【エッセイ】夏夜の記憶
ここ数日暑くなってきた。
夜、庭に面したテラスで夕涼みをしていたら、心地よい風が吹いてきた。
この風は、なぜか高校時代の夏夜を思い出す。
小中学校とバスケットボールをしていたが、中学の時に肩を痛めて、高校ではスッパリやらなくなった。
ただ、なぜか高校なのに必ず部活動をやらないといけない校則があって、やりたいことのなかった私は、漫画同好会に入った。
部という堅苦しさを感じず、同好会だから幽霊でも良いかなと、そう思って入会したのだ。
今思うと「同好会」なのだから、本当に好きな人たちが集まっている会なんだよな~というのは分かるのだが、とにかく何もしたいことがなかったのが本音。
入ってみると、休めば翌日先輩が「今日は来ないの?」と誘いに来る。
漫画のような話が、実際にあった。
結局、毎日顔を出すようになり、読専だった私が下手ながらも、漫画を描くようになっていた。
先輩達は、アニメもつくるようになっていて、セルやアニメカラーは高いので、コピー用紙に動画を描きポスターカラーペンで色を入れ、コマ撮りしていった。
そんなものの色塗りや、声優もやったりして、毎日それなりに楽しかった。
その時の作品が、東映アニメコンクールで入賞し、それがきっかけで部に昇格もした。
終業式だったか、賞状を部長に手渡す校長の「そこまでか?」と思うほど嬉しそうにする姿は、未だに記憶に残る。
嫌いだった高校の、唯一微笑ましく思い出せる一コマだ。
夏の夜風を感じると、文化祭前徹夜して絵を描いていた、あの日を思い出す。
半分幸せだったあの頃を。
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