北米プロスポーツとPE業界


PEファンドとは

そもそもPEファンドについて馴染みのない人向けにおさらいです。Copilotで質問を投げてみたら、こんな回答が返ってきますが、まあこんな感じです。

PEファンド(プライベート・エクイティ・ファンド)は、未上場の株式への投資を行う投資ファンドの一種です。投資家から集めた資金を、経営ノウハウを持つファンドマネージャーが運用し、その収益を投資家へ分配する金融商品です。
PEファンドは、オーナー系中堅企業や大企業の子会社、ノンコア事業部、事業再生が必要な企業など、様々な種類の企業に投資します。投資期間はおおむね3年から5年で、売却先が見つかった場合は株式をM&AやIPOで手放し、ファイナンシャルリターンを獲得します。

安定的なキャッシュフローを生むビジネス、若しくは将来的に事業の価値が大きくなることが期待できるビジネスに投資するというのがPEファンドの投資における基本的な考え方です。

MLBにおけるプロスポーツへの参入状況

では、実際の今の北米プロスポーツにおいてどの程度PEファンドが関与しているか見ていきましょう。下のグラフはMLB、NBA、MLS、NHLにおいてPEファンドが関連しているチームの比率を示しています。PE-backedはPEファンドが出資、PE-affiliatedはPE業界出身の個人が出資していることを示しています。MLBやNBAにおいては、約1/3のチームがPEファンドが部分的に所有をしています。(NFLについてはPEファンドによる投資が解禁されておりません。このあたりの話はまたどこかで、、、、。)

出典:Pitchfork(2024年6月23日)

またPEファンドが関与する球団持ち分の譲渡件数も毎年コンスタントに発生しています。

出典:Pitchfork(2024年6月23日)

PE参入増加の背景

PEファンドの存在感が高まっている背景についていくつかの角度から考察していきます。

スポーツチームの市場価値の上昇

ひとつめは、スポーツチームの市場価値の上昇です。下表はメジャープロスポーツリーグのトップ6球団の平均評価額のトレンドを示しております。言うまでもなく、すごい勢いで価値が上昇しております。

出典:Secretariat

この背景にはいろいろな理由が考えられるかと思います。例えば、昨今の放映権料の上昇、広告収入の上昇、またスタジアムを保有していればコンサート等の試合以外のイベント収入の上昇などがあげられるかと思います。

世の中的にも、無形資産の価値に注目が集まっており、プロスポーツが属するエンタメ業界のビジネスの価値も昨今より高まっていることもあります。(以前、ビルゲイツが進めていたので、「無形資産が経済を支配する」という本を読んだことがありますが、お勧めです。もし興味あれば。)

PEファンド目線で考えれば、市場自体も大きくなっており、球団の価値も右肩上がりを続けており、投資を実行しやすい環境といえるかと思います。

資金需要の増加

球団運営には莫大な予算が必要です。最近は、スポーツ以外の収入増加等も期待して新しいスタジアム建設が活発です。また、スタジアムのメンテナンス等にもそれなりの維持費がかかります。また、大谷選手の大型契約にも思い出されますが、選手の獲得にも莫大なお金がかかります。有望な選手を獲得できないとチームが強くならず、チームが強くないと人気も落ちてチームの市場価値も上がらないという悪循環に陥ります。
(本題からそれますが、MLB等では金持ち球団が常に有望な選手を抱えて勝ち続けるとリーグ全体の人気・魅力につながらないと考え、いろいろな形で戦力均衡策を講じております。このあたりについてもいつかまとめられれば、、、。)

このような背景では、球団オーナーには一層の資金余力が求められる時代になっており、PEファンドが望ましいオーナーになりつつあります。

終わりに

PEファンドのプロスポーツへの投資が盛り上がっているという論調でここまで書いてみましたが、NFLではPEファンドによる球団への出資が認められておらず、また他のMLBやNBA等でもPEファンドによる出資比率に制限があったりします。なぜ、各リーグがPEファンドの出資に対して慎重な側面があるかなどについてもどこかでまとめてみたいと思います。
では、今回はこの辺で。最後まで読んでいただきましてありがとうございます。

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