水の中の生き物

水の中からちょっと顔を出してみる

「ドスン！」

あービックリした

あれは、人間の足か

ブクブクブク～

危ない危ない

人間に見つかったら、大変なことになる！

「ザバ～ッ」

今度は何だ？

あ、あみの中に魚が！

さようなら…

可哀想だがもう戻ってこられないだろう

「ねえ！お母さん！こんな小さな魚が入ってたよ～」

「あら、ホントね」

「お母さんこの魚、おうちで飼っていい？」

「そうね、大事にお世話するなら」

「やった～」

そうか、あの魚は家を手に入れたのか

この川とどちらが住み心地がいいのだろう？

まあワシは、ここにいることしかできないがなぁ～

とにかく見つからないように、息を潜めて暮らすしかできない

見つかったら人間に捕まり、見世物にされるって、じいちゃんから聞いている

もしくは、悪者として処分されるのだとか…

人間は恐ろしい生き物だ…

でも、たまに見る人間が、怖いと思ったことがない

たいがいは「水がキレイ」だとか「川の流れに癒やされる」だとか言って、ニコニコしながら通り過ぎる

どうやったら、怖い生き物になるのだろう

子どもがニコニコしながらバケツの中を覗いている

あの小さな魚を眺めているのだろう

魚を食う気はなさそうだ

せいぜい、その魚が幸せになるように世話してやってくれ

途中で放り出したら、本気で怒るぞ！

魚よ、達者でな