【STAND UP FOR ANIMALS動物愛護シンポジウム】覚書き②
引き続き保護猫カフェ「ねこかつ」さん主催のシンポジウムの詳細を、覚書として書いていきます。
チラシにもあるように、公式ゲストは4名だったんですが、その間にねこかつさん懇意の政治家の方々、行政の方々も登壇されました。
その中から、現埼玉県生活衛生課長の橋谷田氏がされたお話をUPします。
橋谷田氏は、獣医師を得て行政に入られました。
いつも思うのですが、全国の動物愛護センターには獣医師さんが常勤されています。
彼らは、動物を救うために獣医師を目指したわけですが、結果的に殺処分に加担してしまい、そのために精神的な苦痛を背負うというお話も多々お聞きします。
獣医師さんでなくても、職員の方が自死することもあり、そういうお話を聞くたびに、「殺処分」と言う言葉の重さを感じます。
しかし、橋谷田氏のお話を聞くうちに、少しく「殺処分」と言う言葉の多面性が見えてきたように思います。
良く、「殺処分、全国で●位」などと数字が出て、ワーストのレッテルが張られる自治体もありますが、数字が乗るのには理由があることも、今回のお話でわかりました。
橋谷田氏のお話の中で、「動物愛護は行政の中では順位が低い」という言葉がありました。
行政にかかわる方であれば、それぞれに成し遂げたい事案があり、恐らくそれぞれに難しい課題があるであろうと想像できます。
しかし、どれも一番に取り上げてほしい事案であることには間違いなく、これが動物のこととなると、つまり、「人間の事例」ではないということになると、やはり順位が低くなるのは致し方ないかと思います。
このことで、行政を責めるわけにはいかないというのも、橋谷田氏の講演を聴いて、改めて感じた次第です。
【埼玉県の取り組み】
まず、予算についてですが、自治体で組まれる予算枠は決まっています。
しかし、何か対策を得るのであれば、やはりお金が必要になってくるでしょう。
そこで、外部に財源を探し、結果的にイオンが寄付付きのカードを発行するなど、成果が見られました。
その上で、平成24年に避妊対策を強化、また29年には避妊手術の補助が可能になっています。また、同年はボランティアによる避妊手術補助も可能になりました。
こういった努力を続けながら、埼玉県では令和12年度までには殺処分を0にするということでした。
【数字をどう捉えるか】
ここで、非常に重要なことを知ったのですが、橋谷田氏曰く、『今の殺処分数は「0」にフォーカスを当てすぎている』
どういうことかと言うと、例えば重症動物が愛護センターに収容された場合、手の施しようがなく、やむを得ず安楽死の処置をとった場合でも、「殺処分」として数字が上がるんだそうです。
つまり、私たちは「殺処分」という言葉に対して、悪いイメージばかりを持っているので、「殺処分」=「かわいそう」と言う感情的な数字で見てしまい、すべての処置がマイナスに思えてしまっていると気づきました。
しかし、行政側とすれば、この数字はセンターで取られた「処置」の数字でしかなく(そういうと、無駄な処分に対しても養護することになってしまいそうですが)、それを完全に「0」にすることはできないと言うわけです。
これは、私にとっては目からうろこでした。
と、言うか、考えてみれば当たり前のことなんだけども、前述したように、「感情数値」となっていたことに気づいたのです。
【マイルールを持つ】
しかし、殺処分を「0」にしたいのは、行政も動物福祉に何かしらかかわる人たちにとっては悲願でしょう。
では、どうすればよいのか。
橋谷田氏はこうおっしゃいました。
「マイ・ルール」を作る。
曰く、「どんなに規制があっても、その規制の網の目を通り抜けてくる悪い奴はいる。それに惑わされないためには、消費者こそが、しっかりした感覚を持ち、厳しい目を向ける必要がある」
本当に真っすぐに、正しいことを仰いました。
これは、行政は何もしないのか、と言う問題ではなく、多々ある案件の中で順位の低い動物福祉の規制に関して努力はしつつ、けれど、関心の低い人たちに情報を発信するのは、身近な人たちの力がいるということだと思います。
【まとめてみると・・・】
動物愛護法のことも、恐らく知っている人の方が少数派かもしれません。
会場にいる1200人の方々は、十分に知っているかもしれないですが、1億の日本国民に対しては不十分な知識です。
そこを開示していくことが、行政だけでは難しいのは理解できます。
例えば、所有権など、先日も、動物愛護団体と称する男女が、「劣悪な環境だから」と言う理由で、ドーベルマンを飼い主の自宅から持ち去ったニュースがありました。
しかし、飼い主に所有権がある限り、これは法律違反となります。
感情論では立ち行かない問題ですね。
ブリーダーの環境が悪く摘発されたとして、営業権の剥奪はできても、所有権は剥奪できない事実もあるように、動物保護の大きな壁となっています。
こういった事例に関して、関心の低い人たちに、発信をして知ってもらう。
その上で、動物を迎え入れる際の届け出も、ちゃんと意識してもらう。
もし、万が一、虐待を目にした、あるいは、自分のペットを何らかの形で虐待に値することをやってしまった。
これは、児童や高齢者への虐待もそうでしょうが、その時に「自分は大丈夫、魔が差しただけ」と頑固にならず、助けを求めることが出来たら、手放すことが出来たら、状況はもっと変わるだろうと思います。
手を差し伸べる勇気も、差し出した手をつかむ勇気も必要なんだと、強く思いました。
私も、ただ行政の出す結果のみに捉われず、しっかりとした感覚と冷静な目を持って、動物福祉に加担するべきだと感じました。
たった20分くらいのお話できたが、非常に意義深いお話だったと思います。
本当に素晴らしい場に参加していました。
改めて「ねこかつ」さん、ありがとうございました(;;)
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