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ちょっと小話 〜グーニーズになりたい〜


 
 先日、(と言ってもけっこう過ぎたけど)「リクエストの多い映画」なニュアンスでテレビでグーニーズが放送されていた。 

 子どもの頃の青春映画だった。
 子どもたちが5・6人で冒険をする映画だったはず。大人が主導ではなく、子どもが主導で宝探しのような、それでいて危険な大人たちと対立する物語。

 ホームアロンほど有名ではないけれど、子ども心をくすぐる名作。
 子どもたち一人ひとりに個性があって、最後までドキドキハラハラしてしまう。

 小学生の私も、この映画に感化され、映画を見たという女友達と女版グーニーズを結成した。
 主な活動は、学校終わりに周りが木々で囲まれている地元の大きな神社へ探検に行くというもの。
 カラスたちがかなり飛び交っている神社だった。マイナスイオンが感じられるような木々の多さと雰囲気だが、子どもからすると探検エリア以外の何ものでもない。
 本殿に向かう鳥居の前には長い石階段があり。そこを降りて少し奥へ行くと、祖母の話では戦時中の防空壕がまだ残っているという話を聞いたことがあった。
 近くの池には河童が出るとかいう噂もあり、危ないから子どもを行かせないよう流された話かと思うが、当時の我々には神秘的で楽しめる場所だった。

 敵がいつ来ても良いように、ちょうど良い太さと長さの木の棒を持って神社の木々の中を入っていく。いったい、敵って何?と言うなかれ。
 小さな男の子が変身をして空中の敵に向かって戦う姿と、謎のごっこ遊びを合わせたような感覚⁉︎

 リーダー的存在の女の子がいて、とくにその子がグーニーズを好きだったこともあって、この遊びは長く続いた。大好きな世界観で真似したくてたまらなかったので、楽しい時間だった。
 なんとなくだけど、主人公やサブキャラの子の名前を自分たちもつけて遊んでいたような。

 時間も深くなると、カラスが異常に鳴きだして不穏な空気になり、それもまた探検の雰囲気が出ていた。最後は意味もなく森の中を叫んで帰った気がする。

 
 当時、ほかにも心をくすぐられた映画「ネバーエンディングストーリー」も。
 あとは、「星の王子ニューヨークへ行く」、エディー・マーフィが素敵で黒人男性ってフリーダムな感じがしてかっこいいと思ったのを覚えている。
 「ゴーストバスターズ」はテーマ曲を弟と歌ったり真似したりしていた。

 映画が終わると、ふくよかな丸い顔をした水野晴郎さんの「いやぁ、映画って、本当に良いものですね」と言うセリフを聞いて満足していた。

 そうそう、「それでは、次週をご期待ください。さよなら、さよなら、さよぉなら」の淀川長治さんも懐かしい。

 結局、放送された映画は録画することにして、リアルタイムには見なかった。

 もしかしたら、記憶しているものと違うかもしれない。思っていたのと違った、そう感じるのが少し怖い。
 大人になった今見たら、そこまでドキドキしないかもしれない。あの時の気持ちは記憶のままにしておきたい、と思ってしまう。  

 でも、どこかで、勇気をだして見られたらと思う。

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