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少しだけ戻ります

久しぶりの長時間フライトをすることにしました。2月末から3月にかけて少しだけ航空券が安くなるので、春休みのうち2週間ほどを日本で過ごします。
正直帰るつもりは全くなくて、友人や教授に「帰らないの!?」と驚かれつつも、年末年始はドイツでやることがあったことや、自分も日本が恋しいという感覚もなく過ごしていました。セメスターを終えて、次のセメスターまでの休暇も新しい曲の譜読みをしたり、勉強をして過ごそうかなあなどと漠然と思っていました。
夏に帰ると航空券が目が飛び出るほど高いし、かといって年末年始はドイツにいた方が仕事できたりするんだよなあ…と、タイミングを見つけられずにいました。私としては、まあそんなものだろうと深く考えず、時期がくればなんとかなるのだろうと思っていました。

心変わりをしたのは、母のひと言。
「ちょっと戻ってきたら?」

うん、母に会いにいこう。
身体的に身を削ることはこれまでもあったので、リカバリーさえできれば問題なかったのですが、1月から続いたさまざまな事柄と乗り越えなくてはならない壁に精神の方を削り、良くも悪くも自分で自分をどこまでも掘り進めてしまうことができる私の性格が災いして、気が付かない内に疲弊していました。母はきっとそれを見越していたのでしょう。1月の初めに一時帰国を決め、航空券を取った時には、楽しみ!くらいの気の持ちようだったのですが、だんだん日付が近づき事柄の佳境を迎えていくにつれ、母に会いにいくことが私の支えにもなっていきました。

帰ったら、父のお墓参りに行こう。
帰ったら、母とたくさん話そう。
帰ったら、あんまりフランクフルトでは食べられないお魚を食べよう。
帰ったら、…

選択と決断、迫り来る演奏会の日付と資格試験の日付、作曲家と協働する時によく起こる直前の詰め込み…etc
毎日いろんなことが起こっても、「帰ったら、」がある。
そのことで多少自分に負荷をかけたとしても、耐えられる。
あの時に決めてよかったなと思います。


帰る前にやるべきことが全て終わった時、ある意味満身創痍でした。
母と電話を繋いで、「全部やったわ、帰る」と告げて、少しだけお土産を買ってフライトへ。
1月忙しなく飛び回った中で行ったWürzburgという街で見つけた、フランケンワイン。母の好きなプレッツェルとクッキー。たくさんのエピソードと好きなものをパッキングして、スーツケースを転がしながら空港に向かった時は、心なしか軽やかに歩いていた気がします。


家に着いて、お風呂浸かりたいな。
そんなふうに少しだけ自分を労る時間、そして家族との時間を大切に過ごす滞在にしたいと思います。



追加エピソード:
とある仲の良いチェロの教授
「君、クリスマスはドイツにいたけどセメスター休暇は帰るんでしょう?」

「うん、帰ることにした!母に会いにいこうと思って」
教授
「おー!それはいいね!どのくらい行くの?」

「2週間!」
教授
「え?」

「え?」
教授
「え??」

「え??」
教授
「…2週間だけ?もう少し長く居ないの?それで休めるの?」

「…。そんなに私を日本に返したいの?笑」
教授・私
「笑笑」

2週間の滞在はヨーロッパの人にとっては短く感じるようです。
1ヶ月くらい戻るんだと思ってた!と驚かれましたが、語学も勉強しないといけないし、セメスターの準備もしなくちゃと言うと「さすが日本人だ、勤勉だ」と深く納得されました、笑
バカンスの話は毎度盛り上がります。
日本人の夏休みは夏休みのうちに入らん!!と叫ばれたこともあります。
逆に、ちゃんとそれは休んでいるのか?と真面目に詰められたこともあるので、「休む」ことの大切さや余暇を大切にするヨーロッパの人たちの生活や考え方と日本人の勤勉さを上手に掛け合わせて生きていきたいと思います。というちょっとした余談でした。

Bis dann, schönes Wochenende!

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