審査員という名の被審査員おじさん

 期日前投票に行ってきた。
 事前に最高裁の裁判官国民審査の審査公報を初めてじっくり読んだ。今までは結局読んでもよくわからんし、法律の素人がいったい何を審査するっていうんだね?っつーことで、全員×をつけたことはなかったんやけども、今回は素人なら素人で×をつける自分なりの基準を設けて一読してみようと公報と睨めっこしてみる。ちなみに奥さんとの会話で衝撃だったのは毎回全員に×をつけとるらしい。安閑とその椅子に座れると思うなよ!というのが主旨らしいのだが、なんとなく独裁者の姿が瞼の裏に浮かぶ。

 ともあれ、全員分読んで気づいたのが、11人中9人が東大ということである。そこは特に驚きもしないが全員男性で残り2人が女性、かつ、早稲田、東北大という他大出身者。夫婦別姓やジェンダー関連を主軸に判断しようと思っとったので、筑駒、麻布、東大寺みたいな、一般をはるかに上回る高収入な父親、そして、それによって専業主婦が可能になる良妻賢母を地で行く母親に育てられた男子校出身者に果たして多様性に満ちた社会なんてイメージできるものかね?と色眼鏡の色を濃く設定して審査開始。

 そこで2つ目のことに気づくが、11人中4人が3カ月以内に任命されとる。審査基準すらない。略歴と心構えで何を審査するんだね?っつーことで4人は信任するしかない。そしてやはり3つ目で今まで審査を放棄してきた根本理由にぶち当たる。主要な裁判記録に目を通しても、それが法的に妥当な判断かどうかが判断ができん!自分の主義とは違っても全員一致や多数意見側だったと記されとることも多く、そうなると、それを理由で×をつけるわけにはいかんし、自分が普段あまり注目しとらん分野の判決において、もし不当な判断をしとったとしても、自分はそれが不当かどうかの肌感覚もないので、結果今までと同じく全員信任せざるを得ない状態に。ただ、多数意見側だったとしながらも”補足意見付加”ってとこが味噌な気がするが、そこは詳細が書かれとらん。しょうがないので、そこでさらに反対めいたことを言ったと明記してあるかしてないかだけで判断。なので1名にのみ×をつけました。

 そもそも会社の定休日が火、水ということもあり期日前投票に行ったんやけど、絶対仕事に従事しとらんやろ!って年寄がそこそこおってびっくり。コロナで密を避けたいってのもあるんやろーけど、それならやっぱりオンライン投票の方がいい気がする。当日の体育館とかとは違い会場は区役所の1会議室やし、投票所のスタッフも15名くらいおったけど、ほぼずっと同じ空間におるわけやし。

 話は前後するが、今回は衆院選である。なので、事前に選挙公報も眺めてみたが、裏面から読み始めたせいで、N党が最初に目に飛び込んでくる。弱小政党ということのメリットもなくはないのね。とりあえず、N党はロゴがかわいい。フォントのバランスが浦沢版プルートみたい。そしてツボだったのはれいわのキャッチコピーの”何があっても心配するな。”、根拠はないけど気概だけはある昭和のリーダーみたいやな、と思いつつ、隣に目を移すと、”そんな国をあなたと作りたい。”と左隣の1/3の大きさのフォントで願望が書いてあった。右隣の山本太郎の遠くを見つめる目はそういうフリだったのね。

 気になったんは、維新、れいわ、公明、共産、N党がQRコード載せとったのに対し、自民、社民、国民、立憲はQRコード載せとらんかったので、若者に訴求する気ないの丸出しだな、と思ったけど、そもそも公報読んどる時点で年寄率高そうなので、なにか広報のやり方とターゲットがちぐはぐな気もする。そして審査公報と同じく、これ読んでも政党なんて選べんやろ!と改めて思った。

 なので、最近話題の各メディア会社提供の政党マッチングを試してみる。とりあえず、朝日新聞デジタル版でやってみたが、自分に左翼的な面と右翼的な面が両方あるので、結果はどんぐりの背比べで、かろうじて維新が頭一つ抜けとる感じやったけども、自分は消極的立憲民主党支持者だと思っとったので意外。そして、実はN党が産声を上げた時に比例でN党に入れたことがあったんやけども、おススメ2位はN党で笑う。なんとなく党首の顔とか挙動が政党の印象を左右しとる気もしとったので、意思決定の補助としてあるべき姿なのかもしれん。なので投票所ではマッチングサイトのご託宣を受け入れ、小選挙区では立憲民主党の”はまだ大造”を書き、比例で維新と書く。

 帰ってから気づいたのが、この話題を出した時に奥さんも投票マッチングを毎日新聞版で行っており、自分も別媒体だと結果がどうなるのか気になったので試してみたら、今度はおススメ1位が国民民主!そして2位は安定のN党。アンケートに答えてみて毎日新聞版の方が答えやすい設定だったなと思ったので少し後悔。というか美人投票的な考え方でいけば自分はN党と書くべきたったのでは?と思わなくもないので、次回は複数試してみてから判断しよう、というくらいの無党派層なので、ほんと政党とかなくなって政策投票制になってほしい。そもそもマニフェスト自体よりもマニフェストを実現するための手段を提示してほしんよな。

 ついでに運転免許証の住所変更もしてきたんやけど、裏面の記載がいっぱいなので、どーなんのかね?と思ったら、まさかのペラ紙一枚追加やった。マイナンバーカード持っとるわけやし、別に免許証はいらんかと思わんもなかったけど、マイナンバーカードは追加記載事項の印字が滲みまくりで提示するとき心もとないので、どちらも一長一短な気がする。というか姓を変えると免許証は裏面見せないと戸惑われるし、マイナンバーカードは印字が滲んどるせいで戸惑われるしで、一長一短というかマインナンバーが健康保険証も兼ねられるんやったら電子的に免許情報載せて統合すればよくないかね?と思った秋の昼下がり。今日は程よい日差しと暖かさで幸せな休日、とどーやら自分だけが感じとるだけらしい、冬の入口で独り半袖おじさんやった。

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