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大菩薩峠で鹿に出会って考えたこと


7月下旬に大菩薩峠に登ってきました。お天気に恵まれ絶好の夏山日和でした。


◇唐松尾根から稜線へ

中央本線甲斐大和駅からバスで上日川峠へ。標高約1,600mまでバスで一気に登ってしまうので、2,000m級の山にしてはそれほど時間がかからず登ることができます。

福ちゃん荘から唐松尾根を登って稜線を目指します。


稜線に近づいてくると展望が開け、富士山と大菩薩湖が見えてきました。

富士山と大菩薩湖


稜線に出ました。
夏山シーズン到来って感じですね !

雷岩


◇鹿がすぐ近くまでやってきて…


雷岩の近くの日陰で休憩していると、鹿が二頭やってきました。こんな近くまでくるなんて驚きました。 エサを与えられたりして、人なれしてしまっているのでしょうか。

「カワイイー ! 」なんて、友人と写真を撮ったけれど、なんだか複雑な気持ちになりました。本来なら私たちと近い距離にいることのない野生動物が人間を警戒することもなく、こんな近くまでやってくる。( いや、そもそもあなたたちの領域に足を踏み入れてきたのは私たちの方なのよね…  )


小鹿が4~5m位の所まで近づいてきて立ち止まり、足をカクッカクッと折りたたんで座ってしまいました。

「えーっ !  そ、そこに座っちゃうー ?!! 」とまたしてもビックリ。


そして、私のことを見つめているではありませんか。(ダメなのよエサをあげるわけにはいかないのよ)

小鹿はしっぽをブンブン振って虫を追い払いながら、静かに座っています。こんな目で見つめられ、ちょっと切ない気持ちになってしまいました。


◇雷岩ー大菩薩峠  稜線からの絶景


稜線を大菩薩峠へと向かいます。富士山や甲府盆地、南アルプスの山々が見渡せます。

甲府盆地や南アルプスの山々
鞍部が大菩薩峠

◇大菩薩峠でお昼ごはん


中里介山の小説「大菩薩峠」 記念碑

大菩薩峠に到着しました。
介山荘近くの木陰でお昼ごはんにします。

一人で登る時はお握りとかバナナとかリュックに放り込んで出かけるのですが、友人と一緒の時はコンロ持参でうどんとかスープパスタとか、チーズフォンデュなんかも作ったりします。夏場は、コンロは持参せず冷たい麺類が多いです。

今回は、前日作ったラタトゥイユの残り&パスタ。食後のスイーツは静岡銘菓「こっこ」です。コーヒーとよく合います。


◇熊沢山から石丸峠へ

大菩薩峠から熊沢山へと登り、石丸峠に着きました。


小金沢山方面の笹原の稜線がとても気持ちよさそうです。次はもう少し足を延ばして登ってみたいな。

◇石丸峠から上日川峠へ 沢の渡渉が楽しい


石丸峠から小屋平バス停まで下ります。



小屋平バス停から登山道を歩いて上日川峠バス停に向かいます。アップダウンが少なくて歩きやすく、沢を渡渉する場所もあったりして楽しい道です。

沢の渡渉が楽しい


◇そして鹿のことについて考えてみた

昨年秋、南アルプスの鳳凰三山を縦走した時も鹿に会いました。やはり人を警戒している様子はありませんでした。山小屋の方が、鹿が増え食害などの被害で困っていると他の宿泊客の方と話していて、そのことがずっと頭の中にありました。その後特に調べることもなくそのまま放置していました。

近年、鹿の分布域が拡大し森林や農作物の食害が深刻な問題となっているそうです。今回稜線を歩いている時も高山植物の花が咲いていないのが気になったのですが、鹿の食害が進んでいたのですね。

なぜ鹿が増加し分布域が広がってしまったのでしょうか? 鹿の問題についてわかりやすく書かれている記事がありました。


①天敵の不在(昔はニホンオオカミがいた) ②温暖化により積雪量が減少し生息できる場所が広がった ③戦後の拡大造林(スギやヒノキを植えた)で植えられた苗木などが餌となった ④捕獲規制緩和の遅れ(2007年まで雌鹿の捕獲が禁止されていたなど) ⑤人の手が入らなくなった耕作放棄地の増加       
その他にも狩猟をする人が減ったなど、様々な要因が考えられるそうです。

頭の中を整理していくと鹿に対するとらえ方が違ってきました。

今から約20年前、日本百名山の一つ伊吹山に登った時のことを思い出しました。山の斜面一面に様々な種類の花が咲いていました。それが現在、鹿の食害で花が消えてしまい裸地らち化が進んでいるそうです。20年の間にこんなに変わってしまうものなのかと驚きました。

さらに衝撃的だったのは、今年7月に起きた米原市の土砂崩れ災害が、伊吹山の鹿の食害によって引き起こされた可能性が高いと報道されたことです(異なる見解の専門家もいるようなのですが)。これほど深刻な問題になっていたとは。

一登山者の私には、知ること、関心を持ち続けること、マナーを守って山に登ることしかできませんが、まずはもっと知ることが大切なのでしょうか。



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