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カーコラム「オペル カデット GT-E Rally Versionを自由自在に乗りこなすヴァルター・ロール」

 1973年8月、歴代4代目となるオペル・カデットがデビューした。

 新型カデットは、GMのグローバルカー構想(Tカープロジェクト)の中核をなすモデルとして開発され、ボグゾール・シェベェット、シボレー・シェベェット、いすゞジェミニといったGMグループ内各社の兄弟車とボディを共有した。

 搭載されるパワーユニットは旧型から受け継いだ1196cc 直列4気筒 OHVエンジンで、ノーマルが最高出力52PS、そしてSが最高出力60PSをそれぞれ絞り出した。

 サスペンションは、フロントがダブルウィッシュボーン式&コイルスプリングとなり、リヤは旧型と同じくパナールロッド付きの4リンク式&コイルスプリングが踏襲された。

 高性能バージョンとなるカデット C Coupe GT-Eは1975年の秋に登場した。

 カデット C Coupe GT-Eは、クーペボディに最高出力105PSを絞り出すマンタGT-E用の1897cc直4SOHCエンジンを搭載し、足回りもハードに締め上がられた。

 1977年にはエンジンを1979ccに拡大し、最高出力も115PSにパワーアップされたGT-E2も登場した。

 さて、ラリー仕様車のカデット C Coupe GT-Eを自由自在に操っているのは、ドイツ人初のWRCチャンピオンとなった往年の名ラリー・ドライバー、ヴァルター・ロールである。

 本来は1.2リッターのエンジンを搭載する軽量コンパクトなボディに、中型車用の1.8リッターのエンジンを搭載したカデット C Coupe GT-Eの挙動が、かつてのPF60型ジェミニZZ Rにそっくり。つまりどアンダー。

 カデット C Coupe GT-Eとその兄弟車のPF60型ジェミニZZ Rは、フィアット131アバルトラリー同様、スモールカー・ビッグエンジンの典型とも言えるマシンである。

 そんな駻馬を乗りこなすワルター・ロールのドライビングは絶妙だ。アンダーを無理に打ち消す事なく、クルマなりの走りで上手くジャジャ馬をコントロールしている。

 さすがは、超どアンダーのGr.Bモンスター、アウディ・クアトロを乗りこなした男である。



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