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ヨーロッパ在住のUIデザイナーが日本のフルリモートチームのメンバーとして成果を出すために実践してること

この記事はGoodpatch Anywhereアドベントカレンダー8日目の記事です。

齢32にして初めてブログ記事書きます。

僕は3年余りの間、オランダとイギリスでWebやアプリのUIデザイナーとして活動してきました。現地のローカルクライアントとのお仕事と並行する形で、ここ1年半くらいの間はGoodpatch Anywhereの一員として日本の案件にも積極的に参加しています。

その間、いかに遠く離れた場所にいる同僚/クライアントとワンチームになって質の高い仕事をするかに苦心してきました。様々な成功・失敗を経験しましたが、今回はそこから得られたいくつかのTipsを共有します。誰かの参考になれば嬉しいです。

この記事のターゲットは主に
海外(時差がある場所)から日本のチームと仕事をしている、もしくは将来したい人(けっこうニッチだな)
ですが、この考え方を応用すれば以下のような方にも参考にしてもらえると思います。
- 日本から海外のチームとうまく仕事をしたい人
- 日本国内メンバーのみのチームだけどうまいこと稼働時間がかぶらない。そしてそれによる弊害が出てる人

※注
ヨーロッパのタイムゾーンで働いている自分のケースで話をしています。ご自身のタイムゾーンに合わせて適宜読みかえて頂ければと思います。

Goodpatch Anywhere式リモートコミュニケーションマニュアル読んで実践する

いきなり他の記事に促して恐縮です。でもここに書いてある内容がフルリモートチームで成果を出すための一番大事な土台になります。この中でも以下の3つは必ずトライしてほしいです。

- なるべく考えていることを形にしましょう
- 心理的安全性を全員で作り出す
- 全員で作業ができるオンラインツールで生産性を上げる

これらはどんなチームでも重要なことですが、海外在住メンバーがいる場合はよりその影響が大きくなります。この土台がグラグラだと以下に述べられているTipsはあまり役に立ちません。まずはこちらから取り組んでみるのが良いと思います。

日本のメンバー・クライアントと稼働時間が重なる時間帯を確保した上で、リアルタイムコラボレーションの力を最大限に使う


オランダ在住の自分の場合は朝8:00-11:00くらいが日本にいるメンバーと稼働がかぶる貴重な時間で、この時間帯をコアタイムとして最大限活用しようと試みています。
その際に威力を発揮するのが、全員で作業ができるオンラインツールで生産性を上げるでご紹介しているものをはじめとしたリアルタイムコラボレーションのためのツールとマインドセットです。
一人の時にじっくりやればいいや〜じゃなくて共同作業中に全部決めちゃうつもりで気合い入れてやりましょう。

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☝️ Discordに集ってみんなで議論しながらUIデザインを進めてる様子。日本のメンバーと一緒に議論・壁打ち・デザインの共同編集などができるコアタイムは何より貴重な時間です。日本にいた時は何でもなかったようなことが今は幸せだったと思います。

リアルタイムでコミュニケーションを取りながら議論・作業した内容は、そのプロセスを記録して残しておくことも忘れてはいけません。それが次の項目でお話する「ドキュメンテーションの質」に直結します。

また、この時間帯はできるだけ現地案件のことはやらないで済むようにしたいです。したがって現地のプロジェクトメンバーやクライアントとの調整も必須になってきます。しっかり根回ししておきましょう。

ドキュメンテーション(記録)の質にこだわる

チャレンジングなプロジェクトであるほど毎日いろいろな種類・粒度の情報が速いペースで行き交います。
メンバー間に場所や稼働時間の違いがあるチームではそれらを適切に記録していくことが重要です。

プロジェクトを進めていく上でのあらゆる情報が、
記録されるに至ったプロセスが見えて
②その時点の最新情報であり
誰でも参照できる状態
となるようにしたいところです。

ここの質が高ければ、コンテクストが保持された状態で新鮮な情報が蓄積されていきます。それによって情報の属人化による潜在的なボトルネックを避けることができます。
メンバー間に稼働時間の差がある(これは国内メンバー同士でもありますよね)と、作業時間の違いや誰かが会議に出れない等のギャップはどうしても出てきます。そんなチームでは是非これを徹底してほしいです。

記録される情報は多岐に渡ります。以下にいくつか例を挙げました。もはやドキュメンテーションという言葉を使うのが適当か分からないものもあります。とにかくあらゆる情報の透明性を上げまくって、質が高く鮮度のいい情報を文脈ごと残していきましょう。

・デイリーミーティングの議事録+録画(Scrapbox, Zoomなど)
・自分がデザイン作業してる時の頭の中(Figmaなど)
・チームメンバーと共同作業してる時の議論内容(Figma, Miroなど)
・各メンバーのその日の稼働時間帯やタスク(Scrapbox, Google docなど)

()内にAnywhereでよく使っているツールを挙げてみました。最新の状態を誰でも参照できるという前提で選んでいるため、やはり全てがオンラインツールになってますね。

結果のみでなくプロセスも書き/描き残す
チームで行うデザインタスクにおいては、最終的に出てきたものよりそれに至ったプロセスの方が価値があることもあります。

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☝️ボカシで分かりにくいですが、こちらはある日のZoomミーティング議事録の内容です。Scrapboxを使ってチームのみんなでノートを取りながら、Scrapbox上でも文字ベースでディスカッションが始まったりします(ビデオチャットとのパラレルディスカッション…みんな器用だ)。
議論のプロセスを記録に残すことで後からでも皆の思考を辿れます。ディスカッション結果のメモだけだとあまり嬉しくありません。

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☝️こちらはとあるデザインファイル。デザインの周りにぺたぺた貼ってある付箋みたいなやつには、デザイン時のデザイナーの思考が書いてあります(このデザインを作ってる時に何を考えてたのか、どの部分を迷っているのか等)。思考の流れに沿った記録ができればベストです。そうすることにより他のメンバーがレビューしやすいですし建設的な議論に発展しやすくなります。あと個人的には他メンバーのデザインプロセスから新たなアイデアを着想することも多いのでいっぱい書いてくれると嬉しい。

稼働時間がかぶってる時→リアルタイムコラボレーション、かぶってない時→ドキュメンテーション、の両輪でコミュニケーションの質を最大化しましょう。(ドキュメンテーションも重要なコミュニケーションです)

クライアントとできるだけ早く対等な協力関係を築く

海外メンバーがいるとクライアントにもより柔軟になってもらう必要があります。そのためには彼らの理解・協力が必須ですし、こちらとしても自分がボトルネックにならないように工夫することが重要です。

毎日の会話とデザイン/資料の共同編集

時差に起因したコミュニケーションギャップによって進捗や情報がブラックボックス化してしまうことは避けなければいけません。
海外から日本の案件に参加する時は、いつも以上に定例ミーティングの効果を実感します。進捗・情報の共有だけでなく、遠く離れていても毎日同じ時間に顔を合わせて進捗を共有し合うことで双方の信頼感が養われていく感覚があります。
自分の場合は毎日夕会(ヨーロッパは朝)を設定してもらっています。

また、リアルタイムコラボレーションとドキュメンテーションの両輪を駆使しようとお話しましたが、これは制作チーム内だけでなくクライアントとのコミュニケーションについても当てはまります。
Anywhereでは進捗管理ツールだけでなくFigmaやMiroなどにもクライアントを招待して一緒に編集します。そうすることでお互いに得られる情報が格段に変わってきます。彼らと一緒にデザインをしているくらいの気持ちになれたらベストです。

自分がいることのバリューをアピールする(海外在住者的な意味で)
クライアントに大なり小なりこちらに合わせてもらうことになるので、自分からも海外在住者だから提供できる価値をプラスアルファで乗せたいといつも思っています。
使っている海外サービスの事例をシェアしたり英語でしか出回ってない情報を共有したり色々できると思うので、自身の状況に応じて工夫してみてください。ひいてはそれが信頼につながり、協力関係構築の一助となるはずです。

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速いペースで成長してるGoodpatch Anywhereですが、まだまだメンバーを募集してるみたいです。ご興味あれば是非。多様性を尊重するチームなのでAnywhereのミッション・取り組みに共感する方であれば誰でもウェルカムだと思います。


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