お悔やみの花は、何年も経過すると意味合いが変わります。
命日に、アレンジメントを持ってご遺族に会いに行く方から 毎年お花の依頼があります。私は花屋ではないのですが、特別に引き受けています。もう、10年以上でしょうか。
亡くなられたばかりの時は、お花も白い花のみでお作りします。いろいろな考えや価値観の多様化で 白に拘らない お悔やみ用途の花も増えていますが、お相手ご家族がどのようなお考えの方々か分からないうちは 失礼のないよう誤解を生まないような配慮が必要です。
2、3年経つと 故人がお好きだったお花の情報や ご家族のご趣味なども伝わりますので、お好みに寄せて制作します。ただ、あくまでも 淡い色合いの範囲です。家族の死に対して 気持ちの整理に必要な時間の長さは様々です。何年も悲しみの中にいらっしゃる方に そっと寄り添う優しい雰囲気のお花が相応しいですね。
その先の経過では、季節のお花だったり、ちょっと珍しい品種のものを入れています。毎年 アレンジメントを受け取るご家族にとって、故人を忘れずに遺族を見守ってくれている人に対して、絶大な信頼感を持ちます。中には、心待ちにしてくれる家族さえいます。
命日に訪問してくれる人と懐かしい話をしながら、長い時間を過ごすことになるのです。
花の名前など知らなくても、アレンジメントを前にして 季節の話や見たことのない花の話になり、その場の雰囲気をより良くする役目も果たすのです。
作り手は、そういうことを踏まえてアレンジメントを作ります。慰めの花でもあり、元気付ける花でもあり、人間関係を更に良好にする役割を担うのです。
お悔やみも 他のギフトと同じように、ご依頼主と受け取る先方様の「想い」を汲んでアレンジメントを作ります。
10年以上経つと…今年はどんなお花なのか楽しみにしてくださっているとのことです。毎年ご依頼いただけるということは、作り手の配慮を感じてくださっているのかもしれません。お花は『人の想い』を込めるのにピッタリなものだと思います。今年も、ご依頼主と先方様ご家族の良好な関係をより深めてもらえたら嬉しいものです。
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