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舞台「星降る学校」(2022年、K-FARCE)【感想(Bチーム)】この作品よ、もっと届けと願う

2018年に劇団シアターザロケッツのプロデュース公演で見たのが最初だ。それ以前にも、それ以降にも何度か再演されているが、じぶん自身が見たのは主演の田村先生を坂口和也(かずなり)さんが演じられていた、その時以来だ。

今回、田村先生がなぜか女性になっている。演じているのは過去に同じくK-FARCE主催の公演、「君には最高の嘘を」にも出演されていた後藤郁(かおる)さん。最初は正直、女性が演じられていることに違和感を抱いたのか、戸惑ってしまった。混乱していたと言ってもいい。過去のシーンでもかつて見た時とは男女逆になっている。でも、それも最初だけだった。途中から違和感もなくなっていた。

より楽しくなってきたのは、鎌田先生を演じる後藤菊之介さんにスポットが当てられたときからだ。鎌田先生、なんであんなすみっこでリアクションもほぼなく、つっ立っているんだろうって思っていた。だがしかし、鎌田先生はそういう人だったのだ。(かつて見たロケッツでは根魏山リョージさんが演じていた)しれっと屋上の柵を飛び越えたときから彼の(鎌田先生としても、演者の後藤さんとしても)本領発揮!!影が薄いと思っていた彼が、気付けばめちゃめちゃ脚光を浴びていた。(直角っていうところとか、あったあったと懐かしみつつ)結局、冗談みたいな雰囲気で事なきを得たが、ほんの少しは飛び降りる気もあったんだと思う。なんにしてもよかった、よかった。

・・・と思いきや、かつての生徒だったという男性が現れた。なんだかんだあって、鎌田先生みたいに屋上の柵の向こうに行ったが、今度は比較にならないぐらい本気のようだ。彼曰く、この学校の”女生徒”に痴漢呼ばわりされたことで人生めちゃくちゃになった、その女生徒も連れて来い!と。でも、そんな女生徒なんていなかったのだ…。

実際に彼の身に起きていた出来事は、冗談みたいな話だ。でも、そんなことのせいで人生が狂わされて、自暴自棄になって、屋上から飛び降りたいという気持ちにさえなることって、誰しもとは言わないまでも、確実にいるはずだ。

じぶんは全く同じ気持ちということはないが、何ミリ?何センチ?ぐらいは彼の気持ちが分かる。もっと分かる人だっているだろう。そんな彼に田原先生が声をかけたように、この作品自体からも声をかけてくれたような気がして、少しこちらまで救われた気がしてこっちまで嬉しくなった。

楽しくて笑えるけど、それだけじゃなくすこし前向きにもさせてくれる、「星降る学校」はそんな作品だ。主催団体が違っても、演出、キャストが違っても、届くんだなと感じた。(脚本はロケッツの荒木太朗さんなのはもちろん変わらない)そして、もっと届け!とも。この作品を見たことがない人はもちろん、見たことがある人も。かつて見たキャストとも、団体とも違うからと躊躇してる人(じぶんもそうだった)も、多くの人に届いてほしい。そして、この公演が盛況して、さらにいろんな団体で場所で広まっていきますように。(欲張り?)

とはいえ、公演自体はまだ始まったばかり。できるのであれば、現地が断然いいが(生で観る舞台に勝るものはない)、配信公演※もあるのでよかったら…。


※:
ただし、「配信公演」は照明の状態や当たり具合では顔が白飛びして見えたりや、音声が聞きづらい等、当日の配信環境や機械などの不具合等もあるかもしれないので、それを踏まえた上での視聴をおすすめします。

この公演、団体に限らず、配信公演は今はそのようなものと今は認識していいかと思います。(あくまで、いくつかの団体、作品の配信公演をある程度見てきた体感でしかないけど、そう思っていた方がいいはず)

そして、じぶんはただのいち観劇者です。
スタッフでも関係者でもありませんので悪しからず。(念のため)


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