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漫文駅伝『三浦マイルドの田舎暮らし』 第6回 三浦マイルド

どうも、三浦マイルドです。

他の都道府県の方に、広島はあまり良いイメージを持たれてないなと感じる事があります。

よく言われるのが
「広島の人って、広島風お好み焼きって言うと怒るんでしょ?」

そんな事で怒る頭がおかしい人間は流石に見た事がありません。

「お好み焼きは、広島の作り方が本流じゃあ!
大阪の作り方は外道の作り方じゃあ!
広島の作り方がお好み焼きそのものなんじゃあ!
おどれ広島を歩けん様にしちゃろうか!?」

残念ながら、こんな風に怒る人間がウヨウヨいると思われてるのが広島県の現状です。

その街に住んでみないと、分からない事がたくさんあります。

私も東京に住むまでは「東京の人間は冷たい、人情がない」と勝手に思っていました。

住んでみたら、そんな事は全くなく、東京生まれ東京育ちの人は、優しい方が多かったです。

広島の人間も「怖い」と思われがちです。

他県の人が、広島県民同士の会話を聞くと、普通の話をしてるだけなのに、喧嘩してると勘違いするそうです。

A「われ、今、どうしよんなら?」
B「呉の日鉄がのうなったけん、今は勤めには出とらんのよ」
A「つまらんのう。ええ若い者が、何をしよんなら。風(ふう)が悪かろうが」
B「別に仕事を何もしてなあわけじゃなあんで。カブトムシ捕まえて売りよんよ。これが、ぶちええ銭になるんじゃ」
A「われ、バカか?そがあなもん、仕事でも何でもなかろうが」

何かうっすらと不穏な空気が流れてますね。

大阪人二人寄れば漫才師と逆の現象が起きております。

確かに広島の言葉は荒く、正直ガラが悪いです。

ですが情に厚く、人には親切な県民性です。

地元に戻ってきて「三浦マイルドが広島で、ええ顔できる様に、ワシらが応援しちゃるよ!」と、たくさんの方が協力してくれてます。

二年前に、広島凱旋ライブをやった時も、チケットを100枚以上、知り合いに売ってくれた社長さんがいました。

今も、広島漫遊というライブを、広島各地で催してるのですが、集客面で色んな方にご協力いただいてます。

広島の人間には、一度仲良くなれば、とことん付き合い、仁義を重んじるという気性があるのだと思います。

これは完全に「仁義なき戦い」の影響です。

広島県民はこの映画から良い影響も悪い影響も受けています。

この前、広島市内の居酒屋で、座敷で飲んでる方達が
「○○は、破門になって広島所払いになっとるけえのう」
「○○会も四代目の時代は〜」
と、きな臭い話を大声でしてたので、ヤクザだったら嫌だなあと、チラ見したら、どう見ても堅気のオジさん連中でした。

市役所の職員でも違和感ない風貌で、ややこしい人達じゃなくて良かったと、胸をなでおろしました。

広島では、漁師の方や、散髪屋の大将が、何故か暴力団の内部事情に詳しかったりします。

「○○組は武闘派じゃけえのー。」とか、
「○○で漁師しよる奴は、元ヤクザが多いけえのう」とか、仕入れ先がどこなのか分からん情報をよく教えてくれます。

広島の人はヤクザの話が大好きなのです。

ファッションも反社チックな方が多いです。

東京では、ヤクザが一般人の様な格好をしているから、見分けがつかないと言いますが、広島では、一般人がヤクザの様な格好をしているので、見分けがつかないのです。

最近、広島で事業をされてる方と、よく交流するのですが、中には強面の社長さんもおられて、「この人は大丈夫な人なのだろうか?」と勘繰ってしまいます。

「三浦君、わしゃこんな見た目じゃけど、反社じゃないけんね」
とか言われても腑に落ちません。

商売上、ヤクザみたいな格好をして、デメリットしかないはずですから。

猛暑日に長袖のシャツを着てきて「わし、別に(入れ墨が)入っとるわけじゃないけんね」と言われても、「はい、そうですか」とはなりません。

何故、熱中症アラートが出てる日に、半袖のシャツを着ないのか。

理解に苦しみます。

もしかすると「舐められてたまるか!」という気質がファッションに現れているのかもしれません。

広島県民は余所者に対する敵愾心は異様に強いです。

私が一時、Xで広島よしもとの悪口を盛大に書きこんでいた時、島の事業者の懇親会で、その話題になり

「健ちゃん(私の事です)一歩もひかんでええよ!
やっちゃりんさい!」

「わしらが、背中押すけえ、とことん喧嘩しんさい!」

「広島よしもとと戦争じゃあ!」

と私を盛り立ててくれるのです。

皆、普段は電気屋や飲食店を営んでる一般市民です。
決してご法度の裏街道を歩んでる人達ではありせん。

「芋かもしれんが、旅(余所者)の風下に立っちゃあいけん」という哲学が、我々にはあるのです。

あと広島と言えば、外せないのが広島カープです。
「カープファンにあらずんば、広島県民にあらず」みたいな空気があります。

私は少年時代は、清原選手のファンで西武ライオンズを応援しておりました。

子供会でも皆、カープの帽子を被っている中、一人だけライオンズの帽子を被っておりました。

大分、白い目で見られてたと思います。

昔、広島の情報番組に出演した時、スタジオで「カープファンですか?」と聞かれ
「いえ、全く好きじゃありません」と答えて、もの凄い空気になったのを鮮明に覚えています。

昨年までは、カープに対して、何の感情もなかったのですが、今年から応援する様になりました。

朝起きると、母が「昨日、カープどうじゃった?」と勝敗を聞いてくるのです。

勝った事を伝えると喜ぶので、試合結果を気にする様になり、自然とカープを応援するようになりました。

そして、先日、初めてマツダスタジアムに試合を観に行きました。

ご一緒した社長さんに、母の事や、今年からカープを応援してる事を伝えると
「よし!ほいじゃあわしが、ユニフォームもグッズも一式こーちゃろう!」
と買い揃えていただきました。

やはり、広島の人は優しいです。
新規のカープファンとして、温かく迎えいれてくださいました。

これからは、全身全霊でカープを応援したいと思います。

仮にこの先、私が他球団の帽子を被ろうもんなら
「外道が!何のつもりなら!?」
と広島の海をボートに紐でくくられた状態で引きずり回されて、
無人島の木に吊るされて、拳銃の試し撃ちの的にされて、死体は魚のエサになるものと、肝に銘じています。

広島てそういう土地ですけえのう。

〈続く〉

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