あんまり遠くない場所

名前は此処から凄く遠そうな国
名前だけ、此処からすごく遠そうで
実在するかしないかは誰も知らない
地図にはない国

けれど世界中の人間が
どうかありますように、と願う国

願いというエネルギーの結晶だけで
創造されていそうな国

ガラスの生花、自由の翼、平穏な心
人々が夢見るものはなんでもあるのに

その国の国民たちは
この星までの帰り道は教わらない

遠く、遠く、遠くにある
私の心臓のすぐそばにある国

大好きって言えないまま
笑ってさよならした人達は
きっと私を待ってなんかいないけど

｢また会おう｣って言葉は
嘘でも、強がりでもなく
本物になるんだよ
いつか本物になるから
その時は好きな歌の話でもしよう
私の元から静かに去っていった人達

あんまりあなたを遠く感じないの
いないのに、いないのに、
あなたが遠くにいるってどうしても思えない

そんなことを言うとね
あなたは本当に薄情、って
誰かに後ろ指を指される気がするから

この感覚は心の奥にこっそりと仕舞ってある

この感覚に、名前はつけないでおこう


夢からはまだ、覚めないでおこう


生も死もないただの夢の中で

私はあなたと、あなたと、何度でも出会い直す