人生の旅人が、ちょっと振り返ってみた場所

先日横浜の病院で、年に1回の検査を受けた。

もう、十何年も前に受けた手術の経過観察だ。

私には大腸がなく、かろうじて数ミリ直腸部分が残っていることで、人工肛門を免れている。

その数ミリの直腸に、まだ病気が残っているため、状態を確認しなくてはならないのだ。

先日訪問した、江ノ島や横浜の観光は、検査当日朝食を摂らずに病院へ行かなくてはならず、空腹で埼玉から通勤ラッシュの電車に乗って横浜に行くのは、無理があるという理由で、毎回前泊している『ついでの旅』でもある。

毎年検査前日は、横浜近辺を散策しビジネスホテルに宿泊するのだが、今回は外出自粛期間が長かったこともあり、ちょっと贅沢に夜景の見えるホテルに泊まってみた。

部屋の窓から、横浜みなとみらいの夜景、観覧車コスモクロック21を眺めながら、手術をした時のことを思い出した。

当時入院していた病院は、病室の窓からこの観覧車の夜景を見ることができた。

この夜景を眺めながら、自分の病気が原因で離婚となったことや、病気とはいえ、双子の子ども達を留守にしていた罪悪感、そして手術への不安が入り交じっていた。

手術後は、キズの痛みを感じながら、これからに対する不安を抱えて窓の外を眺めたことを…

そんな思い出が脳内に蘇り、それが遠い昔のようにも感じた。

その当時の自分が、その後こうして穏やかに、この夜景を眺めるなんて想像もしなかった。

さらに『人生はこれからなのだ』と思う自分がいる。

今、自分は何ができるのだろう？そんな視点で、今後を考える毎日。

人生の旅。時に振り返ることは、心の栄養剤なのだと思った。