「教師の作法 指導」を読んで

野口芳宏 著  さくら社


野口先生の本で「教師の作法」シリーズは、とても読みやすいです。
項立てがはっきりしていて簡潔だからです。読書が苦手な方でもサクサク読めるので、おすすめです。

まず、教育の本質を改めて思い出させてもらいました。
「人は人によって人になる」
「人学ばざれば禽獣に同じ」
この2つの言葉は、教育の本質や大切さ、さらには教師という仕事がどれだけ誇り高いかということを表しています。

野口先生は「ヒトは教育によって初めて人間になれるのだ」と書いています。「動物的な人から社会的な人間へと成長するには教育が必要不可欠である」とも。


次は、3つの言葉の違いと確認です。
「授業」とは業を授けることで、知識と経験がある者がまだ未熟な者に自分の知恵を授け、学力を形成すること
「指導」とは目指すべき方向を指してそこへ導くこと
「教育」とは教え育てることで、人間をトータルにとらえて人格の完成を目指す働きかけをすること

この3つが何となく混在し、明確になっていなかったなと反省しました。
授業の中で「どれもいい考えだね」としてしまうのは、業を授けるというところからは離れてしまいます。正しいことと間違っていることをはっきりと示し、子供達が理解できるようにすることが大切だと感じました。

また指導の本質は「納得させて呼び寄せる」とも。「向上的変容」というキーワードがこの本には何回も登場します。「自分の成長を実感できることほど、嬉しいことはない」と。
この「向上的変容」を子供達が自覚できるように、言葉かけや評価や環境づくりをしていかないといけないと思いました。(けテぶれや心マトリクスとの親和性)



目標についても、心に留めておかなければならないなと思うことがいくつも出てきました。
「どんな指導であっても、目標と内容という二つの基本を常に教師が新鮮な目で捉え、自覚し、具体化しておくことが必要」
「教師自身が一言で示すことのできる正解=理想像を把握しておかなければいけません」
「医師と同様に教師も到達させるべき理想像をしっかりと具体的に把握しておくこと必要がある」


指導内容については、2つ。
「どんなに素晴らしい指導内容も、教師自身の授業行動にまで落とし込んでおかなければ、現実の授業では効力を発揮しません」
「何を教えるべきかという考察から何を為すべきかという行為化を考えましょう」


自分がイメージしやすいところでいうと鉄棒指導です。「逆上がり」という指導内容があれば、何を為すか。


逆上がりをするために必要な感覚づくりができる運動遊びを示す。
運動遊びに楽しく取り組めるように3段階のスモールステップを示す。
自分が見本を見せられるなら自分で、難しいところは児童にやってもらい、見本を示す。
逆上がり補助器に印をつけて蹴り上げる場所を明確にする。
児童が蹴り上げた場所を伝えることで児童が上達していることを実感できるようにする。
などなど、ここまで行為化できると指導内容が明確になりました。



後半に続きます。


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