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アフターコロナにこそ求められる、写真のプロデュース力

コロナによってほとんどの仕事が飛んでしまった今、たくさんのフォトグラファーが「早く自粛が終わらないかな」「また前の生活に戻りたいよ」と思っていることと思います。

でも、そんなことってありますか?

例えば自分は、今もコロナ前とまったく同じ価値観を持っていますか?

外出や、人と会うということの必要性、家での暮らし方について、あるいは今後の人生について、色んな新しい発見があり、今までやっていなかったことを実践しているんじゃないでしょうか。

だから、コロナが落ち着いてきた時に、マーケットや消費者がガラッと変わっている可能性だってあるんです。

大勢が集まる結婚式って、これからも需要あるのかな?
オンラインで参列する人も出てくるかも。
家で結婚式やるとか?

じゃあ今までと同じように撮影の仕事ができないかも?と不安になる人もいるでしょう。

でもその不安って、常に世の中についていってるから不安なんじゃない?と僕は思います。

エンゲージメントフォトが流行ってきたからやろう。
ニューボーンフォトが流行ってきたからやろう。
みんな東京駅でロケやってるから、自分もやろう。

結局は何も生み出してこなかったということなんです。

世の中や人間の本質を見極め、これだ!というサービスを生み出せる写真のプロデュース力があれば、どんな時代も生きていけると僕は思っています。

そんなわけで、自分がプロデュースしてきたものをここで振り返りたいと思います。自分でも振り返りのためにこれを書きたくて、なかば無理やり繋げました(笑)

kuppography

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kuppographyは、少数精鋭のフォトグラファーから成る、指名制のウェディングフォト撮影チームです。

フリーで上手な人はいても、大きな撮影会社だとだいたいピラミッド構造で、在籍フォトグラファーの5%くらいだけ上手というのが現実。

式場のウェディングフォトも当然ながらその通りになっていて(大きな撮影会社が提携しているから当然)、「サンプルはめっちゃいいのに、現実はこんなでした・・・」という花嫁さんの悲しいブログをたくさん目にしました。

誰だって、iPhoneを買ったのに中身が名も無きメーカーのパクり商品だったら怒るじゃないですか?

残念ながらウェディングフォトはそれがスタンダードだったので、「ウェディングフォトをこの人にお願いする」という文化を作りたいと思って始めたのがkuppographyでした。

個人の力では、業界は変わりません。チームでやってはじめて、何かが変わると思っています。だから、所属する誰もが業界をリードするようなレベルだというチームを作りたいと思ったのです。

撮影以外でも、まあまあいいお値段のする有償のプロ向けワークショップを始めたり、業界関係者向けのイベントを開催したりと、

kuppographyでは、ウェディングフォト業界の誰もやらないようなことも積極的に行っています。

ストーリーフォト

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2014年に家族写真スタジオをオープンして以来、横浜と沖縄のスタジオでたくさんのご家族を撮影させていただきました。

ただ、はじめの方は「OOスタジオさんの予約が取れなかったので・・・」というご依頼が目立ちました。

それもそのはず、私たち自身が「OOスタジオのようなオシャレな写真を撮ろう」と思っていたからです。

そういう意味では、目標を達成できてはいたのですが(笑)

ただ、やっぱり二番目というのは、気持ちのいいものではありません。どうしたら選ばれる存在になれるのだろうかとずっと考えていました。

僕がスタジオのオフィスで仕事をしていた時のこと、スタッフの皆が「この子のこの仕草がほんとに面白くて」とか「めちゃくちゃ素敵なファミリーだな〜」という話で盛り上がっている光景と、ウェブサイトなどでメインとして見せている写真が合致していないということに気づいたのです。

そこで「OOスタジオのように」という無意味な考えはやめて、自分たちが本当に良いと思ったもの、それは「その家族にしかない関係性や、その場でしか生まれない感情を写真で表現したもの」を伝えていこうと提案しました。

僕たちはそれを「ストーリーフォト」と名付け、今の今まで、クッポグラフィーでしか撮れないファミリーフォトだと自負しながら撮影を続けています。

ストーリーフォトという自分たちのスタイルを生み出して以降、副次的に売上も急上昇したことを、ここに付け加えておきます。

沖縄フォトウェディング

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青い海と青い空があって、カップルがジャンプしていたり、フォトフレームの中に入っていたりする写真。一度はご覧になったことがあるのではないでしょうか?

2017年に僕が沖縄のフォトウェディングを調べた時、出てきたのはそんな写真ばかりでした。

そしてそれは、僕が知っている沖縄の魅力のほんのごく一部でしかなかったのです。

東京や京都といった都市部で撮影することが多かった僕にとって、沖縄ほど自由で、フォトグラファーの力量が試される場所はないなと、直感的に感じていました。

「ここの壁の前に立って」というような、背景を撮る写真ではない。二人が沖縄という自然あふれる場所を旅して、お互いのことを知る、お互いのことを確かめる。だからこそ生まれる瞬間や、二人の関係性を写真で表現したいと思っていたのです。

そこで、二号店となる沖縄の家族写真スタジオのオープンとともに、ウェディングの撮影も受付をスタート。

ちょうどのこの春で三年が経ちましたが、沖縄のウェディングフォトはだいぶ変化したなと感じます。微力ながらも、業界に一石を投じることができたのではないかと思っています。

IWAIフォトアルバム

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クレイジーさんが表参道にオープンさせたIWAI OMOTESANDO。僕たちはその写真部門を担当しています。

オープンの準備段階で声をかけてくれた山川咲さんから、IWAIへの思いを聞いた時に思ったのが、「自分も結婚式の写真というものをゼロから考え直そう」ということでした。

そもそも、結婚式ってなんだろう?そこの解が自分の中にない状態で、どうしてウェディングフォトが撮れるんだろうとさえ思うようになりました。

そして、IWAIがやろうとしていることへの理解。

この2つがポイントだなと考えたのです。

IWAIの結婚式は、生まれも育ちも違う二人がお互いを認め合う。そして、二人の大切な人たちが、その二人をただただお祝いする。今日の日を経て、二人はこれから先も続く人生を歩んでいくことができる。

自分の中でそんな形が見えてきたと同時に、じゃあこのウェディングフォトアルバムって、その二人の人生を表している必要があるなと感じました。

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自分の人生のはじまりのページにあるものは何だろう?

僕はそこに、希望や、未来を感じました。そして、子どもの目にはきっと、両親が泣き、笑い、喜ぶ姿が映っているんじゃないだろうか。そんなことを想像しながら、それらをすべて、結婚式当日の撮り下ろしで表現していきます。

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また、自分の人生を表す上で、欠かすことのできない大切なゲストの方々。新郎新婦はできるものなら全員を写真に残したいはず。だから「全員集合写真を撮ってください」という依頼が多いんだと思いますが、

写っている人の顔は豆粒になるし、食べかけのご飯などもあり、二人がずっと大切にしたくなるような写真になっているかなというのは、僕以外のウェディングフォトグラファーも皆、気がかりなんじゃないかと思います。

それよりも、一人ひとりのめちゃくちゃいい写真が残ったら、絶対そのほうが良いよね、でもそれってオペレーション的に難しいか・・・

というのが、誰もが考えることだと思います。でも「撮影者都合でできない」は一切なくすことにしました。人の人生を表現するのに、カメラマンが大変だからとか、一切関係ない!(ビシッ

そうして、二人がアルバムのページをめくっていくたびに、自分が生まれた時から、成長し、二人が出会い、お互いを承認し、これから歩んでいくというストーリーのアルバムを生み出すことができました。

フォトスタジオの概念を変える

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そして今、僕がかなり力を入れて取り組んでいるのが、「フォトスタジオの概念を変える」ということです。

フォトグラファーにとって多くの時間を過ごすフォトスタジオも、お客様にとっては記念日に写真を撮りに行く場所にすぎないんですよね。

要するに、一年に一回とか、三年に一回とかしか、一組のお客様との接点がない。

でも自分は、もっと一組ひとくみのお客様と関わりたい。自分たちはもっと人を幸せにできると信じているし、それは関係を深めれば深めるほど、交流を重ねれば重ねるほど、上っ面では見えないことが見えて、ハートまでタッチすることができる。そう思っています。

海外旅行に行って「OOの国の人はいい人だったな〜」と思っても、そのあと実際に留学して一年住めば、全然違う印象を持つでしょう。それと同じです。

2019年にリニューアルした横浜港北スタジオは、コーヒースタンドを併設して、その第一歩を踏み出しました。

2020年オープンの駒沢公園スタジオでは、そこにフラワーのサービスも加えて、より日々の暮らしを彩るお手伝いをしたいと思っています。

こちらはまだまだチャレンジなので、これからの展開を楽しみにしていてください。

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長くなりましたが、自分が今までに手掛けてきた写真関連のプロデュースをご紹介させていただきました。

今はコロナの影響で不安な日々が続いていると思いますが、どんな時代も、きっと必要とされているものがあり、まだ存在していないサービスが誰かを幸せにするチャンスを秘めています。

既存の価値観にとらわれず、新しい価値を世の中に創造してやってください!

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