2022年10月24日(月)『プロ野球「経営」全史』が面白い

通勤電車の中で中川右介著『プロ野球「経営」全史―球団オーナー55社の興亡』(日本実業出版社)を読み進めているがこれが面白い。親会社の視点から描いたという少々分厚い450ページの本。序章の「はじめに」では「オーナーたちのなかには野球を愛した者もいれば、何の興味も持たない者もいた。華族もいれば、戦後成金もいた」とあり、球団所有の目的も営利事業のひとつや自社宣伝や顧客サービスや社員の一体化や成り行きなどなどさまざまだと続く。明治初期の野球伝来から現在に至るまでの長い日本野球史を綴っていてこの歴史物語の始まりの年は鉄道史と同じ明治5年だとか。少し後の明治11年に日本で最初に結成された野球チームが「新橋アスレチック倶楽部」。このチームは設立人である平岡凞が鉄道局を辞めたことで明治23年に早々と解散してしまう。「新橋アスレチック倶楽部は、いまで言う社会人野球に近い。工員たちの娯楽として始まり(略)この歴史が長く続けば日本野球史は別の展開をしたかもしれない……」と著者。この後の野球害毒論の反動でスポーツは清く美しくと志向されていくが……分岐点は既にいたるところに存在しているのですね。


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