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価値観を変えてくれた結婚式

今の私は、結婚式に対して”これが正解”という概念ってあんまりないんです。

結婚式はプランナーでも会社でもなく、ご両家のためのものですから、皆様が良い時間だった!と思ってもらえるようにサポートするのが役目だと思っています。

なので、私の正解の定義は、皆様が納得し、満足しているかどうかになります。

結婚式となると、一般常識やマナー、しきたりなどをある程度守っていないと、マイナスな印象を与えてしまう可能性があるため、
「これが一般的」「普通はこう」「昔はこれが常識」というようなことを優先にしてしまいがち。

そのため、いつの間にか固定化された結婚式が出来上がっているのかなと思うのです。
しかし、その常識っていつから?
そういう視点で見ていくと、それって昔の常識だよね、でも今の時代は感覚違くない?ということが結構あったりするのです。

あと、売上を立てるために業界が作り上げた常識もあります。
そういう着眼点を持つようになったのは、ど新人の時に担当した国際結婚されたカップルのおかげでもあります。(新郎がヨーロッパの方でした)


日本のようなパーティーはやりたくないです

初回の打合せでお二人から言われた一言です。

まだまだ新人だった私は、皆様も想像できるような結婚式が普通だし、それが”結婚式”だと思っていました。

すでに決められたスケジュールがあり、ご挨拶や演出も当たり前のように行う。

その固定概念を持って打合せを始めていたので、お二人からすると違和感でしかなかったのだと思います。

お二人のご家族・親戚が一同に集まって顔合わせするのはこの結婚式が初めてのため、余計な演出とかはせずに、みんなが打ち解けるような時間を作りたい。

日本に初めて来る家族もいるので、緊張しないで過ごしてほしい。

その思いがお二人の中での最優先事項でした。

挙式は歴史ある神社で神前式、その後レストランでのパーティー。

通常であれば事前の打合せで決めてきたことを遂行していくのですが、パーティーのスケジュールは真っ白(笑)

演出どころか、ご挨拶もするかしないか当日の雰囲気次第。

とにかく、ご挨拶などの役目をお願いしないことによって、余計な緊張を与えず、純粋にその場を楽しんでほしいというお二人の素敵な気遣いでした。

私は臨機応変に対応することが当日の役目で、逆に私が緊張しちゃったのですが(笑)

いざ当日を迎えると、それはもうもうもうもうもう・・・!

“結婚式の本質”を体現させていただいた一日になりました。


家族になる日

言葉の壁がありましたが、そんなのは最初だけで。

想いというのは言葉にうまくできなくても、しっかりと心には通じているのが見えてすごく感動的でした。
感極まった新郎のお父様が、お開きの際に思いの丈を語りました。

「遠い国で頑張る息子がどんな暮らしをしているかいつも心配でしたが、自分の子供ようにこんなにも愛してくれる家族が日本にいることを知って安心した」
(ちょっとニュアンスになっちゃいますが)
息子を讃える父の言葉を照れながら、涙ぐみながら日本語に訳していた新郎様が印象的でした。

“家族”って法律上の定義であれば説明できるけど、
もっとこう、うまく説明ができないもっと深いものがあって。
新郎新婦はもちろん、お互いの家族も家族として絆を深め合える場というのは、結婚式だなって。
(もちろん結婚式をしなくてもそういう場を設けることはいくらでもできると思います!)

人それぞれ結婚式を行う意味や重きを置くものは異なりますが、
結婚式を作る側が、決まった枠組みの中でしかご案内しないのは違ったんだと、新人ながら感じとった日になりました。


結婚式の正解はお二人にしかない

もしかしたら、真っ白なスケジュールというのはリスクすぎて良くないのかもしれない。

日本の常識として、ご挨拶がないのは違和感かもしれない。

売上が立たないパーティーは、会社側として役立たずなプランナーかもしれない(笑)

それでも、当時の新郎新婦にとっては、その結婚式が大満足で大正解でした。

まだやり方も考え方も固まってない新人の時に、あの感覚・価値観を得られたのは本当に大きな出来事。

だからこそ、業界側・会社側が作ったルールや、いつの時代?という常識には染まらずにいられたような気がします。

結婚式の正解はお二人にしかないもの。

周りの目線や意見、固定概念にとらわれずに、楽しい時間を過ごしていただけるよう、私はいつだってお二人の全肯定プランナーでいたいな、って思います!


※noteに移行のため、この記事は2022年7月29日に書いたものです。