障がいに関する研究成果を社会に還元することで、聞こえに関する課題解決に貢献しようとしている。

モデレーターは牧村正嗣氏で、株式会社シー・エヌ・エスの映像ディレクターとして、映像制作の専門家としての視点からイベントを進行し、聴覚障がいに関する情報を分かりやすく伝えるための映像制作にも携わっている。

このように、多岐に渡る分野で活躍する専門家が一堂に会し、「インクルーシブとは何か」という『雑談』を行った。 登壇者はそれぞれ異なる立場から聴覚障害と社会の関わりについて活動しており、自身の経験や取り組み、そして未来への展望を語っていた。

特に、『本物のインクルーシブとは何か、真に多様性を受け入れる社会を実現するために何が必要なのか』というテーマはかなり深く追求され、また、障害者と健常者の垣根を超えた相互理解の重要性を訴えていた。

イベントを通じて将来的には聴覚障害というテーマに限らず、様々な課題を抱える人々が互いに協力し、新しい価値観を創造していくことの重要性が強調されていた。 最後に、今回のイベントを皮切りに今後の活動に繋げていきたいということで〆られた。

私はインクルーシブという言葉の定義はあんまりはっきりしていないがゆえに「なんとなく良さそう」という意味合いで使われている言葉だと思っている。

そもそも「統合」しようがしまいが多くの人が社会の辺境で生きてるわけで、統合しなくてもそこに人は生きている。 結局は「自分から見えていない」人を再発見するというだけの話ではないか。

今回の雑談の中では「想像ができない世界がある」ということに対して思いを馳せるということが大事という言葉が出てきたがまさにその通りで、我々は認識できないものは本当に認識できない。 したがって、「この世にはどんな人がいてどういう風に生きているのか」ということを学び続ける姿勢が大事だし、どんな人がいても存在そのものを否定はしていけないということを強く感じた次第である。

また、いわゆるマイノリティ（障害者）の小さな枠組みから大きな枠組みへと変化していくことはとても大事だと思う。

これまでの流れはどちらかといえば小さくまとまるというか「同じ境遇の人」が集まってお互いの状態や不便を共有してやっていたけど、もしかしたら全く別なところですでに乗り越えてる人がいるかもしれない。

そういうことを発見していくためには自分のグループだけではなく様々な人々やグループと連携して将来を探っていく必要がある。

インクルーシブとは「健常者ー障害者」だけの間で成り立つものではなく、あらゆる立場の人のネットワークがあってこそ初めてできるものだ。 そのためのネットワークを編んでいく手伝いができれば嬉しいと思う。

それにしてもつくばは随分と明るくなったというか、自分がつくば市にいた頃はまだバスがメインで TX が通っていなかったくらいであり、筑波大学で完結していたような感じだったが、最近は市民の交流の場も開かれている。

その辺りに時代の変化を感じるし、こういう新しい場所から何か大きなものが発展していけば日本も良くなってくるだろうと思う。そんなことを感じた1日だった。

しかし、電車で行けば酒が飲めたのだが。それは残念であった。