久遠堂の製作覚書⑤「イヤよイヤよ、はガチでイヤ」
今回は、今までの製作に際し、初心者女子にテストプレイをしてもらったり聞き取りを行ったりして把握した『初心者には何が敬遠されるのか』の傾向について、ちょっと書いておこうと思う。
あくまで私の観測した範囲内の話ではあるが、これから初心者向けにボドゲを製作したいと思われる方は、もしかしたら参考になるかも知れない。
・プレイ時間が長いと飽きる
「なるべく早めに終わる方がいい」という意見が断トツに多い。特に、ご自身はまだボドゲにそんなにハマってない方は〝別段ボドゲをやりたいとは思っていないが、時間潰しやお付き合いで遊ぶ〟ことも多く、すぐに切り上げられて時間調整がしやすい方が喜ばれる。
・文章が多い/長い/分かりづらいと遊ぶ気が失せる
『犯人は踊る』を遊んでもらった時、このカードを使って何をすればいいか分からない、と言われた時には目玉が飛び出るかと思った。私は『犯人は踊る』は簡単な部類のゲームだと思っていたが、ボドゲに触り慣れていない人は〝カードのテキストを読んで個々の効果を理解する〟こと自体に厭気を感じる場合もあるらしい。
・妨害は、するもされるもストレス
自分のやりたいことができないシステムは、ボドゲに触ったばかりの人には好まれない傾向が強い。乱暴な括りではあるが、嘘をつく必要があるブラフゲームや自分が有利になるよう立ち回る必要がある交渉ゲームなども、ここに含まれる。何もできなかったからつまらなかった、と思われてしまうと、次にまた遊んでもらえる可能性は激減する。
ざっくりこんなもんか。
ところで誤解されたくはないのだが、初心者の方を「それが楽しめないなんて人生損してんなw」と上から目線でバカにする意図ではないことをご承知いただきたい。
子供のうちは酸っぱいものや苦いものが美味しいと感じられないように、ボドゲだって右も左も分からない初心者に対し、いきなりアレもコレも楽しめ、というのは難しい話だと思う。
今、楽しいと思えないことを、無理に楽しんでほしいわけではないし、これから楽しめるようになれ、と強制するつもりでもない。私だってずっと椎茸が嫌いで、これからも好きになるつもりもないのだ。
ただ、ずっとピンと来ないままかも知れないけど、もしかしたら将来的には理解してもらえるようになるかも知れない、そんな一握りの可能性に縋って私は初心者向けボドゲを作っているので、もし気が向いたら、試しにちょっと一口だけでも齧ってみてもらえたら嬉しい。
また、これを読んで「ええーそんなことないのに」「それが面白いんじゃん」と思ったお嬢さん。あなたは既に初心者女子を卒業しつつあり、ボドゲの酸いも甘いも魅力であると理解できるレベルに到達している。是非そのまま進んでください。さあもっと深みへ、さあ。
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