【今日コレ受け】挫折しないでピボットしよう。人生万事塞翁が馬【元外交官のグローバルキャリア】
ロサンゼルスの、コミュニティカレッジのパネルに日本の外交官として出た時に学生に、「挫折した時のことを話してください。Can you talk about your failure?」ときかれた。アジア太平洋系継承月間のイベントだ。
今では転職の質問でも頻繁に使われる質問だが、その問いに不意打ちをくらった。挫折、失敗、断念したこと、悔やんでいること・・何も頭に浮かばなかった。仕方なく絞り出した答えがこれだった。
「挫折を挫折と捉えない性質なので、失敗を失敗と覚えていないことが失敗かしら。I don’t perceive failure as failure and move on… maybe that is my failure?」
その時から、挫折についてよく考えた。挫折というのは、失敗して諦めたことに聞こえる。失敗して、思った通りにならなくて挫けてしまう。
失敗はたくさんしているし、思った通りにならなくて壁にはぶち当たっても、挫けはしない。当たって砕けているし、壁は乗り越えられそうなところから乗り越えるか、引き返して別の壁を探すまでのことだ。
軸足を据えて方向転換している。ピボットしているだけだ。
だから挫けてはいない。
小学校でドイツから帰国して、突然得意だった美術も体育も劣等生になったとき。
高校生でいくらバスケを続けても2軍チームから選抜チームに上がることはなかったとき。
就職活動で、出だしが快調で意気揚々と挑んだら、氷河期が始まっていて面接のコマが残っていなかったとき。
外務省に入ってからは、褒められるより怒られることの方が多くて、辞める気満々だったとき。
思い通りにならなかったことの三倍くらい他のことに挑戦している。
まぐれや周りの協力で思いもしなかったことがうまく運んだりする。自分の力で勝ち得た、とは言い難い。皆さんのおかげで今の私がある。
子供時代に、海外への引越しや帰国という一大事で、どん底からまた築き上げる経験を何度もしたせいなのか、打たれ弱くて繊細な割には強靭性が備わっているようだ。
<可愛い子には旅をさせろ>、というのはそういうことなのか。
言葉が通じない子供社会に放り込まれる海外での生活も過酷だが、多様性という言葉すら存在しなかった日本に戻るのは毎回もっと大変だった。
頑張っても自分の力ではどうにもならないことがある。
自分の努力では違うところで評価されたり、されなかったりする。
異質というだけで弾かれることがある。珍重されることもある。
言葉ができないというだけで軽んじられることがある。
挫折するには世の中不可抗力が多すぎる。
失敗して、切り替えて、ピボット。Fail, Pivot, Move on.
今度若い人に挫折体験を聞かれたら、失敗談を話してそこから学んだことを語れる。失敗談ならたくさんある。苦労話もそれなりにある。
でも挫折はしていない。
なぜなら人生万事塞翁が馬だからだ。What seemed like a failure could be a blessing in disguise.
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