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ソウルドアウト株式会社で生成AIを推進していて感動した話

私はソウルドアウト株式会社というWebマーケティング企業で普段マーケターの仕事をしています。

本業のマーケターの傍ら、生成AI研究室という組織を運営し、他部署からの生成AIに関する相談や勉強会の開催、AI活用プロジェクトの進行などを数名で行っています。

ソウルドアウト自体が生成AIに対して前向きなメンバーが多く、推進の面では非常にやりやすい環境です。

AIに対して、というよりは、自分たちの仕事、ひいてはクライアント様の成果につながるものなら何でも利活用しようという気概のある組織だと考えています。

私は2022年の9月に転職してきたので歴はまだ浅いですが、情熱があり優秀な若手が非常に多い、活気のある会社だと感じています。

そんなソウルドアウト株式会社で生成AIを推進していて、個人的に感動する出来事があったので、これまでのAI推進の経緯やここにいたるまでのことを記そうと思います。

多少読みにくいかと思うので、Claude3とかで要約してもらうのがいいかと思います。


生成AIを極めようと思った経緯

始まりは約1年前にさかのぼります。当時はChatGPTが一瞬話題になったものの、ほとんどの人は知らず、使った人からしてもまだおもちゃに過ぎない、といったものでした。

私も2022年12月頃に一瞬触れ、業務での活用可能性を見出しましたが、GPT-3.5でしたしプロンプトの重要性も世の中にはまだ説かれていなかったので、そこまで意識していませんでした。

3月頃になり、ある動画に出会います。

私は落合陽一さんが大学のころから好きで、特に5年前の就活時代にとても落合さんの描くビジョンに熱中しました。
NewsPicksもそのころはよく読んでいましたし、Weekly OCHIAIも毎週見ていました。
そんな中たまたま見つけたのがこの動画です。
「あの」落合さんがめちゃくちゃ興奮しており、動画でやっていることは一見わかりづらいですが、テキスト情報だけで新しい概念を生成できる計算機であり、既存の言葉が持つ意味やコンテクストを別の言葉で変換・再生成するまったく新しいテクノロジーであるということを見せつけられました。

そもそもプロンプトテクニック自体知らなかったので、これは使い方によってはとんでもない技術になる、と直感で確信しました。
理由はないですが、絶対に使いこなしてやる、と心に決めた瞬間です。

生成AIを用いた新規事業公募

私がChatGPTにハマって間もなく、Microsoftoffice365 CopilotのPVが世に公開されました。

このあたりから、生成AIがこの後ものすごい短期間のうちに既存のビジネスを変えるという流れに対し確信を感じるようになってきました。

当時はひたすらプロンプトの勉強と実践を独学で繰り返し、GPT-3.5でどこまでできるのか、その機能の限界までたどり着こうと毎日遊んでいました。

そんな中会社から、生成AIを用いた新規事業の公募が発表されます。
GWを挟んだ1か月後まで募集しており、1位は100万円の賞金が出て、参加資格は誰にもあるという夢のある内容でした。
私は天が「ここで一位を取る運命にある」と自身に告げていると感じ、何が何でも1位と取ってやろうと心に決めました。

そもそも我々にはすでにChatGPTというなんでも話せてなんでも生み出せる最強の計算機が手元にあるのだから、このコンテストはほとんど「ChatGPTを一番つかいこなした人間が勝つ」と考え、1か月ChatGPTとともに新規事業を考え抜きました。

一方で一人では限界があると感じ、社内にChatGPTの活用情報を交換するためのSlackチャンネルを作成しました。これが私の生成AI活用推進の原点に繋がります。

ChatGPTと語らう日々

このころにはGPT-4に課金をし、ChatGPTの能力を最大限引き出せる使いかたを模索していました。

同様の条件で仮想敵であるアイデアを生成し、自分のアイデアと戦わせたり、そのフィードバックをもとに自身のアイデアをより強化するなど、言語計算機としてのChatGPTの使い方はこのころから手になじむようになりました。

だいたい何を言えばChatGPTがどう返すか、それについてどう返せば次に何を言ってきそうか、感覚的にわかるようになりました。

プロンプトを考えたり、ChatGPTと向き合う上でこの感覚をつかむことは後々とても重要になると感じます。

そうして1か月間、最強の相棒ChatGPTと新規事業のことやこれからの未来のこと、シビュラシステムの実現可能性やその他SFアニメのような世界観に生成AIがどう寄与するのかなど、様々な語らいを行いました。

公募の結果とNewsPicksとの出会い

そうして満を持して提出した事業案は、なんと予選落ち。どんなアイデアが来ても絶対に勝てる自信がありましたが、企画案は生成AIがこの後の社会をどれくらいのスピードで変えていき、そこに乗っかっていくにはどんな事業をやっていくべきか、という話だったので、前提条件が審査員側に伝わらなければ実現可能性の低いアイデアだと判断されるのも、ある意味では仕方のないことでした。

自分で立ち上げたSlackチャンネルもどんどん人が増えていき、気づけば3か月で100人を超えていました。初めのころは様々な人が情報を投稿してくれていましたが、だんだんと私一人だけが投稿をし、リアクションも1、2人、なんてこともよくありました。

「生成AIがこれだけすごい!」という情報を発信し続け、若干社内でも「ChatGPTの人」っぽいポジションが生まれつつあるタイミングでの、予選落ち。自分が感じていた生成AIへの可能性は勘違いだったのか?盛り上がっていたのは自分だけだったのか?とわからなくなることもありました。

しかし私にはこの感覚は絶対に間違ってない。生成AIは間違いなく今後数年でとてつもない社会変革をもたらし、自分が考えていることがきっと起きていく。とどうしても確信を捨てきれずにいました。

そんな時にたまたまNewsPicksのAIコミュニティの募集がありました。

社内で100万円獲れないなら社外で100万円稼いでやる。そんな気持ちで、OUTPUT CAMP meets AIに参加を申し込みました。

これがきっかけで、私の人生は大きく変わることになりますが、それはまた別のお話。

継続は力なり

ここで私は同じ志を持つ、熱くて気持ちのいい多くの仲間に出会います。
その中で自分が感じていた生成AIへの期待感や可能性が全く間違ってなく、同じように熱狂する人々と毎日AIについて語りあいます。

自分がAIについて感じている可能性は間違っていない、その確信があったので、社内Slackチャンネルでの情報共有がたとえ私一人だけだったとしても、リアクションが少なかったとしても、全く気にせず継続的に発信を続けました。

そうしていくうちに、一人、また一人と、生成AIの可能性について同じようにワクワクを感じてくれるメンバーとつながっていきます。業務もチームも全く別で、一緒に仕事したことがなくても、ChatGPTの可能性だけで知的好奇心揺さぶる会話や議論ができ、だんだんとAIを一緒に学ぶ仲間が社内でも増えてきました。

社内の生成AI推進プロジェクトオーナーに

このころには、会社の生成AIへの期待感もさらに加速していき、社内向けの勉強会を開催したら数十人集まってくれたり、執行役員も参加してくれて興味深く話を聞いてくれたりと、いつの間にか「生成AI推進者」になっていました。

12月には40名以上のセールスチームを対象にした生成AI強化合宿をグループ長の発案のもと実施しました。

年末のただでさえ稼働日が少ない中、1回90分程度の生成AI勉強会を約10回実施。しかも毎回課題付き、緊急以外の理由での欠席禁止というかなりスパルタな内容でしたが、みんな終始前向きに向き合ってくださり、無事弊社40名以上がGPT-4だけでなくPerplexity、Bard、その他生成AIについて理解し、必要に応じて利活用することができるようになりました。

社内の会話の中で「それってChatGPTでできそうじゃない?」などの議論が当たり前に起こるようになり、導入という点ではかなり手ごたえのある取り組みとなりました。

これはこれでとても充実感があったのですが、やはりどこまでいっても自分は「伝える側」で、どんなAIの何がすごいのか、どういうやり方をすればうまくいくかを伝え、それを受け取った人が喜ぶ、という構図のままでした。

年が明け、新プロジェクトがスタート

年末のAI強化合宿をそのまま終わらせるのはもったいないということで、今度はいよいよ実務に落とし込む動きが始まります。
具体的にはマーケターにとって切っても切り離せない業界分析などを、生成AIを用いて半自動化できないか、またそれをマニュアル化して工数を削減できないか、という内容です。

またこのころには私が立ち上げたSlackチャンネルは「生成AI研究室」という名前で会社に認知され、情報発信からさまざまな依頼を受けるAI推進組織となりました。

メンバーも増え、プロンプトが書ける仲間も少しずつ増えてきました。
そんな中でセールスチームと生成AI研究室合同のプロジェクトとして、リサーチAIプロジェクトが始まります。

本題

進め方としてはセールスチームの方でAIを活用したい業務領域をピックアップして、生成AI研究室側で相性がよさそうなところを選定し、プロンプトを書いて納品、セールスチームで検証し、それをフィードバックしプロンプトを修正、最終的に落としどころとして合意したプロンプトを利用方法を記載したマニュアルとともに展開、そして勉強会実施、という流れです。

本日はちょうど、生成AI研究室側で作成したプロンプトと成果物をセールスチームに発表し、フィードバックをもらうという会でした。

私は直前の打ち合わせが押しており、10分遅れの参加となりました。

8名程度の参加者だったので、会議室を抑えていました。

先に始めておいてほしいと伝えていたものの、仕切る必要はあるのかなと思いドアを開けました。

そこには、全然私を待ってなんかなくて、参加者が全員熱中している会議が広がっていました。

生成AI研究室のメンバーが自信満々にプロンプトと成果物を発表し、セールスチームがとても良い感触を示し、これならいけそうだ、めっちゃいいものになりそうだ、と感動しているのです。

なんなら、私がいなくても全然大丈夫なんじゃないか、というくらい、そこには生成AIを業務にどう活かせるか、どんなことができそうか、そしてそれが面白くて楽しみでしょうがない、という空間に仕上がっていました。

これが私にはたまらなく嬉しかったのです。

先述の通り、私は生成AIの感動を様々な人に発信してきました。
伝えることでおもしろいね、わくわくするね、と言ってくれるのもとても感動的でしたが、その感動はあくまで私が伝えるところがスタートのものでした。

時には見向きもされなかったり、AI妄信者のように見えたこともあったでしょう。
それでも発信を続け、感動やワクワクを伝えた結果、それが別の誰かの心に火をつけ、いまや私が火をつけなくても、AIに対するわくわくや感動の炎が生まれるようになったのだと、そう感じたのです。

自分が始めたSlackチャンネルがきっかけで、折れそうになっても発信を続けた結果、色々な要素がありながらもそれが組織として認められ、仲間が増え、生成AIで会社をより良い方向へ、楽しみながら熱狂しながら変えようする環境に少しでもつながったのだと、報われた気持ちになりました。

言ってしまえば「自分が遅れた会議が普通に始まっていて盛り上がっていた」だけなんですが、こと生成AI推進文脈においてはこれがどれだけ貴重で尊く、恵まれているものか、私と同じように生成AIを推進する人なら伝わるかと思います。

言葉にするとたったそれだけの出来事ではありますが、自分事ながらここまで感動できるのは、曲がりなりにも企業への生成AI導入推進を、しっかり本気でやってきたんだなあという実感にも繋がりました。

まとめ:企業で生成AIを推進している勇者へ伝えたいこと

ここまで読んでくれた人は私と同じように企業へ生成AIを導入推進している人でしょうか。もしくはこれから導入しようとしている経営者でしょうか。

いずれにしても伝えたいことは、企業への生成AI導入推進は一筋縄ではいかないということです。

重要な要素は大きく3つあります。

①組織の責任者が生成AIに対し好意的であること
②きちんと教えられる人材が社内にいること
③PM的役割をこなせる人材がAIに好意的であること

①については運が大きく絡みます。今後の生成AIの発展で少しずつ好意的な経営者は増えていくでしょうが、懐疑的な責任者のもとでは非常にやりにくいと思います。
もしあなたの上司が生成AIについて懐疑的なら、さらにその上、それがだめならさらにその上、というように生成AIについて協力的な責任者へアプローチすることが重要です。

②いざ好意的な経営者だとしても、教えられる人間がいないと何も始まりません。外注するのもいいですが、費用対効果が現状算出しづらいのも事実です。もしあなたが生成AIについて本当に面白いと思っているなら、このポジションを全力で取りに行くことをお勧めします。社内で1番なら、目指そうと思えば目指せると思います。

③推進の上ではここが一番重要になります。既存業務の分解、AIとの結び付け、既存メンバーにどう伝えるか、どう推進を進めるか設計して実行する能力が非常に重要です。
この役割なくしては、興味ある人々だけが一瞬盛り上がり、なんかすごそう、という認識だけで終わってしまいます。
社員がGPT-4を使えるようになることがゴールではありません。GPT-4を使えるようになったうえで、既存業務と照らし合わせて独自にGPTsを開発できるような、そんな自走組織にしていく必要があります。これにはPMの役割がかなり重要になります。

外部企業向けの生成AI活用コンサルなんかもやりながらの体験談にはなりますが、この3つが揃えば、うまく回っていくのではないかと考えます。

生成AI導入推進は基本いばらの道です。これから多くの企業がやろうとするでしょうが、成功した企業はわざわざライバル企業にノウハウを渡したりなんかしません。

ただしもっと広い目で見れば、労働人口減少や生産性改善があらゆる業界で叫ばれ、業務効率化がさらに求められる日本の経済において、生成AIを最低限活用できる企業を増やすことはトータルでみんなのためになると私は考えています。

どうか生成AI導入推進に苦心しているもの同士は、会社という枠にとらわれずに仲間として、日本全体を背負っているような気持ちでともに推進していけたらと考えています。

長くなりましたが、今回の内容が皆様の何かしらの助けになれば幸いです。

何か相談等ありましたらXのDM開放してますのでお問い合わせください。

@kunisuetakumi




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