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ミッション イン GMS

ショックだ。まさかこれほどの大差で蓮舫さんが負けるとは...。私は東京都民ではないが、やりたい放題の政治を真っ当な道へ引き戻すきっかけになるかもしれないと期待していたのに。私が住む兵庫県も、知事のパワハラ疑惑でとんでもないことになってるし、近頃は気分が落ち込むことが多い。

そんなどんよりとした気持ちを引きずっていたからだろうか、仕事でちょっとした事件が起きた。

エリアマネジャーとしての主な職務の1つに、競争店調査というものがある。どんな商品カテゴリーであれ、ある一定地域の購買をひとつの企業または店舗が独占しているという状態はめったになく、必ずお客を奪い合っている競争他社が存在する。しかも現在は、コンビニVSコンビニ、ホームセンターVSホームセンターといった同じフォーマットどうしだけではない。加工食品ならドラッグストアや100円ショップでも、玩具なら家電量販店でも、文具なら書店でも買える。つまり、異なるフォーマット間での競争も激化しているのだ。そんな環境の中で、他社の品揃えをタイムリーに把握し、応急的にはチラシ内容の差し替えや売価の引き下げ、制度的には商品構成や売価政策の変更に繋げていこうというわけだ。

そしてそのスタートを切る現場調査が、エリアマネジャーのミッションとなる。具体的には、担当エリア内の競争店を回り、本部から割り当てられた商品カテゴリーについてのあらゆる調査を行う。売価ごとの在庫数量、商品デザインやスペック、値下げ状況、陳列形態などなど。

これが結構しんどい。なんせ相手は営業中の店舗である。スーツ姿の男が1時間も2時間も同じ売場でスマホ片手にウロウロしている姿は明らかに怪しい。当然従業員は敵側のスパイだと気付く。営業妨害をしてるわけではないため、直接声をかけてくることはないのだが、こちらとしても居心地は悪いし、早く終わらせたい一心でイライラ度も増してくる。どう考えても男1人が物色するような売場ではない場合、周りのお客からの冷たい視線もつらい。

先日、某大手GMSに調査に行った時のこと。冒頭で述べた通り気分が乗らず、正直やる気がなかった。早く調査を済まそうとするあまり、ご法度行為を行ってしまったのだ。

売場の写真撮影である。

いくら競争相手といえど、同じ業界に身を置くものとして最低限のマナーは守らなければならない。撮影は許可を得るのが常識だ。もちろん分かってはいたのだが、ついパシャとやってしまった。

するとその直後、従業員が呼んだのか防犯カメラに映ったのか、どこからともなく警備員がひとりふたりと近寄って来るではないか。「ヤバイ!」と思ったのと同時に売場から離れ、車のある屋上へ向かうためエレベーターへ急いだ。運よくその階に止まっているわけはなく、矢印ボタンを連打する間にいとも簡単に追いつかれてしまった。エレベーターが到着し乗り込む3人。私の後ろには、ベッタ付きの警備員2人。

残念ながら今回のミッションは失敗だ。彼らに羽交い締めにされても、トムクルーズのように華麗に反撃する術は、私には持ち合わせていない。写真を消去し素直に謝ろう、そう思った。

だが、予想に反し彼らは何も言ってこない。もちろん体に触れることも一切ない。考えてみれば、写真を撮ったくらい何とでも言い訳はできる。後で揉めても余計に厄介だ。問い詰めたりはせず、あくまで追い出すのみ。それが彼らのミッションなのだ。

発進した車のバックミラーには、悲しきスパイを見届けるふたつの勇姿が映っていた。「またお越し下さいませ・・・やれるもんならな。」と言わんばかりに。

1つ、競争相手を甘く見てはいけない。
2つ、手を抜くとろくなことがない。

これが今回の教訓。

野党のみなさんも、ぜひ肝に銘じていてほしい。

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