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見つける人より、見つけてもらう人になりたい

夕方、仕事を終えて電車に乗った。

あの女の人の隣が空いている!と思って席に座ると、その女性の隣に座っている人から声を掛けられた。

へっ?と思って、その声の方を見ると、なんと夫だった。私は思わず、「あっ!」と声を上げてしまった。

お隣の女性が気を利かせてくれて、席を夫と変わってくれて、私たちは隣同士に並んで座ることができた。

思い返すと帰りの電車で偶然に夫と出会う事なんて今まで一回もなかったように思う。それに、夫から先に私を見つけてもらうことも無いように思う。

二人で一緒に出掛けて、それぞれの用事を済ませて本屋さんとか、スーパーとかで待ち合わせをすることがあるけれど、そういう場合でも、大抵は私の方が先にその場所に着いていて、夫が来るのを待っている。

本屋さんであれば本を見つつ、スーパーであれば買い物をしつつ、でもそれに没頭することなく、常にアンテナを張って夫を見つけるのに一生懸命になっている。

たまに夫の方が待ち合わせ場所に早く着くことがあっても、夫は雑誌を読み耽っており、私が彼の後ろから声をかけると言った具合だ。

なんだか不公平だなと思う事がある。なんでいつも私ばかり彼を見つける役目なのだろうと。たまには私を見つけて欲しいと思う事がある。

私が先に彼を見つけるという役目を放棄すれば、彼が見つけてくれるのかもしれない。

こんど、本屋さんで待ち合わせをする機会があったら、実行に移してみようと思う。

きっと電車の中で、私を見つけてくれたみたいに、見つけてくれるだろう。



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