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カーコラム「407km/hのエクスタシー!ブガッティ・ヴェイロン16.4」

 2005年、非公式ながら一台のスーパーカーが、当時最速の407km/hの世界最高速度を記録した。

 生産台数は僅かに300台。世界最強のロードゴーイングカー、ブガッティ・ヴェイロン16.4である。

 ブガッティ・ヴェイロン16.4は、1999年の東京モーターショーにおいて、初めてその開発計画が公式に発表され、翌2000年のパリサロンにおいて最高出力1000馬力以上、最高速400km/h以上という暫定のスペックが明らかとなる。それから5年後の2005年、再び東京モーターショーにおいて、最終型市販モデルがついにそのベールを脱いだ。

 注目のパワーユニットは、挟角15°のV8エンジンをさらにV字型にしたレイアウトした排気量8ℓのW型16気筒エンジンに4機のターボチャージャーを装着(16.4のネーミングの由来)! 最高出は実に1001ps/6000rpm、最大トルク127.5kg-m/2200-5500rpmという超ド級のパワーと絞り出す。この巨大なエンジンは、リヤにミドシップマウントされる。

 バカバカしいほどのパワーを路面に伝達するため、ブガッティ・ヴェイロン16.4の駆動システムには電子制御クラッチにより前輪へのトルクスプリットを行う最新のフルタイム4WD方式が採用された。

 トランスミッションは、0.15秒という電光石火のシフトチェンジを可能にする独自開発のツインクラッチ式7速DSG(ダイレクト・シフト・ギヤボックス)を搭載。

 その動力性能は凄まじく、0-100km/hは2.5秒、0-200km/hの加速は7.3秒、そして、スタンディングから時速300kmに到達するのに僅か16.7秒という驚異的なタイムを叩き出す。

 このクルマで300km以上で走行する場合には、ある儀式が必要となる。

 まず一旦停車して、ブレーキを踏んだ状態で専用のキーを運転席横のサイドシルに差し込む。それにより車高が最低位置まで下がるとともに、リヤウィングの角度が最低の2度まで下がる。これで準備完了。後はタイヤとマグネシウムホイールを新品に交換すれば、時速300kmオーバーの未体験ゾーンへ一気にワープとなる。


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