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映画「ソナチネ」暴露男・津田



津田は暴露男

村川組の若い子分だった津田が来ているシャツに刻まれているEXPOSURE。「暴露」という意味がある。
この津田の言動が一部ネタバラシをしている。

・田舎に帰るはずだった(ヤクザ脱退)
 ケンに対してヤクザ脱退をしてほしい村川
・喫茶店で女の子に話しかける「捨てられちゃったんじゃないの?」
 北島の親分から村川が捨てられること
・死んでしまう
 村川、ケンも死んでしまうこと

偉そうに書くなら、この映画は整った数式のようでもある。
最初に答え(ネタバラシ)を書いてしまう。
そして、途中式が省かれている感じ。
が、どの段階においても論理という筋が一本貫かれていて矛盾がない。

また、絵画や文学に置き換えるなら、
冗長ではない余白と行間はあり、受け手の想像力を掻き立てる。
全体を見てもきれいだし、細部を切り取っても十分美しい。

というところだろうか。


高橋との関係性

私が最初に抱いた疑問の中の一つが、「なぜ高橋は村川のことを撃たないのか」というものだ。
撃たないのではなく、撃てないのかもしれない。

夜の店(クラブ)ではタバコを吸うこともお酒を飲むことなく、視線もほとんど動かない。
トイレで突然村川から殴られる場面でも反撃しない(できない)。

エレベーターで村川に睨まれたときも、ヘビに睨まれた蛙のような顔つきで引きつっている。
その後、ホテルの非常階段から外に出る場面でも、高橋に前を歩かせ、ドアを開けさせている。村川は銃を持っているであろう右手はそのままにしている。後ろからいつでも撃てる体制にしている。

撃っても撃ち負けるというのが予め分かっているからできないのかもしれない。
あるいは、何かもっと別の事情があるのかもしれない。


下り(堕ちていく)エレベーター

ホテルで下るエレベーターで銃撃戦がありここも見所の一つ。
それとは別に、この下っていくエレベーター=閉鎖的環境で落ちぶれていく、暗黒の未来というどんづまり状況の比喩になっているのかもしれない。


Sonatine タイトルの意味

このタイトルの意味は、他のサイトなどによると、当時ピアノを練習していた北野監督がソナチネ部分を練習していたから、、、というような理由があった。

それはそれとして、自分なりにこじつけて考えると、

son /  a tine 
と分解すると、
son=息子
a tine = フォークなどの刃先(という意味らしい。)

息子とは、
北島からみた村川であり、
村川からみたケンでもある。

拡大解釈すれば、
・村川(息子)から北島(親)に牙を向く、歯向かうということ
・ケン(息子)から村川(親)に対して裏切る行為(チョキを出す)
になるだろう。


描きすぎない映画について

この映画を一人の人格として置き換えて考えてみた。

そうすると、
・上っ面の言葉だけ、外見だけ捉えてどうすんの?
・中身を見ろ、本質を見ろ
・アンタの核になるものは何なのか

そう突きつけられるような気がしてくる。

そして、作品の解釈は人それぞれ。
人間が一人ひとり白黒つけられないように、いろんな側面を持っている。
それは自分もそうだし、相手もそうだということ。

そういうことなのかなあ。


・・・・・
遊びに行った科学館で蝶々などを見てきた。
ターコイズブルーやラピスラズリのような彩色で神々しく光る羽は、魅惑的でもあり光の当て方によっても滑らかに刻々と色を変える。
たまたま、裏側?を見たら、土のような色をしていて全く輝いてもいないし、どちらかというと汚く沈んだ色だった。
なんでそういうことになっているのかは良くわからないけれど、虫たちにも色んな面があるものね、と思った。




 


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