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カーコラム 「FIA GT Championshipを制するために生まれた生粋のサラブレッド「Maserati MC12(マセラティMC12)」

 マセラッティMC12は、マセラティ創立90周年にあたる2004年、ジュネーブショーでそのベールを脱いだ。

 「Bianco Fuji」と呼ばれる、マセラティブルーとホワイトのツートンカラーを纏ったグラマラスなボディは、全長5,143mm、全幅2,096mm、全高1,205mmと、フェラーリ・エンツォよりサイズが拡大されている。

 ボディはカーボン製で、着脱可能なルーフを備える。ウイングは固定式で、角度は固定されおり、調整はできない。

 シャーシはカーボンモノコックを基本とし、ノーメックスハニカム構造が採用されている。また、安全性を確保するため、ロールケージが組み込まれている。

 搭載される6リッター V12 DOHCエンジンは、フェラーリ・エンツォのパワーユニットをベースにしており、最高出力630PS / 7500rpm、最高トルク66.5kg-m / 5500rpmを絞り出す。

 このエンジンに組み合わされるトランスミッションは「カンビオ・コルサ」と呼ばれる6速セミATで、ハンドル横のパドルシフトで操作を行う。ギアチェンジに要する時間は僅か0.15秒。

 サスペンションは前後ともダブルウィッシュボーン式を採用し、フロントのみ車高などの調整が可能。

 ブレーキはブレンボ製で、ドリルドディスローターに、フロント6ポッド、リヤ4ポッドのキャリパーを装備する。

 マセラッティMC12は、FIA-GT選手権に参戦するためのホモロゲーションモデルであるにもかかわらず室内装備は豪華だ。マセラティブルーに染められたレザーやアルミ・カーボン素材が奢られ、シートはスパルコ製のセミバケットシートを採用している。

 センターコンソールにはイグニッションボタンと、マセラティ伝統の楕円形アナログ時計に加え、車名・シャーシナンバー・オーナー名がローマ字で刻印されているプレートが装着される。そしてなんとエアコンまで装備されている。

 そのパファーマンスは凄まじく、0-100km/hを3.8秒、0-400mを11.3秒で走り、最高速度は330km/hに達する。

 マセラティMC12は1台約1億円といわれ、2004年に30台、2005年に25台が生産された。

 FIA-GT選手権への参戦は2004年から。

 FIA-GT選手権とは、ヨーロッパを主戦場としたGTカーの耐久レースシリーズの最高峰で、1997年から開催されている。パワー別にGT1、GT2の2クラスに分けられており、MC12が参戦するGT1クラスにはランボルギーニ・ムルシエラゴやアストンマーティンDB9などのヨーロッパ車の他、コルベットZ06やサリーンS7などのアメリカ車も参戦している。

 2008年シーズンには3台のマセラティMC12が参加し、シリーズチャンピオンに輝いている。その結果、マセラティは、強豪ひしめくGT1クラスにおいて、4年連続チャンピオンを獲得するという偉業を達成している。


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