アレンジメント制作で花材の切り口は、原則 斜めにカットです。それは…
植物は根がついていて土の中などから栄養や水分を吸収できている時と比較して 切り花になると根圧が無いので、水を吸い上げる力が弱くなります。
お花屋さんでは、仕入れた花材をそれぞれの植物に相応しい水揚げ作業をして、花や葉にしっかり水を送って 店頭に並べています。
根から切り離された植物は、切り口を乾燥させてしまうと維管束内に空気が入り込み、水を吸い上げにくくなります。維管束とは、水が通る導管と栄養が通る師管が束のように集まった部分です。
師管の話はこちらの記事をご覧くださいませ。
アレンジメントを作る時、お水を吸い上げさせ易くするためにも 仕上がりを美しくするためにも「切り口」に意識を向けています。その細やかな意識が仕上がりの雰囲気にも出ます!
花を長持ちさせたい、美しくアレンジしたいなら…
維管束を潰さないようにします。
茎をオアシス(吸水性スポンジ)に挿す時、下の写真のように水平な切り口と 鋭角な切り口では、どちらが茎を潰さずに抵抗力少なく挿せるか分かると思います。茎は、カットする時とオアシスに挿す時の2回 強い衝撃を受けているのです。
切り口を斜めにカットする時 ダメージを最小限にするために、切れ味の良いハサミやナイフ(カッターナイフでも良いです)を使います。
さて、「原則」とありますが…晩秋から花屋さんに出回るスイトピーなどの 茎が柔らかい種類の花は、斜めにカットしてしまうと 柔らかすぎてオアシスに挿さらず、折れたりします。
そういう花材は オアシスに挿す際の抵抗力に負けないよう、水平にカットします。その辺りは、品種やその時期の状態に合わせて臨機応変に 維管束を潰さないのは、どの方法がベストか という基準でカットします。
物事の本質を捉えていないと 単純にルールを守ればいいという発想になりがちです。それは自ら考える機会を放棄してしまっている残念な行為です。個々の花材ごとに教わっていないから分からない…というのでは、初めて出会った花材をどうカットしたらいいのか判断できない、となってしまいます。
どんな業界のお仕事でも 新人さんの教育指導の立場の方々は、ご経験から共感いただけるのではないでしょうか。どんなことも「教え」や「ルール」「マニュアル」といったものは、先人が後の人々のために 得たい成果を効率良く 美しく得るための最短ルートを教えてくださっているものだと思います。
真意を理解して、自分で判断できるようになると創意工夫の発想も生まれるものです。フラワーアレンジメントもお仕事と同じですね。
おまけ情報です。上記のリンク記事に載せたアロニラ・アルブティフォリア(西洋カマツカ)…枝から出た新芽が更に大きくなっています!根がないのに 1ヶ月以上まだ がんばっています!こうした植物の力に癒されたり 元気をもらえたりします。
今日も読んでくださり、ありがとうございました😊
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